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主導権は?

先日強く感じたことですが、休みの日に服がいるということでユニクロに行きました。私は付いていっただけなので、ベンチに座ってぼーっと見ていました。もちろん何を買おうかという目的ははっきりしているお客さんばかりなので、どの棚にあるのかは聞くことはありますが、店員とあまり会話する姿はなく、レジも無人なので、この店はお客さんが明確な目的・目標を持ってくる店なのだなと思いました。
スーパーマーケットでも来店客は何を買おうかは基本的に明確で(もちろん店内の食材を見ながら献立を考えることはあるでしょうけど)、圧倒的に顧客主導型の小売店です。

その後アウトドアショップにも寄りました「モ○ベ○」なのですが、ここでも同様にぼーっと見ていると、結構店員さんと会話をしている人が多いようです。「いついつ、ここに行くのだけど、アウターは同いのが良いだろうか」と質問があり「まだ寒い時期なのでこの辺りでしょうか」、「これが良いかもしれないけど、違う色はないの」「あいにくこれだけですね。違うタイプならこれになりますけど」とまあ会話がありました。

で感じたのは、ここに来るお客さんは使用目的は明確だけど、それ以外は割合曖昧で、それをはっきりさせるために店員さんと会話をしている。そういう店なのだと思ったのです。
言ってみればスーパーと違い、八百屋さんや魚屋さんみたい感じ。「今晩何がいいかしら」「お客さん今日はこの魚が美味いよ。冷蔵庫に何があるの」「○と△」「じゃあ寒いし、晩は鍋にしたらいい、鍋用に切っておこうか」みたいな感じです。

いつしか私たちは店員さんと会話を避け、自分が決めたものだけ買う、そういう志向、それがやりやすい店ばかりに行ってるのではないですかね。

先日行った尾道の古本屋さん、本を探すのも楽しいけれど、店主さんに「こういうの読みたいんだけど」と投げかけて教えてもらう。その目利きを信じるわけですね。
北海道に「一万円書店」というのがありますが、あれもまさにそう、私も一度抽選に当たりお願いしましたが、自分自身が浮き彫りになるようなカルテを送り、それに応じて店主が選んでくれる。目利きを信じる方式です。

飯を食いに行くのもグルメサイトを見るんじゃなくて、友だちとか知り合いに聞いた方がいい、これが私の主義。出張に行ったら、ホテルのフロントかタクシーの運転手さんに聞きます。もちろん目利き通りというわけにはいかないかもしれないけれど、それはそれでまた楽しいのです。

さて先日読んだ本が「ファーストペンギン シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡」(坪内知佳)です。これはテレビドラマにもなったのでご存知の人も多いでしょう(ちなみに私は見そびれました)。

どうやらドラマは途中までのようですが、原作本はその後についても、もちろん経営本としてもとてもいいものでした。

その中で「粋粋BOX」という基本漁師さんにお任せで入れてもらうものがあります(好みがあればリクエストできると書いてありましたが)。

つまり旬で美味しい魚を漁師さん任せで選んでもらうもの。もちろんプロが選ぶわけで、仮においしくなければその後の注文はないわけですし、これは個人向けもあれば事業者向け(料理屋さん)もありますから、漁師さんとしても真剣勝負です。発送前にしごうする(魚を〆て捌く)のも上手下手があるようですから、これは採ってすぐの船上での作業なので大変でしょう。

これもやはり信頼感の上に成り立つ、主導権を渡して選んでもらうという方式。目利きを信じるやり方なんですね。
ちなみにこの本には、魚について先入観があったと初めて知りビックリすることが山ほどあります。これは読まれる方が良いでしょう。
私も遅ればせながらテレビドラマの方も見ようと思います。

タイトルバック写真は先日松山で買った「焼き鯖明太子寿司」です。

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