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旧町名さがしてみました@広島市中区西側

この本はなかなか面白かったです。

なるほど、昭和37年に住居表示法の改正があり、それで旧町名が一気に消されたとは知りませんでした。
私は今の住所の付け方がとても嫌です。特に区の名称なんか広島の旧市内は「中区」「東区」「南区」「西区」と馬鹿じゃないかと思うくらいの役人仕事。その後合併した「安佐南区」「安佐北区」「佐伯区」「安芸区」も結局頭についているのは以前の「郡部」だった時のそのままです(安芸郡→安芸区みたいな感じ)。
その地域がどういう街だったかという歴史はやはり町名が示しています。それを再確認した意味でもこの本はよかったです。

この本は東京の23区での消えた町名についてのこまめな記録ですが、では広島はどうか?そう思い立って、先ずは調べると、広島市に一覧がありました。

なるほど、今会社のある(私の生誕地でもある)中区堺町で見ても、関係あるのは東側に「塚本町」があり、南には「西新町」「西地方町」、北には「油屋町」、「西大工町」「横堀町」「北榎町」がかつて存在し、今堺町は一丁目と二丁目しかありませんが、かつては三丁目、四丁目もあったとは知りませんでした。

堺町のある場所は、北は広瀬、南は江波という洲の上にあり、かつては「大広瀬島」とも呼ばれていたと聞きます。
その大広瀬島も今の平和大通りから南は海で、だんだん干拓され今の状態になっていますし、東隣の中島も国道二号線より南はかつては一括りで吉島本町になっていますので、これも元海面下。そこでそれより北側の大広瀬島と中島の旧町名に限ってみると、このような感じでした。

そもそも、塚本町と堺町の境の線引き、区割りは知っていますので、そういう要領で、それ以外の旧町名の区域は特定できそうな気がします。
まずはデスクトップ・ディテクティブで手元にあった地図を検索しました。「大日本職業別明細図 大廣島市」(昭和14年発行)のもの。これには上記の町名が全部載っていました。

位置関係がわかるので、リストを当てはめると、ほぼ下のようなレイアウトになります。

ビフォー

堺町の上の空白は、今の電車通り(寺町通り)で、中島本町の左側は本川になります。
鍛治屋町が今の本川小学校あたりですから、その上の空白が電車通り。
己斐方面の広島電鉄の路面電車は、鍛冶屋町と左官町の間を南下して、堺町の南で左折して今の小網町の電停に繋がります。
今の平和大通りは小網町や西新町、西地方町のあたりです。でどうなったか。

アフター

これ見るとわかりますが、今の町名の広瀬町、榎町、本川町、土橋町に中島町、加古町は名前の一部は残っているところもありますが、新たに生まれた町名ということになります。
また今まで西十日市町は十日市町の西側だからと思っていましたが、いやいや西九軒町や西大工町の頭文字があったからかもしれませんね。
また十日市町がこれだけ広くなったのはこの町内のど真ん中を南北に「出雲石見街道(雲石路)」が通っていて、西引御堂町辺りより商店が多く賑わっていたからかもしれません。

ここまではデスクトップ・ディテクティブですから、今度はこの本のように実際の旧町名表示物を探して「ぶら」してみようと思います。でも原爆で一面焼け野原の地域ですから、残っているだろうか。

しかし、これら無くなった旧町名、いずれも洒落てますよね。確かに仕事と直結した町名だったのでしょうが、今でもそこでやるべき商売の遺伝子が土地に残っているのではないでしょうか。
本川町や中島町が小さな町名を合算して色気のない名前になっているのは、お役所仕事ということでしょうか。
町のいわれは国立国会図書館のライブラリの「広島市史」で見ることが出来ます。この界隈は

ところでこの「大日本職業別明細図 大廣島市」には「西遊郭」の文字が…。目を皿のようにして地図を見ると見つかるかも。

前述のように私は子どもの頃、堺町に住んでいました。子ども時代ですから広い道の向こう側に1人で行っちゃいけないとか、川の向こうはダメというのがありましたが、たまたま公園で知り合った女の子から「ついておいで」と誘われて、その子の家に行ったことがあります。
楽しく遊んだ記憶もあるのですが、その家の界隈が、なんだか建物の構造が普通じゃないことを子ども心に感じたことがありました。
家に帰ってから親に言うと「あそこは行っちゃいけん」と叱られました。
そう、その場所こそ「西遊郭」の場所。昭和30年代後半のことですから、まだそういう雰囲気(商売も)が残っていたんでしょうね。

タイトル写真は「大日本職業別明細図」に載っていた広告。先日閉店するという記事をアップした昔からのお店「芸陽堂(頼山陽煎餅)」さんです。今の場所に来られる前の広告なので「塩屋町」となっていますが、ここは今の紙屋町サンモールあたりの旧町名。なるほどこちらの豆煎餅に塩味が効いているのはそこがもとだったのかもしれません。
今の場所は旧町名だと「堺町3丁目(現堺町2丁目)」になります。


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