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帰りなんいざ

今、渦中の寺田君は私の小学校から高校までの同級生。小学校の頃はずっと同じクラスだったし、とても仲が良く、ひっつきもっつきで遊んだものです。

彼に少年時代からの友人として贈りたい言葉は「帰去来の辞」の冒頭です。

「帰去来兮。田園将蕪、胡不帰。
既自以心爲形役、奚惆悵而独悲。
悟已往之不諌、知来者之可追。
実迷途其未遠、覺今是而昨非。」

「帰りなんいざ。田園まさに蕪(あ)れんとす、なんぞ帰らざる。
既に自ら心を以て形の役となす、なんぞちうちやうとして独り悲しまん。
いわうの諌められざるを悟り、来者の追ふ可きを知る。
まことに途に迷ふこと其れ未だ遠からずして、今の是にして昨の非なるを覺る。」

「さあ家に帰ろう。田園は(手入れをしないので草で)荒れようとしている。なぜ帰らないのか(今こそ帰るべきだ)。
これまで、すでに自分の(尊い)心を肉体の奴隷としてきたのだから(=役人となって心を悩ましてきたのだから)、どうして失望してひとり嘆き悲しむことがあろうか。
すでに過ぎ去ったことは諌める方法がないのを悟り、将来のことは追いかけられるのを知っている。
本当に道に迷った(=間違った方向へ行った)としても、まだ遠く(へは行って)はいなかった。今(役人を辞めて帰るの)が正しい生き方で、昨日まで(の生き方)は間違っていたことを悟ったのである。」

ここまでは以下のサイトからの引用です。

つまり、執着せず現実を見つめ、己の正しい道に戻り、自然に身をゆだねる自由な精神を取り戻せということじゃないだろうか。
漢文は山本先生に教わった仲間だからわかるよね。

また「帰去来」は太宰治の短文もある、その冒頭だけコピペします。

「人の世話にばかりなって来ました。これからもおそらくは、そんな事だろう。みんなに大事にされて、そうして、のほほん顔で、生きて来ました。これからも、やっぱり、のほほん顔で生きて行くのかも知れない。そうして、そのかずかずの大恩に報いる事は、おそらく死ぬまで、出来ないのではあるまいか、と思えば流石さすがに少し、つらいのである。
 実に多くの人の世話になった。本当に世話になった。」

う~ん、今の寺田の気持ちはこういうことなんかもしれんな。

寺田よ、帰っておいで。今の君の周りは打算の輩ばかりだから、苦しいだけだろう。苦しい時にいるのが友だちだ。俺たちが中学生の頃、キャロル・キングが歌った曲「You've Got a Friend」を思い出せよ。

中間部からの歌詞こそ思い出してほしいのだ。

♪ Now ain’t it good to know
That you’ve got a friend
When people can be so cold
They’ll hurt you, listen, desert you
And take your soul if you let them
Oh, but don’t you let them

You just call out my name
And you know wherever I am
I’ll come running, running to see you again
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I’ll be there, yes I will
You’ve got a friend ♪

さあ、帰りなんいざ!
わしら広島におる同級生が、毎月いつもの場所で例会をしとるのは知っとるじゃろ、あんたも何回も来たじゃないか。
今度は裃脱いで、友だちに会いにおいでや。何も聞かんし、何も言わんが、一緒に過ごそうや。わしらは友だちじゃもん。

おまけですが、私はDonny Hathaway の You've Got a Friendが一番好き…。

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