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ミッドナイト・ライダー

私の音楽でのダントツ最愛のバンドは「The Allman Brothers Band」です。このことは何度も書いていますが、先日ボブ・ディランの新著である「ソングの哲学」を読んでいて、深く感銘を受けました。

この本は「哲学」とあるように、ディランは曲と詩の向こう側にある曲の世界の解釈をしているのですが、それは単に歌詞の解説ではなく、原曲の歌詞から立ち上がる一つの光景、小説といってよいものになっています。
「ああ、こう聞いていいのか」「今まで何を聞いていたのか」という衝撃を受けるような素晴らしいものでした。

その中の一曲に「The Allman Brothers Band」の「ミッドナイト・ライダー」がありました。冒頭書いたように、大好きなバンドの大好きな曲ですから何十回、何百回と聞いている曲です。

その歌詞は

Well I've got to run to keep from hidin'
And I'm bound to keep on ridin'
And I've got one more silver dollar
But I'm not gonna let 'em catch me, no
Not gonna let 'em catch the Midnight Rider

I don't own the clothes I'm wearin'
And the road goes on forever
And I've got one more silver dollar
But I'm not gonna let 'em catch me, no
Not gonna let 'em catch the Midnight Rider

And I've gone by the point of caring
Some old bed I'll soon be sharing
And I've got one more silver dollar
But I'm not gonna let 'em catch me, no
Not gonna let 'em catch the Midnight Rider

No, I'm not gonna let 'em catch me, no
Not gonna let 'em catch the Midnight Rider
No, I'm not gonna let 'em catch me, no
Not gonna let 'em catch the Midnight Rider

冒頭はこんな感じでしょうか。

逃げてんだ、走らせつづけるんだ
まだ一ドル銀貨がある
捕まりゃしないさ
ミッドナイト・ライダーは捕まらせない

これをボブ・ディランはこう解釈しています。


現れ出でたるミッドナイト・ライダーは、ヒーローの中でも群を抜く存在。 コスチュームに身を包み仮面を被る ― 農民や、自営業者や、法を守る市民に代わって。 当初彼は、あれやこれやに反対し、「下手に口を出すな」と言われた。それで別の武器をもって今ここに姿を現した。 町の悪習を倒壊させ、鉄のヒールで踏みしめるためだ。
性的不道徳と社会的腐敗を彼は糾弾する。はびこる官僚主義、政治ブローカー、選挙不正、堕落した組合リーダー、政党乗っ取り、大企業による社会寄 生、美味しい便宜、ブラックな資金供与に敢然と立ち向かう。 ミッドナイト・ライダーは敵の分裂をも図る。 不文の掟を作ってそれを実行するパワーも能力もバッチリだ。 進歩党であれホイッグ党であれ新興勢力の大将であり、左翼であり右翼であり、弱い者・無知の者を餌食とする全員に敵対し、怖れて発言できないみんなを代表して、その場に権威をうち立てる。 ミッドナイト・ライダーは、善を為すために暴力に訴える。すでに警告は発した。夜更けになればやってくる。町が寝付いて、魔女の飛び交う時間になったら。
ミッドナイト・ライダーには共感者がいるのだ。

う~ん、ミッドナイト・ライダーか…。次のページには「スリーピング・ホロウ」で有名な首なし騎士の絵(タイトル写真)がありました。

さらにこの曲のイメージ写真には1ドル銀貨が。
あぁ!1ドルは自由の女神の刻印なのか…。

私の手元にあったのはスーザン・B・アンソニーのダラー硬貨です。初めての女性1ドル硬貨だそうです。

「ソングの哲学」岩波のサイトには訳者による補足とYouTubeで聞くことも出来ます。

そのミッドナイト・ライダーで重なった人がいます。

れいわ新撰組の山本太郎代表の、非人道的な改正入管法の法務委員会での強行採決の場面に対する懲罰動議に対して用意されていた弁明(実際には取り下げられたので出されなかった⦅出す機会すらなかった⦆)を読みました。

ボブ・ディランの解釈と重なり、山本太郎氏はミッドナイト・ライダーだと強く思いましたし、ミッドナイト・ライダーに深く共感しました。
「行け!走り続けろ!ミッドナイト・ライダー!」


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