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音楽ガイドブック

音楽はガイドブック読むより、まずターンテーブルに盤を置くことだと思いますが、丁度音楽ガイドブック系を3冊図書館で借りたので、読んでます(読み比べています)。

1冊はJAZZの入門書「ゼロから分かる! ジャズ入門」(後藤雅洋)であります。

私もJAZZはもう50年近く聞いているので、今更入門?とは思いますが、大学時代この後藤氏のやっていた「いーぐる」というジャズ喫茶は、近所だったこともあり、週一以上は通い(粘り)、大変お世話になりました。

ここで一番印象に残っているのは「サド・メル」を聞いた時のショックでした。正式名は「サド・ジョーンズ / メル・ルイス・アンド・ザ・ジャズ・オーケストラ」ですね。それまで小編成のコンボ中心に効いていたので、ビッグバンドというのはあまり意識しておらず「Central Park North」には驚きました。やはりこれは名盤で、のちにCDを求めました。

もう1冊は「更に、古くて素敵なクラシック・レコードたち」(村上春樹)ですね。

これは前作も拝見しましたが、巻頭にある一文がとても良いものでした。
無断で引用します。

「音楽の好き嫌いには二種類あると僕は考えている。一つはあくまで流動的、即感的な好き嫌いであり、もうひとつは体癖に基づくぶれのない好き嫌いである。このふたつを見分けるのはときとして簡単ではないが、時間をかけて丁寧に音楽を聴いていると、だんだん自分の中のその違いがみえてくる。前者に関してはそのときどきの気分で「好き嫌い」の評価が変化したり、入れ替わったりすることもあるが、後者の評価はだいたい安定している。どちらにしてもそれらはあくまでぼく個人の「感覚」であり、ぼく個人の「体癖」に過ぎない。」

これはもう60年も音楽と親しんできたから実感としてよくわかります。好き嫌いなんてそんなもんなんです。
それで思い出しましたが、昔あるミスコンの審査員をしたことがあります。とはいっても予選会なのですが、
申込が100人以上あり、その中で決勝に進む10人を選ぶという場でした。6人くらい出てきて、自己PRをして採点する。そして次のグループと進みます。隣に友人がいたので、見るともなしにその採点が目に入り、「えらく自分と違うな」と驚き気がつきました。

ミスコンの審査ではその女性の内面なんか、わずか30秒程度の自己PRではわかりようがありません。ということは単に見た目だけで点数をつけるのですが、その見た目とは自分の好みかどうかに過ぎないわけです(当たり前)。
友人は妙にケバイ女性に高得点、私は色白に高得点というのが、100人もやっていると気がつくのです。そう私は色の白い女性が好きでした。

これは村上春樹氏の言う「流動的、即感的な好き嫌い」での選択です。だって別に選んだからと言ってその人と付き合うわけではないですからね。
そして今結婚した女房は別に色が白いから選んだわけではなく(白いけど)、やはり「体癖に基づくぶれのない好き嫌い」で選んだのだと思います。
長く付き合うなら、やはり音楽も、女性も、また友人も、あらゆるものがそこなんだろうと思います。

三冊目は「ライ・クーダー アルバム・ガイド&アーカイヴス」(五十嵐正)ですね。

去年ライ・クーダーがタジ・マハールとの競演「ゲット・オン・ボード」が出ましたが、タジ・マハールスキの私にはあれが私の去年のベスト盤。これも「体癖に基づくぶれのない好き」に入ります。そのタジがこの本のトップバッター、チャプター1です。

今年に入り、続々と素晴らしい音楽家たちが鬼籍に入られ寂しい思いですが、それに触れるたびにラジオが特集し、思い出させてくれるのは悪いことばかりではないですね。
聞くと当時の自分のこと、できごと、時代感までありありと浮かび上がります。
それだけ彼らは、長く生き残った素晴らしい作品を生み出してくれたということ。感謝です。

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