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沈黙は金、言わぬが花

先日車で三原に行くことがあり、道中女房が最近ハマっているシンガーソングライターの曲をずーっッとかけていました。
「いいでしょ、すごいでしょ」というのですが、私にはちょっとピンと来なくて、いつもなら「変えてくれ」という所なのですが、これも良い機会、どうピンとこないのかを考えてみようと運転しながらききました。

普段はあまり好みでない、あるいは嫌いな音楽だと、少し聞いただけで切り替えてしまいます。先日もアップしましたがラジオ番組でも同じミュージシャンの曲を1時間(昔で言えばLPの表裏)かけるような番組もありませんから、ピンとこない理由を探ろうと、運転しながら聞くことにしたのです。

もともと音楽に限らず、物事には好き嫌いは付き物です。
好き嫌いは本能的な部分と、経験的な部分の組合せでしょうから、違うのが当然です。
もちろん自分が好きだから他の人が好きだということもないし、自分が嫌いだから他の人が好きなのはおかしいとも思いません。波長が違うんだなと思うだけです。
ですからこのシンガーソングライターに女房は波長がバッチリ合うけれど、私はどうも好みのチューニングがずれてしまう、という感じでしたから、その理由を探ってみようということでした。

以前も書いたことがありますが、私はあるミスコンの審査員をした事があります。とはいっても一次審査は書類審査(基本全員通過)で、二次審査が100人以上を5人程度に絞るもので、もう半日かかる大変な作業、これが担当でした。最終審査はお偉方がチャチャッと15分程度やられます。

ということで二次審査で若い女性を見た目だけで判断するという審査を100人以上やっているとわかってくることは

① 一人当たりの時間などほとんどないので内面なんかわからない
② 徐々に自分の好みで点をつけているのがわかる
③ 点のつけようで隣の審査員の好みもわかってくる

ということでした。私の好みは「色白」でしたし、隣の審査員の高得点は「お水っぽい」という感じで、初めて自分の好みを自覚した瞬間であり、隣の彼の好みを垣間見ることができました。

音楽の好き嫌いも同じようなことで、今回のシンガーソングライターの曲を何曲も1時間以上聞いていたら気が付くことがありました。もちろん私だけの偏見に基づくものですが。

① この人はシンガーソングライターでなくソングライター。曲は良いのだが、他の人が歌った方がもっと広がり、深みが出る

② 声が高めのハスキーというか鼻にかかった声。ハッキリ言って「鼻歌」の延長風なのが苦手で入り込めない。

ということで、全体的にこの人は苦手な歌い手なんだということがわかりました。

まあ②の高い声が私は好きじゃないのはもともとわかっていたことで、モータウンでもファルセットのテンプテーションズよりフォートップスの方が好き。ファンクで言えばスライ・ストーンは最高に痺れました。

今回このシンガーソングライターを聞きながら再認識したのはK-POPなんかの男性グループはこの「鼻歌」風の声が多いから苦手だということ。もちろんJ-POPも同じで、これは男だけでなく○○坂みたいな女性版も嫌いな理由だということでした。
低い声はそういえば昔から好きで、スライ以外にも、JAZZならジョニー・ハートマン、ロックならヴァン・モリソン、日本の歌手はフランク永井には痺れっ放し。
ちなみに楽器もバイオリンよりチェロ、ベース。フルートよりチューバが好きです。

さて①の方で重なったのはユーミンです。
私は松任谷由実氏の歌が苦手。ソングライターとしては凄い力量だけに、声がなあ~といつも思います。失礼ながら、厚みのない薄っぺらな声に感じるんです。それと同じタイプなんじゃないでしょうか。女性歌手ではエラ・フィッツジェラルドが好きですが、彼女の声の幅広さ、表現力の豊かさの対極にある感じ、もちろん彼女の低音にもしびれます。

実は③もあります。
聞いた中には、このシンガーソングライターは海外の曲のカバーのアルバムもあって、なかなか上手な弾き語りを聞かせるのですが、これがまた歌に膨らみが感じられないのです。元歌と比較できないくらい。
女房によるとこの人には秀逸な「耳コピ」力があり、曲を弾くのも歌を歌うのも楽譜からでなく、耳コピからとのこと。
もしかしたら私が膨らみを感じないのはここが原因かも。

英語の歌詞をメロディー(音のフロー)として歌っていて、一つ一つの言葉・単語から歌詞・歌が生まれてはいないのではないかと思ったのです。
確かに歌は音程やメロディーは大事ですが、「歌詞」には「言葉の意味」がのっていないとサラリとしたものに感じられるでしょう。それが鼻歌に聞こえる所なのかもしれませんが。

例としては適切ではないかもしれませんが、最近のアナウンサーは声もあまりよくありません(高い声なので私には苦手ということ)が、ニュースを読んでいても、この人は字を追っているだけで、内容は全く理解してないだろうな、ということを感じることが多いです。これに近いかな。

という感想を女房に伝えたら「ムッ」っとしてました。別にケチ付けたつもりはないんだけどね、「沈黙は金、言わぬが花」だったかな…。

昨日は夏至。広島の南中の時間は12時12分だったので、昼前に三滝寺に着き、本堂にお詣りした後、12時12分には境内の静かな場所(私ら夫婦にとってはパワースポット=タイトル写真)で、一人心静かに、天と地に向けて平和を祈りました。

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