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土地柄

土地柄というのをググると
「その土地の状態。その土地の風習やそこの人々の気風。ところがら」
と出てきます。
先日図書館で借りた本は「日本全国地元パン」(甲斐みのり)

なるほど、高知に行くといつも食べる「帽子パン」も堂々の紹介。
初めて見るパンも多く、決してA級グルメではないのでしょうが、手に取りたくなるものばかり、これだけの種類が地域によって生まれて、大事にされているのは冒頭に書いた食べる人の「土地柄」でしょう。

実は私が生まれて、会社のある広島の中区堺町はかつては問屋街でした。
何回も書いていますが、街を貫くのは西国街道で、途中から北に石見街道の起点があります。そして東側の本川には雁木が設けられており、船で送られた荷をここから陸揚げして、街道沿いに送る問屋街。もちろん山陽路の産物も送る基点でありました。当社の場所は当社がここに来る前は履物問屋さん。こちらから海外にも下駄や草履を輸出するお店だったそうです。

さらに、問屋街となると銀行もあるし、賑わえば食べ物や飲食店、さらに小さな旅館とくれば歓楽街・赤線もすぐ近くにありました。ですからここは問屋だけでなく、飲食にも良い運気のある土地柄だと思っています。

昭和10年の住宅地図、破線は広島電鉄の路線(今と違います)

ところがずらっと並んだ問屋街でしたが、やはり原爆で多くが廃業、移転し、その後商工センターという卸町が旧市内の外にできて、残っていた問屋もそちらに大半が移転したことから、かつての面影はなくなっていました。
それでも当社を含めて細々と商売をしている会社があるのですが、その一つの家具屋さんが本社ビルを売却され、事務所とカタログで商売する形態に変わられます。

なるほど時代の流れだな、と思ったのですが、その売却したビルは躯体をそのままにして「葬儀場」になるとのこと。確かに大きな家具をフロア移動するためのエレベータとかありましたが、棺を移動させるに丁度いいかもですし、広い階段も都合が良いそうです。

更に道を隔てた北隣に長い間廃墟になっていたビル(昔は進物屋さんでした)がありましたが、そこも何かできるようで工事が始まりました。家具屋さんに聞くと「ビックリしちゃいけませんよ、会員制のサウナができるそうです」とのことで正直びっくりしました。
近所にある銭湯「土橋温泉」は打撃じゃない?と聞いたら、完全に顧客層が違うので大丈夫でしょうとのことでした。
こちらは先日ビックリするような勉強会があったのですが、なるほどその方がサウナを作られるのか…。

なるほど葬儀場の方も、最近増えた家族葬専門の安い葬儀場と、大規模な葬祭場(○○祭典みたいなところ)の間にある空白のゾーン、ちょっと立派でかつ小規模というニーズを狙っているとか。

今まではこの堺町というのは問屋のDNAが流れている土地柄と思っていましたが、確かに卸の機能は相当変化してきています。それだけに堺町筋で卸をやっているのはもう10軒程度でしょう。
卸とは何か?卸売業の機能には①調達・販売②物流③金融・危険負担④情報提供があると言われています。
既に②の物流は宅配業者等で大きな社会変化があり、③についても小口のカード決済やネット販売業者が危険負担もするようになりました。➃の情報提供もお客さんは自由にネットを駆使してあらゆる情報を手にする時代。
となると存在意義は①だけです。それはお客様が必要とするものを提供するということですから、葬儀場、サウナと顔の見えるお客様に提供するという意味では、この土地柄にあっているのかもしれません。
そこから考えると、当社は葬儀場やサウナのように、今の時代に合う(お客様に合う)ようなこの土地柄にあった商売をしているのか?
仮に土地柄からずれているなら、引越すべきなのかも…と思う次第なのです。

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