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梅の花から桜の花

今年は随分と春が遅い気がするのは、以前も書いたけど「土筆採り」が一昨年、昨年より2週間遅く、普通の年からも1週間遅いからなのだ。体験的に感じるんですね。

週末は湯来温泉で「キノコのお話とシイタケ植菌体験」というのに参加してきた。本当は二月の予定だったが「まん延防止」の延長により、日程変更でここになったんですね。会場は湯来の交流体験センターで、参加者は8名程度でしたが、とても良かった。このところ知らないことはやっぱりプロに聞くのが良い、教えてもらうのが良いというのを痛感するんだね。生半可な知識の人に教わっても細部は教えてもらっても全体像がわからなかったり、個々の手順はわかっても、流れを掴み切れなかったりする。今回の講座も1時~4時の3時間もあるので、えらい長いなと思ったがやはりこれでないといけないのだな。

第一部は「しいたけはどんな生き物か」というしいたけだけでなく、菌類、そして生物界全体の話で、知らんことが多かったぞ。なんと菌類は植物よりも動物に近いんだよね。それで思い出したのは、去年ペーター・ヴォールレーベン氏の「樹木たちの知られざる生活」という仰天する本を読んだこと。その本には樹木は互いに会話する(実際にぺちゃくちゃしゃべるかは別)、コミュニケーションを取っているが、その手段の一つに「菌根ネットワーク」つまり地下・地上の菌類(キノコ類)の菌糸のネットワークを使うとあったことを思い出したのだ。イメージとしてはインターネット網、ワールドワイドウェブでありますよ。キノコの菌糸が張り巡らされ、その禁止を使ってこっちの木から隣の木に情報をやり取りする。そんなイメージですわ。

第二部は「シイタケ栽培の流れ」であります。木を切ってすぐにタネ(菌駒)を植え込むわけではなく、その木が生木であると菌が増えないので、十分に乾燥させることが大事。しいたけ菌は「落葉腐朽菌」つまり生きている樹木にはつかないので、原木が枯れ死していなくてはいけないのだ。で樹木の含水量がある程度に落ちた段階で玉切りをする。切ってからその後の菌駒を打つまでに日数が開きすぎると雑菌が侵入するので、あまり開けないこと。この講義で一番注意を受けたのが、しいたけをたくさん作る、しいたけ菌を成長させるために重要なのは「温度」「湿度」「酸素」で、雑菌が入るとこの「酸素」を奪われてしいたけ菌が育成しないので、とにかく清潔することを繰り返し指示された。

で、ようやく第三部の「しいたけ菌の植え付け実習」であります。一人二本の原木をいただいて、二人一組(私は年輩の女性)でドリルで何か所か穴をあけ、その後菌駒を金づちで穴に打ち込む。この時両手、金づちはアルコール消毒し、菌駒も下に落ちたら絶対に使わないこと。打ち込む後は大丈夫だが、この時に地面の雑菌が混ざると上手くいかないそうだ。

その作業を終えて植え付けは完了、各自持ち帰って今日中にやる作業の再確認をし本日の講習会はお終いでした。講師の方は湯来の方でしたが素晴らしく、終わってから「先生?」「指導員?」と伺うと「いやいや『きのこアドバイザー』で、もともとは製薬会社ですよ」とのこと「えっ?趣味!」とビックリしました。これは知り合いの里山整備をしている仲間にも知ってもらいたいな、年に何回かこういう講習をしておられるようです。その先生が「今回は講習が延期になってハラハラしました。しいたけ菌の植え付けは『梅の花から桜の花まで』と言われてます。この時期にしないといけないので、今年はギリギリ間に合いましたね」

なるほど、第二部で教えてもらいましたが、桜の花までに「駒打ち」を終えないと、4月の中旬までにやる「仮伏せ」梅雨までの「本伏せ」夏場の「伏せこみ管理」秋以降の「ほだ場管理」と続くのに間に合わないのですね。その流れはしいたけ菌の成長に大事な「温度」「湿度」にあわせて決まっているのも理解できて大変良い講習会でした。

今回は日本のしいたけ菌を植え付けた原木二本と会場の隣の「湯来温泉ロッジ」の入浴券付きで3500円でした。今回は気分転換もかねて女房が義理の両親を連れてきたので、入浴券を渡してのんびりしてもらいました。

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