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素晴らしいチームを作り上げた素晴らしい監督

やはり土曜日のルヴァン杯の決勝のことも書いておきます。
本当に嬉しかった、先週の天皇杯の負けがあったが、取り返す機会がすぐにあったことは何よりだと思っていましたが、選手はそう簡単に気持ちの整理は出来なかったろう。

でも「勝ちにこだわる」気持ちは先週の負けで、より強いものがあったと思うし、最後の最後アディショナルタイムでの大逆転は、まさにその賜物だったのじゃないだろうか。もちろん「工藤壮人」逝去のショッキングなニュースも心の奥には刻まれたと思う。
大人のチームはどうしても「計算」をしてしまうので、ダメじゃないか…という気持ちがどこかに出てしまう。それは経験豊富だからこそおきるマイナスでもある。


私は稲盛和夫氏の勉強をしているので、「もうダメだというときが仕事のはじまり」「成功するまであきらめない」「心に描いたとおりになる」というフィロソフィにある言葉がやはりこのゲームでも表れたと思う。
計算高いと「残り時間からして追いつけないだろう」とか「無理じゃないか」と頭をよぎってもおかしくないが、それこそが負けに繋がると稲盛氏は指摘する。
タイムアップ迄勝負はついていない、諦めるのはタイムアップの笛が吹かれた時。経営のなにもかも同じことで、諦めたら諦めた結果になるのは当然だろう。

しかし、そう思って戦うのは決した楽じゃない、とても苦しいことだと思う。
私は今年のスキッベ監督のサンフレッチェのマネジメントで思うのは、決して楽な試合などなかったが、最後に追いつき、追い越す試合がいかに多かったかということが象徴的だと思う。今回の試合だけでなく、セレッソとの全ての試合もそうだった。負けがちらつく中で勝利をつかみ取る。その事こそ何より大切だと彼らが体現してくれたのは、リーグの清水戦だったと思う。

この試合は川村の超ロングシュートの記憶が大きかろうと思うが、試合は一進一退の中、60分に塩谷が一発レッドで退場、10人で残り30分を戦うことになり、私も見に行っていたが、とにかく固く守ること、そしてわずかなチャンスを狙うしかなかった。
ガンガン狙われる中、82分に途中から入った川村がゴチャゴチャっとしたところで球を奪い、サイドの柏に送り、そのままゴールエリアに侵入した川村が再び球を受けてゴール!
引き分けで上等だと思っていたのに、ゴール!その後も必死で防御したところにおまけで超ロングシュートが生まれた試合でした。

それまではどんな試合でも必ず苦しい時間帯があり、それをしのぎ切れないことも少なくなかった。それがこの試合が典型的だが、堅い守りから自分の得意な技でゴールを狙う。それを確信できたのではないだろうか。
もちろん選手たちはとっくにそのことは理解し、身体に入れ込んでいたから、清水戦でも出たのだと思うし、それこそがスキッベ監督のマネジメントだと思う。

そして忘れてはならないのが、この2年半コロナで無観客試合や、入場制限があり、ついこの前まで声出し不可だったことだ。
久しぶりに緑のピッチを目の当たりにし、その上を選手が駆け回る素晴らしい光景に感動したのは去年のこと。
試合が見れる素晴らしさ、試合のあるありがたさをしみじみ感じていただけに、私は昔以上に対戦相手のチームに対しても、本当にありがたいと思うようになった。相手がいなかったら素晴らしいゲームも見ることが出来ないからね。

もちろん選手一人ひとりも「工藤壮人」のことがあったので、ピッチでサッカーが出来ることがいかに幸せなことなのか、というのもひとしお感じていたのじゃないかと思う。あのアディショナルタイム、同点弾、逆転弾も工藤が後押ししてくれていたことも間違いない。

今回のルヴァン杯後、サンフレッチェの円陣で監督がまず口にしたセレッソへのリスペクトには本当に感動した(18分過ぎから)。こういうことを言ってくれる監督が来てくれて本当に良かったと思う。

中でスキッベ監督はセレッソの小菊監督のことを「素晴らしいチームを作り上げた素晴らしい監督」と評しているが、それはまた「素晴らしいチームと闘うことが出来た喜びをチームは感じて欲しい、そして素晴らしい監督と闘える喜びをまた私は感じた」と言っていると解釈してよいのじゃないかな。

今回も学ぶことは多かったが、稲盛塾長の
「きれいな心で願望を描く」
「常に謙虚であらねばならない」
「感謝の気持ちを持つ」
をまたこの円陣からも学びました。

それとPKの時、決勝のCKの時も、私は生まれて初めて手を合わせて祈りました。PKのシーンではベンチ前で松本泰志選手が手を合わせ、頭を下げて祈っている姿がありましたが、本当に同じ気持ちでした。
もちろんテレビ桟敷の前とは大きく違いますが、ピッチから出た選手にはそれくらいしかできることがない、戦えるのはピッチの中の選手だけ。それだけにピッチに出て戦うのは苦しいだろうけど反面何物にも代えがたい幸せなことだということもまた感じたのです。

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