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やるまいぞ、やるまいぞ

先日高校の同窓会があったのですが、今回の同窓会で幹事役や司会をしたりしたので、知己に親しく話をする機会が取れず、まことに無念でしたが、まあ仕方ない。みんなが楽しい時間を過ごしてくれたことの満足です。
そんな同級生は卒業後半世紀経つと色々ですが、浴衣姿で酒を飲めば肩書なんかどこにもありませんから、懐かしい友人同士の時間でした。

散々飲み散らかした後の翌朝。朝風呂に入ってベランダでまったりしていたら、同級生が一人起きてきてダラダラと近況について話をしました。

彼は、高校卒業後に外語大でアラビア語を学び、今は東京六大学の一つで教授。
アラビア語はもちろん喋れるし、学生にも指導しているそうですが、専門は社会学・文化人類学みたいなものだそうで、特にイスラム社会は日本とはずいぶん違うので、とても興味深いと言っていました。

その彼に小池氏の話を聞きました。「アラビア語って難しいんでしょ?」

すると彼は「どんな言語も難しいけれど、アラビアの日常語はたまげるほどは難しくはない。ただ、小池氏が学んだというエジプト大で教えるのは日常語ではなく、日本で言えば古語なので、これは難しい。
日本人が今の言葉でしゃべるのと、平安時代の歴史的仮名遣いをつかえるのとは全く違うでしょ」とのこと。

彼によると「今の日常語を喋ったからと言って平安時代の言葉が使えるというわけではないから、小池氏が自ら証明するなら、さらさらっと万葉集を読み語りが出来るような感じでアラビア古語のものを読めばよいだけ。エジプト大卒なら出来るはずだけどね(自分は出来んけど)」とのことでした。

なるほど、アラビア語話者に聞かないとこの辺のからくりはわからないな。アラビア語専攻した教授だから信頼性も高いうえに、何より私の友だちだもんね。

そこから考えると、逆にこの投稿はあまり適切なものとは言えない、目くらましのようで、私の感想は、狂言の附子の「捕らへてくれい。やるまいぞ、やるまいぞ」ですね。

附子はトリカブトの毒ですから、小池氏自身が毒なのか、このツイートが毒なのかどちらかでしょう。

先日も紹介した宮本常一氏の著作に「行商」についてのものがありました。広島県の三原市能地(三原と忠海の間)の小さな漁船を使った行商人の老女が誠に立派だったということなのですが、その中に

「行商をしている間にずいぶんだまされたことはありましたが、人をだましたことはおぼえておりません。それが結局は長い目で見ると、今日まで何とか生きてこられたもとになっているのでありましょう」
う~ん、政治家に「だまさない」ことを求めても詮なきものかもしれんが、政治家の前に人間なんだけどね。

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