見出し画像

スカイツリーはポートキーか?

先週の地元紙の1面に訃報が出ていました。

あれっ、この方は3月に廃線候補路線の旅@山口に行った時、山口線の終点の益田で時間調整で寄った「グラントワ」でちょうど展示会をやられていて感銘を受けたじゃないですか。
新聞には追いかけで足跡も紹介されていました。

グラントワの回顧展には色々建造物、モニュメントもありましたが、やっぱり木の作品が一番印象的でした。

その時書いたNoteのリンクを貼っておきましょう。

氏の評価を読むと

この中に「具象彫刻を手がけるも、それを一度廃棄し、抽象彫刻に移行」とあります。
そうですね、私がグラントワで見た「そり」とか「むくり」は、自然との共鳴のような感じがしました。自然の中に具象や抽象を置くのではなく、自然の中の具象から抽象を引き出すという感じだったのです。

アフリカの仮面もありましたが、これもまた先日見た佐藤健寿氏の展示会にあった異形の「仮面」も同じですが、決して精密な写実ではないし、具象とも距離があるが、そこには宿っているものがあるという点では澄川氏の回顧展に仮面が置かれた理由がなんとなく理解でき、その理由こそ氏の作品に通じるものがあると思いました。

ハリーポッターの映画で「ポートキー」というのが出てきます。あれはなかなか秀逸なものだと思います。「炎のゴブレット」で迷路の中で優勝カップを取ると突然ヴォルデモードの所に飛ぶという場面があります。カップに魔法がかけられて、移動先に飛ぶわけですが、展示会で見るこれらの仮面はまさにポートキー。被ると精霊の魂の場所に連れていかれるのだと思います。そこにはあるがそこにはない、そういうものを澄川氏も意図していたのではないでしょうか。

ちなみに私は「墓」というのもポートキーだと思います。
墓の前で手を合わすことによって現れるのは、亡くなった人やご先祖。もちろん現物に会うわけでなく、自分の脳裏に浮き上がる感じでしょうか。何代も前の先祖とか、面識のないご先祖様は存在をイメージするだけでしょうけれど。
普段はあまり思い出すことのない故人たちのイメージを思い出し、浮き上がらせやすいポートキーがお墓なのだと思います。
当然ながらお墓というポートキーでなく、仏壇とか、個人の記憶が繋がる物や場所も、それぞれの人にとっては故人と繋がるポートキーだと思います。

ではスカイツリーは何と繋がるのか?精霊につながるポートキーなのか?私には感じませんが…もしかしたらあそこから地上を見るのではなく、宇宙の高みにいる精霊につながる仕掛けが意図されているのかもしれません。

タイトル写真はその展示会の入り口に先ず展示されていた、墨壺とか木工用の大工道具。職人の魂が入っているんでしょう。澄川氏のコレクションだそうですが、氏はこれを見て、手に取ることによって職人の手仕事と繋がる、そんなポートキーだったのではないでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?