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1円=3800円とエクスプレス・パス

先日の盆休みに久しぶりに朝ドラを見ていたら、お金の話が出てきました。
寿恵子さんが借金取りに200円を追加で借りる話と、帝大の田邊教授の給料が3,000円という話で、万太郎氏らが驚いた場面がありました。
多いのか少ないのかピンとこない、それでググって見ましたら

田邊教授が帝大をクビになったのが明治25年位らしいので、まあまあこの比較で大きく違いはないでしょう。つまり当時の1円は今の3800円くらい。

とすると、寿恵子さんが六平直政から借りたのは
200円×3800=76万円となります。なるほど妥当な借金額かもしれません。

一方田邊教授ですが
3000円×3800=1,140万円となります。確か女子大の校長とかも兼任していたそうですから、妥当な給料かも。

確か森有礼が田邊教授のバックの文部大臣でしたが、彼は国会議員としての俸給は800円なので、304万円の年俸。えっ、大学教授に比べるとえらい安いけれど、それは国にご奉仕ということだったのでしょう。もちろん資産家でなくては政治家になれなかったという反面もあるのだと思います。

この盆休みに読んでいた本の一冊にトマ・ピケティ氏の「自然、文化、そして不平等——国際比較と歴史の視点から」がありました。

ここで氏は平等、不平等とはどういう切り口で見るべきかということを分かりやすく提示しています。

読んでいくと同意できることが多いです。
私の感想は、

所得の再配分のための累進課税はきちんとすべきだけれど、それは所得の再配分にはつながらないので、政策的に相続税でより強化すべきでしょう。
一方消費税は所得や資産に関係なく課税されるので、これは一日も早く撤廃すべし。
また政府は企業に対する税金の減額とセットで消費税を導入したので、企業に対しては再度課税率を戻せばよいと思います。企業の利益の留保が問題になっているわけですからね。

その前に政治家の相続に対する不透明なやり方からお手盛りじゃなくて、しっかり手を入れるべし。安倍夫人の振る舞いはまさに公私混同そのものでしょう。

かりにこのような政治団体を政治家が引退、死去の場合は一度解散して、国庫に資産を戻し(国から一部お金が入っていたわけですから)てしまえば、いわゆるジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)=選挙組織、肩書、金の内、鞄が無くなるわけですから、今みたいに無条件で子どもに世襲ということは減るでしょう。無能な後継者に金を集めてくる力はないでしょうから。
もちろん政治家の良く使う「職業選択の自由」もカバンなしでやればよい。
今はまるでエクスプレス・パスみたいなもの。どう考えても異常でしょう。

さてピケティ氏の不平等に関する締めくくりは「環境問題」。こうあります。

「気候変動の影響がこれまで以上に日常生活で実感できるようになったら、現在の経済システムに対する考え方が急激に変わる可能性は十分にある」

今年の猛暑、数度の台風直撃、毎年恒例になった豪雨被害、気候変動は身近に、日常生活で実感しています。

氏はCO²においても地域、またその地域内の富める人と貧しい人での排出量がことなくこのグラフを提示し、富める上位10%があまりに多く輩出していることを指摘し、排出量の最も多い人たちが最も高い比率で排出削減を行う以外ないと断定しています。
環境問題こそ、経済システムの大転換の鍵とピケティ氏が看破しますが、とすれば、それに手を打たない我が国政府を始め各国は、現状の経済システムを断固として守り抜くという逆の意思表示をしているのでしょう。


で、9年前から更に暑い夏、豪雨、土砂災害、水害は繰り返され、日本中に広がるばかり。無策と綺麗事の結果です。


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