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人生航路(幸朗)

図書館で借りたのだが、たまたま貸し出しが同時期になった。ドイツのメルケル前首相とメキシコの外交政治家ガルシアロプレス氏である。

ガルシアロプレス氏のことは全く存じ上げなかったが、先日東京新聞の社説に出ていて予約して読んだのである。どんな方かはこの社説をお読みください。

氏は核と人権をテーマに外交の舞台で「世界の平和」「世界の人々の幸福」を追求し、努力された方なのだ。もちろん政治は理想と現実の妥協、外交は自国と他国の双方の利害対立の妥協、また文化的、地勢的に異なる各国とのバランスをとりながら、根気よく、粘り強く詰めていかねばならない。それも相手は「人」なので、敵対する相手も含めて人間的に信頼もされなければならないという甚だ困難な仕事であることがこの本で書かれている。

その中でシェークスピアのシーザーでブルータスが語ったセリフを、氏が外交文書の公式報告書の紹介している箇所があった。それは

There is a tide within the affairs of fellows,
Which, taken on the flood, leads directly to fortune;
Omitted, all the voyage of their lifestyles
Is bound in shallows and in miseries.

「人のなす事にはすべて潮時というものがある。うまく上げ潮に乗れば幸運の港に達しようが、それに乗りそこなえば人生航路の行き着く先も不幸の浅瀬というわけだ。」

メルケル氏も苦難の連続だったようだ。決して上げ潮ばかりではなく、我慢の時期も多い。しかしガルシアロプレス氏が平和であったように、メルケル氏も理想に向けて日々努力を積み上げてきたことがわかる。もちろんこの本のタイトルから見るとメルケル氏がスーパースターであったように思われるかもしれないが、決してそうではない。氏が全てを解決してくれるわけではなく、ドイツ国民、さらにEU域員もまた努力してきたから今がある。同様に、広島にオバマ大統領が来たことがあり、それが核廃絶に繋がるような幻想を持った方がいたかもしれないが、そんなことはありえない。誰か一人に丸投げして、その人が解決するようなことではなく、一人ひとりが努力してその結果の総体が答えなのだと思う。

先月末に広島選出の首相が米大使を平和公園に連れてきたが、それが何なん?それから半月もしないのに米国が臨界前実験をしたとバレたが、普通は「おどりゃ、顔に泥塗りやがって(広島弁)」と米大使を呼びつけて抗議するのが普通だが、そんなことせんもんね。あんたもやるべきことやらにゃあ。

そうそう、それにお追従の首長さんもどうかしとるで、一人は「グローバル・アライアンス『持続可能な平和と繁栄をすべての人に』」なるグループを作るといい、かたや「23年G7サミット広島開催」とな、「虎の威を借る」のもええ加減にしてあんたらもやるべきことせにゃあ。ほんまなら「広島じゃなく、キーフ開催にしようで」くらいいいんさいや。それが平和首都の首長、選出の首相のやるべき姿勢じゃないんか?


そういえば、この本の最後にガルシアロプレス氏が亡くなった後に奥さんがメキシコ外務省の歴史公文書室に私蔵の書類を寄贈したそうで、これには国連総会や軍縮機関に関連した文書、本省への報告書や添付された公式文書が主で、編纂して422巻に製本されたとあった。なるほどそれでこういう足どりを追うことができるのだろうな。すると我が国の核廃絶に関してだが、政府や外務省は「核兵器禁止条約は核兵器が認めないのでナンセンス。我が国は懸け橋として努力を続けている。NPT核兵器不拡散条約の立ち位置」というし、で、何してたの、何しているの?というのには「高度な政治判断、外交交渉」だから門前払いである。もしかして何もしてないんじゃないの?と思われても不思議でもないだろう。

そういえばウクライナの侵略戦争見て思うのは、露の大統領や外務大臣の腹の黒さやしぶとさ(なんだか人相も悪い)である。水戸黄門の「お前も悪よのぅ~」そのものですな。それと丁々発止とやり取りし「ウラジミール」と呼び合ったなんてありえんだろう。どう見てもお子ちゃま扱いで手のひらの上で転がされただけだったね。歴代外務大臣も同じだろう。まあそういうお子ちゃま大臣をサポートするのが外務官僚ということだろうけど、どうやらガルシアロプレス氏とは大違いのようだな。もしかしてこのガルシアロプレス氏のように歴代外務大臣、副大臣、次官、お役人さんは文書やメモを提出してるのかね?してないの?もしかしていつものように(間違って)廃棄したり、処分したり、改竄してない?それともあまりに中身がないから、もしくは何もやってないから何もないのかな?そんなことないよ、頑張ってますよ、と黒塗りののり弁出して言われてもね…。

政治家は国民が選ぶから、お子ちゃま大臣であっても、選んだ国民の責任だが、役人は違うよ、それがこの体たらくだ。責任者出てこい!(人生幸朗風)


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