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友愛

10月の「100分で名著」はアリストレスの再放送でしたが、最後の4回目に出てきたのは「友愛」でした。

11月は「古今和歌集」とのこと。愛がテーマでしょうか。さて「友愛」と言えば思い出すのは鳩山由紀夫氏。彼の中にはアリストテレスがあったようです。

そういえば鳩山氏だけでなく、かつての政治家は非常に哲学の造詣が深い人が多かったことが思い浮かびます。
哲学を語る、そのバックボーンから醸し出す言葉。それが今はみなさん実務家なんでしょう、目先の処理をこなせば良い、今凌げば先は先のこと。

で今の岸田君は?この度の臨時国会の所信

これを読んで痛感するのはまあこれだけ課題を羅列するということは、哲学なくあからさまな実務家の安倍氏以降、目先の処理さえ本当にほったらかしだったという事実でしょう。
所信にあった「取り組みます」を並べると。

コストカット型経済、物価上昇、賃上げ、脱炭素やデジタルなどの投資、人手不足、エネルギー価格の高騰、資産運用業の改革、労働市場改革、企業の新陳代謝促進、物流革新、百六万円の壁、電気・ガス料金の激変、国民負担率の高齢化等による上昇、デジタル敗戦、マイナンバーカードの早期普及、デジタル田園都市国家構想、デジタル行財政改革、地域交通の担い手不足、移動の足の不足、予算事業の見える化、多様性が尊重される包摂的な社会づくり、こども一人当たりの支援、こども・若者の性被害、不登校やいじめに、教職員の処遇見直し、認知症対策、高齢者の生活上の課題、花粉症、オーバーツーリズム、循環経済への取組、持続的な食料の安定供給、農林水産物・食品の輸出、中小・小規模事業者対策、ゼロゼロ融資、人口減少や過疎化、東北の復興、国土強靭化、リニア中央新幹線の整備、広域交通ネットワークの構築、大阪・関西万博、安全保障環境、米国との関係深化、日韓関係の改善、強力なウクライナ支援、対ロシア外交の大転換、グローバルサウス、核軍縮、中国との関係、ALPS処理水、日本産水産物の輸入停止、韓国関係、日ロ領土問題・平和条約、拉致問題、日朝関係、防衛力強化、基地負担軽減、強い沖縄経済、憲法改正、皇位継承、旧統一教会

いやはや自公が作ってきた社会で「先送りせず、必ず答えを出す」の反対、「先送りし、見て見ぬふりをした」結果です。
哲学がない上に、実務家でさえなかったからその結果が上記全てでしょう。
今更何を天に唾を吐くようなことを言うのか、というのがこの所信だと思います。最後には

「古くなった制度を取り払い、全ての人が輝ける日本らしい包摂的な社会を創る」

とは更に電通やパソナ、ITゼネコン等に丸投げした上で、全ての人をがんじがらめにする社会創りを続けるということでしょうか。

坂口安吾は「散る日本」の最後に
「政治家は政策の実行の鬼と化し、各々その道に倒れて然るべきもの、風格の偉さなどといふものは、どこにも有りやしない。」
と書いていますが、今の政治家にはそれすらもない。

所信における課題を羅列すること自体が、これらは自分の責任ではない、と言っているのと同然の厚顔な発言であり、実行を棚上げした責任を知らんふりしているといえるでしょう。さらに全く見えないのが「哲学」。彼の言う

「人々のやる気、希望、社会の豊かさといったいわゆる「ウェルビーイング」を拡げれば、この令和の時代において再び、日本国民が「明日は今日より良くなる」と信じることができるようになる。」

なんてまさに中身が全くないきれいごと。やる気、希望なんて羅列や問題にパッチをあてるだけで、生まれるはずがない。
「やる気、希望」はまだ見えぬ先にある道筋を期待するからこそ生まれるもので、その道筋とは間違いなく為政者の哲学からの言葉が照らすものでしょう。

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