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ブラ俊哉@益田

「廃線候補路線の旅」は基本的にその路線に乗るのが目的で、行った先で何かするということはありませんが、さすがに接続の待ち時間が長い場合は、その場所でブラ俊哉するということはあります。
今回そんなブラ俊哉の地は益田と仙崎でした。仙崎はまた書きますので、今回は「益田」のブラ俊哉です。

山口線の津和野で「かしわめし弁当」を購入し、車中で昼前に食したのは、一つにこの益田にある石見美術館に行こうと思ったからです。実際駅前には大して食事ができる所も見当たらず、正解だったかと。

益田に着いたのは11時49分で、乗換の山陰線は13時12分発の小串行きでしたから待ち時間は1時間23分あります。
石見美術館は駅から徒歩15分ということだったので、往復30分となると、美術館では正味40分程度しかありません。そこで速足で向かいましたところ、10分で到着。

この「石見美術館」は「いわみ芸術劇場」との併設。称して「島根県芸術文化センター」、愛称は「グラントワ」ホールなんだそうです。市役所を越えたところにありますが、建物全体が石州瓦の赤瓦で覆われていて、なかなかのものでした。

美術館の外壁面

この日の朝広島を出る時に新聞を開くとこの美術館での特別展の紹介が文化面にデカデカとあり、こりゃちょうどよかったと事前勉強できました。

実のところ澄川氏のことは全く存じ上げなかったので、とても良い機会でした。美術館は三室に分かれていて、順番に見ると澄川氏の足跡もよくわかります。土曜の昼前でしたが、それぞれの部屋はほぼ一人の貸し切り状態で、足早ではありましたが、一つ一つの作品をしっかりと見ることができありがたかったです。
この展示は撮影OK(動画及びフラッシュはダメ)だったので印象的なものはバッチリ撮れました。
まずは澄川氏の特徴である「そり」ですが、この作品は印象的でした。

正面から
左に回り込んで
左から
左から裏側に
右から

一周すると表情が変わるのがよくわかります。もちろん展示の照明の関係もあるのですが、澄川氏の「そり」のアクセントの印象が変わります。さらにこの「そり」は単に反っているだけではなく、少しずつずれが入っています。
こちらの方がよくわかるでしょう。

これではずれより反りが強い
上と下がずれがあるのがわかる
下の面上の範疇でずれる

この「ずれ」は正面から見るとわかりづらい。それは下と上が大きくずれていないからです。ただそれが少し「狂い」があるようなところで、微妙なリズムが生まれています。
さらに「そり」があるわけですから、全体のバランスも単純でなく、周囲を回ると重心がとらえにくくなり、目が回るような感じになるのです。作品の周囲の空間も含めて、足を運んでみないとわからない感覚だったと思います。
造形もまことに素晴らしいものでしたが、今回の展示の中には、澄川氏が集めたアフリカの仮面と太鼓がありました。

仮面と太鼓
共に木製の仮面

そしてここからインスパイアされたのが澄川氏のこの仮面でしょう。

しかくいかお

なかなか見ごたえのある展示でした。
加えていえば、入り口に澄川氏が収集した「墨壺」があり、これは用途によって異なるのでしょうが、見比べると素晴らしい造形に見えます。民藝にちかいものでしょうか。

墨壺

新聞記事以上にとても奥行きのある良い展示会だったと思います。あまり期間が残っていないのですが、是非とも行ってもらいたいと思います。

この石見美術館、次回は「イッタラ展」とのこと、これもまた行ってみたいものです。

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