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ブロイラー杉

先日学校の後輩(小学校から高校まで)の林業の経営をしている人の話を書いたが、彼に聞いて驚いたことがあった。
まあ当たり前といえば当たり前なのだが、木はそのままで使うことはない。大きな木でも根元から3m程度(三分の一)でカットし、それが一番価値がある。その上の二番目の三分の一の部分は集積材みたいなものに使う。で一番上の細い三分の一は薪やチップにするのだそう。まあそれぞれの価格についての話はそれでまた興味深かったのだが、その中で一番価値のある下の太い所の話には驚いた。
余り成長し過ぎて太くなった木は搬出が大変だし、さらに加工も大変。もちろん伊勢神宮の太い柱にはこういうものが必要だが、一般市場では太すぎる、大きすぎる木は価値が下がるそうだ。

そこで、「杉といえば!」で連想するような日本有数のブランド杉(?)の山では、ここ数十年育て方が変わってきたのだそう。

普通木を育てるためには、大きく育てるために隙間を空けるのだが(研修会ではその意味や大事さを教えてもらった)、そうすると市場のニーズよりも太い、また搬出が大変な大きな木が出来てしまう。そこで、極力隙間を空けない育樹をしているのだそうだ。そう、連想したのは鶏舎にぎゅうぎゅうに詰め込まれたブロイラーであります。

市場のニーズを追い求め、生産性向上(負荷のかからない)を目指すと、林業でもこのようなことになるのだな。ブランド木でもそうだから、一般の林野はもっと手を抜かなければやっていけないのかもしれない。いずれは、いや既に我々が目にする緑の山々は実はブロイラー木の集団になっているから、根の張りも弱いし、密集しているから大風や大雨が来るとすぐに全体が来るれるという原因にもなっているのかと想像する。市場に迎合しすぎると、子孫に美田を残さずどころか、子孫に山津波の原因を残すことになるのだろう。

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