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To Kill a Mockingbird

「アラバマ物語」の原作タイトルは「To Kill a Mockingbird (物まね鳥を殺すこと)」です。

これは隣人のモーディが「青カケスは撃ってもいいけど、マネシツグミは殺してはいけないよ、彼らは私達を歌で楽しませる以外何もしないのだから」と言う言葉から来ています。
いわゆる社会的制裁の多く、特にSNS系の制裁はこの「物まね鳥」を対象にしたものが多いと思います。鳴き声がうるさいという人がいるのでしょうか。

ガーディアン紙にニーナ・シモンの聞くべき20曲というのが紹介されていました。

ニーナ・シモンは数多いるモッキンバードではないですね、心の奥底まで揺さぶる彼女の歌声、思いは決して楽しませる以外の大事なものが入っています。

ずいぶん昔ですが、ブラジルのミュージシャンの演奏に歌手の歌声を抜き出してダビングした「Studio Rio Presents: The Brazil Connection」というアルバムがあります。演奏はロベルト・メスカネルやマルコス・ヴァリも入ったボサノバ風のアレンジですが、名歌手の歌部分は自身のマスター原盤からボーカル部分を抜き出して演奏に重ねたものです(実際はボーカルに演奏を重ねたのでしょうが)。
最初はたいした思いなかったんですが、これが本当に良いんです。

なんといっても、素晴らしい一流歌手の競演で、甲乙つけがたいのですが、これを聞くと一流の中でもさらに超一流、至高の存在である歌手の違いもわかります。もちろん好き嫌いはあるでしょうが。

私はこのアルバムで繰り返し聞いていつも心打たれるのは「ユーヴ・チェンジド / ビリー・ホリデイ」と「自由になりたい / ニーナ・シモン」です。この二人は図抜けて素晴らしい。ボサノバ風の少し甘々の演奏であっても、いやそれだけにいかにこの二人が偉大な歌手だったかということがくっきりとわかります。

このアルバムに出ている歌手は
Bill Withers,
Aretha Franklin
Marvin Gaye
Billie Holiday
Sly & The Family Stone
The Isley Brothers
Mel Torme
Nina Simone
Johnny Nash
Dave Brubeck with Carmen McRae
Andy Williams and Sarah Vaughan

ですが、もちろん間違いなくこれらの人は巷のモッキンバードではありません。

でもう1つ思うのは、いま日本の歌謡界でモッキンバードでない、歌の底にある何物かを表現する歌手はいるのだろうか?ということです。
もちろん美空ひばりや都はるみなどはモッキンバードではなかったでしょう。

でもジャ○ー○の皆さんや○○坂の皆さんは間違いなく数多いるモッキンバードだと思います。
彼ら自身がそれをわかるのは彼らが50歳くらいになった時、声が出なくなった頃に本当に自分の歌に何が残っているのかがわかると思います。まあそれまで歌手なんか続けてないよね、タレントやヘボ役者にでも転向していりゃいいし、と思っているようには思いますが、聞く方は災難です。

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