聖女リータの奇跡
数年前にブッツァーティ氏の「タタール人の砂漠」で彼の沼にはまりました。なんていうのだろうか、安倍公房氏の「砂の女」以来の衝撃でしたね。
これはブッツァーティ氏の新しい本です。
ベッルーノのモレル谷の聖所にて崇められる聖女リータの素晴らしい加護例の奉納画のシリーズ。ディーノ・ブッツァーティが「トーニ・デッラ・サンタ」氏の奉納画の記憶をもとに描いたものだそうですが、どこまでほんとで、どこからがフィクションなのかよくわからない、つまりブッツァーティならでは、幻想の中のカーテン越しに見る作品のような感じです。
ほぼすべての作品にタイトルバックにある聖女リータ(ブッツァーティの筆)が登場し、危機のある人にを守る奇跡です。
この「化け猫」に襲われる女性を左上のリータが救うという絵です。
こちらは椅子張り職人のニコリーノが売春宿の女性にのぼせ上ってスイスに行くも、聖女リータが救い、改心して家に帰ってきたという話の絵です。
この絵からすぐに思い出したのはフェリーニの映画、大きな唇なんか出てたなあ~と記憶があり、アニタ・エグバーグだったっけ、いや「女の都」だったな(アニタは「007/ロシアより愛をこめて」の巨大広告でした)。
久々に「女の都」のトレーラーを見ましたが、懐かしいなあ~。マルチェロが女性の中を漂うようなドンファンものかと思わせがちですが、本質は女性賛歌でしたね。
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17世紀にヨーロッパで猛威を振るった大雨を振らせる怪物クジラだそうですが、それをリータが守ったわけですね。
ディズニーではピノキオも怪物クジラに食べられましたが、イタリアでは巨大なもの=クジラって怖いシンボルだったのでしょうね。
そろそろ梅雨明けでしょうが、今年の豪雨も大変な被害を各地にもたらしました。天災とはいえ、我が国でもリータのような御守護を期待したいです。
この本には全部で40作品あります。とてもブッツァーティ節でどれも面白いです。
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