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竹を売ることにした理由

先日よりキャンプ場で竹を販売させていただいています。

今回は、そもそも何故竹を売り始めたの?というところについてお話しをさせていただきたいと思います。

最初は、竹林で間伐した竹なので値段がつかなくても問題ないと考えていたのですが、ある考えが浮かび有料で販売させていただくことになりました。

「全国で増えてきている獣害対策として」
全国的に猟師さんが減って、野生動物の数が増え、農業を営む方の獣害も増加傾向にあります。
それに加えてイノシシは一回の出産で産む個体数が昔よりも増えたと言われておりその現場を熊本で体感してきた自分としては今後ますます獣害というのは増えていくのだろうなと感じています。

イノシシの個体数が増えると遅かれ早かれシカもその場所に入ってくることが報告されていて、シカが増えてくると若い苗や芽が食べられてしまったり、木の皮が食べられてしまうことが多くなってきます。(樹皮を食べられた木は立ち枯れして倒木の可能性があります。)

シカはかなりの食料を必要とするため、シカが住み着いた地域の植物は軒並み食べられてしまいます。そうなると植物の多様性が乏しくなり、そこに住む虫も減り、ますます山が貧しくなってしまいます。
植物の支えが少なくなればそれだけ、斜面の崩落だったり、大雨後の土砂崩れなどは発生しやすくなります。
意外と私たちの生活にも関わりが出てくるんですよね。


イノシシの話に戻しますと、耕作放棄地が増え、手入れされなくなった竹林が竹藪になってしまった現在、彼らは人間の目を避けながら人里まで安全に移動することができます。

安全に移動したその先の農地で一度でも作物を食べてしまったら、味を占めて二度、三度とまた同じことを繰り返してしまいます。
人間が作っている作物は品種改良されていますし、山にある食料より糖度が高いことが大半です。
山にあるものよりも人間が作った野菜の方が「美味しい」となれば、それは野生動物もハマってしまいますよね。
美味しいと感じた記憶はかなり強力なものがあります。
人間だってそうですものね。

「一度人間の地域にある食物は美味しい」と認識した個体の中には仲間や家族を連れてくるケースもあり、どんどん被害が増えていきます。
ヒトは彼らを見つけても住宅街で発砲することは難しいですし、個別のケースに合わせた特殊な対応が必要になってきます。
山間部で作物を育てている場合はどうしても野生動物の被害が増えてしまいますが、一番問題なのは人里に降りてきてまで作物を食べてしまうことだと考えています。

元来、警戒心の強い彼らが人里まで降りてくることを可能にしているのは隠れて、安全に人里まで降りてこられるルートがあるからです。
隠れて安全に人里に降りてくるルートがなければ野生動物と人はよりよく共存できるのではないかなと感じています。

ここまでが現在、野生動物とヒトが共存はしているけれど、共栄できていないという現場のお話になります。

ここからが共存・共栄に向けた棲み分けを実現するために広まって行ったらいいなと考えている竹を使ったアクションについてです。

私は現在自由に出入りさせていただいている竹林で竹の切り出しをしていく中で、竹を活用してご飯を炊いたり、食器を作ったり、灯籠を作ったりすることの楽しさに触れることができています。

そこで思い立ったことがあります。

もし竹がお金になると分かれば、竹藪を手入れしてみようと考える人が出てくるかもしれない。
自分で所有していなくても所有者の方に掛け合って手入れをしてくれる人が出てくることも考えられます。

人が入って竹藪を手入れして、竹林に戻すことで野生動物と人間が共存できる可能性が上がるかもしれない。
竹藪を竹林に戻した方が竹林などの既にある財産の再生で生活を豊かにできるきっかけを掴むことができれば、耕作放棄地も同じように再整備して活用のきっかけになるかもしれない。

人の手が入っていない竹藪だったり、耕作放棄地を減らす。

そのためには前例が必要で、今のところその前例は聞いたことがありません。

ありがたいことに、竹林を自由に使わせていただくことができるようになったのでそのきっかけを作れたら最高に幸せだなと思い動き出してみた次第です。

キャンプやクラフト、DIYの力を借りつつ、竹藪を整備して竹林にして行ったり、耕作放棄地などの既にある財産に目を向けてもらうことで最終的に獣害について知ってもらったり、棲み分けについて考えてもらったりすることができたら・・・
そんな青写真を描いております。

キャンプやBBQで竹を使った炊飯だったり、調理が浸透していったり、器が活用されるようになることで竹の需要が高まれば竹藪や竹林への人の介入が増えるのではないかなと。

竹を切ってもお金にならないと人が動くきっかけができなかったり、継続できないことが考えられます。せっかく動き出しても止まってしまったらまたすぐに元に戻ってしまいます。継続して竹林や耕作放棄地の整備をしていくには何より「継続」が重要になってきます。人の気配がそこにあることがとても大切です。

「竹を切るとお金になる」と感じる人が増えて(無断伐採などが増えると困るのですが・・・)現在ある竹藪だったり、竹林を活用(今ある財産を活用)したいと考えたり感じる方が増えていけば手入れはきっと今よりも潤滑に行われていくのではないかなと考えています。

竹を伐採するとその竹が太陽光を受けていたスペースが空き、今まで光が当たっていなかった場所に光が当たるようになります。

そうすれば新しい竹だったり、植物が育つことが可能になります。
年老いた植物よりも若い植物の方が二酸化炭素の固定量が多いとしたら若い植物が成長することは喜ばしいことになるのでは?なんて思ってもいます。

ひとまずある程度自分が楽しみつつ、少しでもお金になるという前例を作ることができれば、あとは勝手に広がっていくのではないかななんて妄想しているのですが甘いですかね笑
少しでも早く広まって、動物とヒトの棲み分けが進んで欲しいなと感じています。

竹にはいろんな活用があって、可能性の塊だなと感じています。伐採したとしても木と比べて短期間で伸びてきますし、繰り返し支える資源の一つだなと感じています。

「プラスチックが普及する前までは竹でいろんなものを作って生活の中で活用していた」そんな時代がまたくるとは思いませんが、生活の中に竹を活用するという選択肢が出てくるといいなと思います。

誤解を恐れずに言えば、「竹林や耕作放棄地を見て、財産に見える人」が増えるようになっていく世の中になってほしい。



その一歩として「道志の森キャンプ場さん」にご協力いただいてこの度販売していただく運びとなりました。(ご協力していただいて本当に感謝です。)

全国のキャンプ場さんと竹林を持つ方に繋がっていただいて、竹を使ってキャンプを楽しむことがある意味スタンダードになってほしいと思っています。

それには実績だったり、前例を作らないと。

まずは自分自身が楽しみながら実績や前例を作っていきたいと思います。

竹飯盒に始まり、竹炭を作ったり、竹の食器を作ったり、竹でできることは色々と実践していくつもりです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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