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懶惰で無責任

「ニッポン凄い」「美しい国日本」と声高に言っていたご仁の葬式があったが、ホントに日本てそうなの?儒教国だから、武士道の国だからというが、みんな儒教の学びをしていたわけではないし、武士も圧倒的少数だから、きれいな上澄みの所だけ見て、その下のどぶの汚れやにおいを見たり嗅いだりしないようにしているのだと思う。

青空文庫で永井荷風の「独居雑感」というのがアップされて読んだが、とても面白い。彼が大正時代に書いたものだ.

中にこうある。
「日本の出入商人の不正直なことは、独身生活をしていると一層よくわかる。」で例を挙げる

「八百屋は申訳けばかり言って決して実行した事がない。
洗濯屋について見ると欧米のものとはほとんど比較にならない。
米屋炭屋の不正直な事は世間一般に知られている通りである。」

「綜合して考えると、日本の下層階級の懶惰(らんだ)で無責任な事は、とても救済する方法がないように思われる。」

「日本人ほど人の噂をしたがる国民は世界中にないらしく思える。」
「日本の新聞紙はまず社会的の金棒引と見て差支さしつかえはない。日本ほど新聞の劣等なところはない」


ここから今の日本はたいして変わってないように思うね。上の文は

「政治家は申し訳ばかり言って決して実行したことがない。
民主主義についてみると欧米のものとはほとんど比較にならない。
政治家、役人、大企業の不正直なことは世間一般に知られている通りである。
日本のテレビが好んでスキャンダルを取り上げ、それを喜んでみる国民は世界中にないらしく思える。
日本のマスメディアはまず社会的の金棒引きと見て差支えはない。日本ほどメディア(荷風の時代はテレビはなかった)の劣等なところはない。」

と容易に書き換えることが出来るが、結論としては「綜合して考えると、日本のセレブ層の懶惰(らんだ)で無責任な事は、とても救済する方法がないように思われる。」じゃないだろうか。つまり日本を好き勝手にするトップリーダー層の本質もまた変わってないということだ。

セレブ層は「銀の匙をくわえて生まれてきた」輩が圧倒的で、政治家も3バンを咥えてきた方々ばかりだ。中には「旧」に寄り添っておられる輩も多数いるようだけどね。

タイトル写真は吉田戦車先生の「獺」かわうそ。「懶」はりっしん偏ですが、かわうそはけもの偏ですね。かわうそはそんなに怠けものとは思わないが、人の心は…

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