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鐵眼は一生に三度一切經を刊行せり

これは驚いた。

私は「布袋様」が大好きですが、その布袋尊をお祀りしているお寺の中で最も有名なのが宇治にある黄檗宗の萬福寺さん。こちらの開祖の「隠元」さんは「インゲンマメ」をもたらしたことでも有名。萬福寺さんは大きなお寺なんですが、そこに入ると巨大な布袋様があります。

さて以前その布袋様にお目にかかろうと伺いました。
JR黄檗駅から真っすぐ行ったら萬福寺ですが、帰り道は同じ道を通るのもなんだからと、少し北よりの道を行くと「宝蔵院」というお寺があるのをたまたま見つけました。
入り口に重要文化財「鉄眼版一切経版木」と看板があり、引き込まれるように入るとそのお寺の裏手に収蔵庫というのがあるのを見つけ、入ってみました。コロナ前でもあったので自由には入れましたが、今は申し込みが必要らしいです。
そこに入り二階に上がるとなんと仰天するくらいの版木の山また山、全部が経典なのですが、こちらの開祖の鉄眼禅師が寄進を集めて作られたのがこれ。

寄進を集めてとりかかるも、大阪の大洪水の復旧費用や近畿の大飢饉に拠出したりして、三度目の寄進でようやく本願達成となったというもの。もちろん版木を作るのが目的ではなく、全国のお寺にこの一切経を寄進するためのもので版木は手段。何とも素晴らしいお坊様であります。

で冒頭に戻りますが、少々うろ覚えな所もありますが、確か職人さんに聞いた話では、こちらの全6,956巻、全部で6万枚もある版木は現役で、リクエストに応じてこちらの刷り師が手刷印刷され、刷ったものの製本は京都市内のお店さん(多分それがこの貝葉書院さん)が行っていたと聞いた記憶があります。
今回それが保全の観点から終了することになり、これからはリクエストの多い経典は木の版じゃなくて、金属、活字、もしかしたら製版かオンデマンド出版になるのでしょうか。

いずれにしてもそれはこの版木があったから伝承されるということになります。

なお、鉄眼禅師の偉大な功績は、戦前小学校の国語の教科書にも載っていたとかで、それがこちらです。

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