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目的地のない娘のあそび(1歳10ヵ月)

パートナーが娘を保育園に迎えにいった時のこと。

帰り道で娘に「今日はたのしかった?」と尋ねたら、「うん」と相槌があったうえで、「おかあさんは、たのしかった?」とかえってきたという。

パートナーはこの会話になにか感じ入るものがあったようだけど、たしかに考えさせられるものがある。

ぼくも楽しかっただろうか、今日は。

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娘を見ていると、この人には「目的地」というものがないのだな。と思う。

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▲たとえば粘土あそび。親の気持ちとしては、娘がこうしてなにか作って遊ぶことを想定して手渡すわけだけど(※これはパートナー作のミニチュア弁当)、娘はなかなかその目的地にたどりつかない。

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▲まず、「棚から粘土の箱を取る」という行為を自分でしたい。(最近、なにをするにも「自分で、自分で!」と言うようになった)

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▲つづいて、箱から中身を取り出したい。これはまだひとりでは上手に出来ないので、ちょっと手伝ってあげる。でも手伝いすぎると、手をこちらに突き出して縦にぶんぶんふりながら「やんやん! 自分で!」と怒られる。とはいえ放っておいてもやっぱり出来なくて、「できない~!」と言って床につっぷして悔しがる。

娘にとって手伝われてる感じがしない、過不足のない手の差し伸ばし方ってのが本当に難しい。

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▲そして、なかのケースから「自分で」それぞれの粘土を取り出す。

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▲取り出したら並べていく。この時、「娘ちゃんのー」「かあたんのー」「とうたんのー」と言いながら置いていく。

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▲写真左がとうたん用。右がかあたん用。奥に置かれたのが娘ちゃん用だと思われる。大人にとってはまだまだ粘土遊びの準備段階だけど、娘にとってはこの時点ですでにあそびになっているみたい。

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▲ようやく粘土を取り出す。

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▲ちいさくつまむ。

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▲置いた。

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▲ちねっては置き、ちねっては置き、

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▲なにやら並んできた。これもあそび?

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▲写真手前左がたぶん親用。右側に置いたのが自分用かな? 途中から「どうぞ」と言いながら置いていたので、粘土を分配していたのだと思う。

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▲いつまで分配するんだろうと思っていると、手つきが変わる。口では「ころころー」と言っている。

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▲置いた。なんかさっき分配してたものとはちょっと違う。形が。

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▲奥にある緑と白と紫が、さきほど分配してくれたやつ。手前の肌色2つと青のものが手で丸めておいたもの。手前の粘土の形には、なんらかの意図が込められていることを感じるので、おそらくここで作品づくりに突入している。

といった感じで、大人の視点で見ると一体どのタイミングで粘土遊びがはじまったのか判断がつかない。多分、粘土の箱を持ってきた時からここまで、ずーっとあそびだったのだろうなと思う。

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▲「ちゅくったよー」「バッタ」と言いながら左の作品を置く。右ははじめに分配してくれたもの。ここが、娘にとっての作品と粘土(素材)の境目かな?

まだ自由に形を作れるほどは器用じゃないので、たまたま出来た形に合わせて作品名をつけるのがいまの娘のスタイル。バッタに見えたんだね、これ。

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▲どれが作品で、どれが分配してくれた粘土だったか、だんだん分からなくなってくる。

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▲黒い粘土をちぎったらびよーんと伸びて「すごーい」と言う。これはそのまま机に置いたので、たぶんこれはこれで作品になったのだと思われる。

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▲つづいて、粘土を指でおす。

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▲片っ端から押していく。これはなんだろ。感触が面白いのかな…?

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▲これは「へびのあかちゃん」と言っていた。

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▲ここでようやく、粘土の型が登場!

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▲と思ったら、型がはいっていたタッパーの蓋をしめることに夢中。なかなかしまらない。

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▲ふたがしまったと思いきや、今度は型を指にはめるというあそびがはじまる。

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▲そしてようやく型抜きがはじまる。ここまで長かった…。

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▲まぁ、まだこれも上手に出来ないのだけど。でも大丈夫、ちょっとずつ出来るようになってるから。

ようやく型抜きがはじまったかと思うと、もうお風呂の時間になってしまう。でももうこれで十分あそんだ感じになってる。

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▲ということで、おかたづけ。うまく気分がのったままであれば、これも楽しんで行う。

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▲高いところから落としてみたり、ぽんっ!っと言ってみたりしてしまう。

あとは、粘土のふたを閉めるのも、それをケースに入れるのも、また箱を棚に戻すのも、ぜーんぶ自分でやる。

さて、ここで思うわけです。ここまでの過程を振り返って、一体どこからどこまでが娘にとっての遊びで、なにが娘の目的だったのだろうかと。

大人の感覚でいえば、粘土の型抜きをすることが目的地で、そこだけがあそびになるけれど、娘にとってそこはあまり重要そうではない。なんか、それはただの通過点みたいな感じ。娘はいつもそんな調子。

だから、家族でハイキングに行っても

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▲途中で止まる。

親としては、「歩く」という目的と、「この先におおきな遊具がある」という目的地があるのだけど、この人にはそんなことは関係ない。立ち止まり、手もとをずっといじっている。

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▲なにかと思ったら、木の枝の皮を一生懸命むいていた。

こんなとき、この先におもしろいとこがあるよ~! などといっても、まだ「過去」や「未来」の感覚を掴み切っていない娘には通じない。

「いまここ」の、木の枝がなによりもたのしい。

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▲動物園につれていっても、入り口にあった看板のおもりに座るのが楽しくて、なかなか先に進まなかった。

キリンさんに会いに行こう~! と言ってみても無駄。いまここにあるおもりに乗るのが楽しい。

結局この日は、一番はじめの動物に辿り着くまでに2時間かかってしまった。やはり、いまの娘に目的地はない。

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こんなことが娘の日常です。

最近は、急にハサミを使えるようになりました(といっても、保育園ですでにやってくれてるんだと思うけど)。

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▲パートナーが買ってくれたちいさなハサミを両手で持ってひろげる。

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▲右手に持ち替えて

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▲かまえて

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▲切る。という順序。まだ片手では使いこなせないけど、こんなことまで出来るようになって、ほんとに器用になったなぁ。

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▲これは、うちではじめてハサミを使って切った、記念すべき折り紙。

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▲すごい切れ込みの量。

一度はじめると、こうしてひたすら何回もやるんだよねぇ。そりゃ上達するわ。

こうして切れ込みを入れることをマスターした娘は、この2日後にはこんなことをはじめました。

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▲切れ込みに切れ込みを足したら、小さな破片になることを発見。ひたすら小さな破片をつくってました。

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▲そして、そのちいさな破片をさらにちいさくする。手、切りそうで怖い…。けど本当に危なそうになるまでは、こちらは手を出さぬようぐっと我慢…。

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▲生卵をボールに入れて、パートナーに渡しにいく娘。床にぶちまけないか心配だけど、娘の能力を信じて手を出さないように我慢、我慢…。

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*追記

この粘土遊びは1月16日の様子だったのですが、その4日後にはなんと

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▲型抜き、上手!! なんという上達速度でしょうか。おそるべし。

昨年は「ジャンプ!」って言ってジャンプしようとしても1㎜も飛べなかったのに、いまは3㎝くらいは飛べるようになりました。


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