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W杯の印象

私のW杯の印象です。

1 W杯のような国別の試合より、やっぱりサンフレッチェの方が好き。日本代表も押してはいたが、まあだからと言って熱くはなかったかも。もう国の争いっていう時代じゃないのかもしれない。五輪でも感じたことだが。

2 それ故、勝ち負けよりも試合の中身の方に集中して見ることができた。とにかく攻守の切り替えが速いのが一番の印象。ベスト8以上の試合になると、球を持ってから「どこに出せるかな」と球出しをする場所を探る選手などいない。受けた瞬間に出す場所を決めているし、受ける側もその場所にピンポイントで走りこんでいる。フィジカルや技術だけなく頭のスポーツだな。

3 今回の大会は全般的に好試合が多かったし、ジャイキリみたいなこともあったが、総じてみれば大会に出てきた国の力量差はかつてほど開いていない。これは各国の選手が海外リーグで経験していることが大きいのではないかな。

4 決勝に進んだにチームは、タレントもいるが、それ以上にチームとしてのまとまりを感じた。ポルトガルはロナウドの能力は高かろうが、チームとしてのまとまりが見られなかったように思う。逆にタレント不足と思われた日本はチームとしての戦いで決勝トーナメントに進めたのではないか。
今回は11月開催ということで、特に各国はシーズン中でもあるので代表チームとしての強化期間が短かった。選手として技量は高いが、チームとしての成熟度を高める期間が短すぎたのではないかな。ドイツ(日本)やアルゼンチン(サウジアラビア)が初戦で星を落としたのはその表れだろう。

5 しかし試合時間が日本時間の夜7時、10時、0時、4時というのは勘弁してほしい。結局見れたのは7時と4時の試合で、後は寝てました。

6 地上波では日本以外の試合はほとんど流れず、準々決勝も全部はやらないというのは呆れたが、それ以外のワイドショータイムでは死ぬほどW杯ばかりやるのは閉口でした。もちろん国営テレビのニュースのトップに毎回W杯が登場するのは、お粗末な政権の綻びを見せぬためという意図が垣間見えてゲンナリ。

7 私はAbemaTVは見なかったが、そちらの本田氏の解説が良かったと聞く。一方絶叫系の解説をする元ヴェルディの監督辺りは解説としては聞くに堪えなかった。解説者の力量もはっきり分かったように思うし、選手やプレイを評価しない解説者は床屋のやじ馬と同じだろう。できれば副音声は会場の音だけにして欲しい。

8 これで日本選手の海外チームへの移籍が今後も続くだろうと思うし、日本代表に選ばれるためには、海外でもまれなければというのも間違いない考えだろうと思う。
以前の大会ではフィジカルで圧倒的に劣っている感じがあったが、今回はそんなことはなかった。互いにぶつかったら日本の選手は直ぐに倒れて、球を奪われていたが、今回は互角以上に競り合っていた。これは経験の賜物だろう。やはり海外で磨くのは大事だ。
しかし、勘違いしてはいけないのは、選手寿命というのは決して長くはないということだ。活躍できる時期に試合に出ないとどうしようもない。プレミアやブンデス、リーガから声がかかり、嬉々としていく選手がいるが、ビッグチームであれば、残念ながら出場機会も少ないだろう。気が付けばリーグ戦要員ではなく、カップ戦要員となり、あっという間にレンタルで放出される。レンタル先では実力評価だけだから、更に厳しい環境に身を置くことになる。
例にして悪いが「久保建英」さんはまさにこの負のスパイラルに入っていて、W杯でも気持ちに身体が付いていかない状態だったと思う。さらにこのことが「自分は勝負時に一線を超えることができない」というイメージになってしまったら、技術はあるが勝負弱い二流の選手になる。これまた例にして悪いがガンバの「宇佐見貴史」さんもこうだったんじゃないかな。
海外に行くのは良い、しかし試合に常に出続けることが出来るチーム、リーグでないと行く意味はない。良い選択をして欲しい。

9 森保監督はよく頑張ったと思う。しかし監督としては交代した方が良い。彼は能力は高いので、やるべきことは山ほどある。JFAの強化部長であるとか、裏方に回りそちらの強化をすべきだと思う。
そして新たな監督は監督やコーチとしてW杯ベスト4の経験がある人を呼ぶべきだろう。今大会はベスト8を目標にしたからベスト16どまりだった。ベスト4まで狙わねばベスト8にもなれまい。しかし決勝トーナメントを見ているとグループリーグとトーナメントでは絶対的な違いがあることもわかる。その肝を分かっている人でないと、ベスト4狙いのベスト8には進出できまい。
過去何大会かで見ると、日本のメンタリティに合いそうなのは「ドイツ」「オランダ」「クロアチア」のスタッフだろうか。
行ってもらうと困るがサンフレッチェのスキッベ監督は日韓大会でのドイツのコーチだった(準優勝)。こういう人を探すべきだろ思う。仮にスキッベ監督がスカウトされたら、サンフレはクロアチアからミキッチを監督として招聘すべきだろうな。

10 最後にカタールのスタジアムについて、超低賃金外国人労働者を使って作ったことについての批判は大きかったが、大会によって糊塗されるわけではなく、大会後もこの問題に対する批判は続くと思う。
また、砂漠にこんなの作って凄いねとは思うが、果たしてこのスタジアム群は今後どうするんだろうか。 日本も一つ作った国立競技場ですら、先行きの見通しが立たないということらしいけど、もはや大規模なスタジアムを作り、一過性のイベントをするというのは大間違いのコンコンチキの時代になっているのだろう。
起爆剤としてイベントを呼ぶ、経済浮揚効果として器を作る、それはとっくに終わった思考だ。

11 優勝したアルゼンチンのGKが非常に不適切な態度をした事が指摘されている。この大会は大会開催前に欧州の7チームが性的少数者(LGBTQ)らに対する差別撲滅への連帯を示すため計画していた腕章着用をFIFAが禁止し、「スポーツに政治は持ち込まない」というええ加減な指示をしたことでFIFAも品格を疑われた。
最後の表彰式で勝者のGKがマチスモ的な振る舞いをした事は甚だ遺憾だ。いくら今大会で女性の審判が多用されたとしても、トップチームの選手の意識はこの程度かと思われても仕方ない。まことに残念だった。
もちろん「ハハハ」という解説者も同レベルだと思う。「誰か傷つけてないから」というのも本田氏が男性目線だという表れだろう。


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