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清算

ピースキャンドルは使用済みの牛乳パックを使って作成します。作る作業自体はそんなに難しいものではないのですが、溶けたロウを使うこと、そのロウの温度管理が難しいので、学校の場合学年単位でやることが多く、2クラス以上の場合は体育館で、先生や保護者の方に手伝って頂いて行うことが多くありました。というか、それくらいの規模(場所・人手)でやらないとロウの温度管理の関係でなかなか難しかったのです。でもそういった場であれば300人くらいは2時限の授業時間で作成し、絵付けをし、灯してみるというのは楽勝でした。

しかし新型コロナで、特に学校ではこのように集合して、密で…というのが出来なくなりました。また修学旅行で広島に平和学習で来られた小・中・高等学校さんが来広時に宿舎で作成し、ドームで灯す(その後お預かりして86で再度灯します)ことも出来なくなりました(毎年15校以上やっていました)。

そして8月6日当日も不特定多数が集まること自体も、平和公園の使用許可を出していただいている広島市の対新型コロナのガイドラインが厳しくなり、困難、出来なくなりました。

新型コロナが広がった2020年はそのような状態でした。さらに2021年も同様で、先の目処がたたなくなり、学校への案内も二年連続中止、修学旅行も全部お断りしました。

更に弱り目に祟り目とはこのことでしょうか。広島市の市民税課から事業についての指摘を受けました。当会はNPO団体で収益事業は行っていません。結果的に収支トントンか赤字続き。県市の納税も減免していただいていました。しかし、参加者に原価分のロウの費用を負担してもらっていました(実質は原価割れでしたが)。市の言い分としては「そのやり取りするのは売買(収益事業)ではないのか?」との指摘です。過去の決算書を何期分も出し、またその背景等を説明しましたが、市の方は「売買行為(収益事業)であるかどうかは、税務署の判断に従うので、税務署で聞いてほしい」と税務署に一方的にげたを預けられ、確認するよう指示を受けました。

そこで税務署に行き説明しました。結果として「収益の上がる事業はしていないので、法人税の納税は不要。しかしロウのやり取りは原価、もしくは原価割れしているのは理解しているけど、他に適用するものがないので売買となるから、収益事業かな。」というもの。ガッカリして市に告げると「じゃあ過去3期分+前期分、当期分からは減免が外れるので、今後も払ってもらうことになります」との冷たいお言葉。そもそも収支トントンの上に、県民税も含めると50万を超える納税額になります。

そこで税理士の先生に相談したら「これはもう解散、清算しかありません。税務署に「清算予定」と掛け合って、運が良ければ見過ごして、県市も納税しなくて済むかも…」とのことで、大慌てで理事会、臨時総会、総会を経て清算することになりました。ピースキャンドル25年目を迎える春のことでした。思い半ばであっても、新型コロナ二より事業が出来ないこと、そして予想もしていなかったお金(税金)の問題で会の解散をそうせざるをえなかったのです。

8月初めには清算が結了し、清算後に迎えた2021年の8月6日は、お預かりしていたピースキャンドルを仲間と共に灯しました。25年間の感謝の思いがありつつ、平和が実現していない中での会の清算、正直な所様々な思いがありました。

今後ですが、NPO法人としては解散しましたが、個人や仲間とできる範疇でピースキャンドルを「世界の平和が実現するまで」灯し続けていきたいと模索中です。

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