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\植物を見る感覚をつかもう!/ まちの植物はともだち年間コース 第4期(こどもと関わる方向け)

おかげさまで満席となりました。これ以降のお申込みはキャンセル待ちでの受付となります。(1月30日、17時30分追記)


みなさまこんにちは。植物観察家の鈴木純です。

2021年から、こどもと関わる仕事をしている方(あるいは保護者)向けに、「植物の見方」「植物への疑問の持ち方」を実際の観察を通してレクチャーしていく年間観察会を実施しています。

ありがたいことに、過去3年、多くの反響をいただきましたので、今年も同内容で企画を継続していくことにしました。今年のテーマも変わらず「植物を見る感覚をつかもう!」です。

どんな内容の講座なのかについて、簡単な自己紹介と、企画にいたるまでの思いを書きますので、ちょっと長くなりますが、下記をお読みいただければ幸いです。

ここの前提と背景の共有が大事だと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。


まずは自己紹介から

これまで、植物観察家という肩書で、街でも楽しめる植物を紹介することを仕事にしてきました。はやいもので、独立して7年目になります。(この肩書だとなんのことかよく分からないと思いますが、簡単に言うと植物ガイドです。)

▲普段は、街で植物を撮影したり、

▲本を書いたり、おもに教育関係の媒体への寄稿や、記事の監修などをしています。

メインの活動は、「まちの植物はともだち」という名前の植物観察会です。これは、駅前ロータリーや、ただの道に生えている植物をたのしむ会で、初心者向けに、野山に行かなくてもできる植物観察のご提案をしてきました。

▲わたしがやっていることについては、上記リンクをご覧ください。

身近な場所で植物を楽しむ人がもっと増えてほしい。そんな思いで仕事をしています。

企画の背景について

さて、ここから本題です。
これまでに様々な仕事をさせていただいてきましたが、独立当初から多かったご依頼が、保育園や私立の学校、フリースクール等での植物観察会です。

そのほとんどが、「都内の保育園の園庭はせまく、お散歩コースにも自然がない」ように思うけれど、「もし、身近な環境で(アスファルトの道でも)植物観察ができるなら、それをしたい」というようなご希望です。

わたし自身にも4歳の娘がいるため、このご依頼には当事者として共感するものがあります。なので、都合と条件があえばこうした話には喜んでお伺いしてきました。

ですが、増える依頼に対してわたしの身体はひとつだけ。せっかくお声がけいただいてもお断りしなければいけない場面が多くなってきて、それをとても心苦しく思っています。

この状況をどうしたらいいのかと考えたとき、植物を教えられる人がもっと増えればいいのでは…?ということに思い至り、3年前から「保育者さんや教育関係の仕事をしている方、小さなお子さんを持つ親」などを対象とした年間講座を企画するようになりました。

わたし自身が伺えなくても、先生ご自身(あるいは保護者)が植物を知っていて、日々の保育や授業で園児さんや生徒さんと何気なく植物を見れるなら、その方がいいのではないかと思ったからです。

この3年で、すでに82名の方が年間観察会を修了されていて、修了生向けの追加コースに進級する方も多くいらっしゃいます。「子どもと関わる方向け」という共通項があるので、とても雰囲気のよいグループが出来つつあります。

これからは、このグループを発展させていくことを、自分のメインの仕事としてやっていこうと思っています。グループになると出来ることが増えるので、私のなかではいま、かなり夢が膨らんでいます。ぜひ、仲間入りしてください。

年間観察会の内容について

それではここから具体的な話をしていきます。
この観察会では、「植物を見る感覚を自分なりにつかむ」ということを目指します。植物観察には正解がないので、誰でも自由に植物を見ればいい。というようなことはよく言われます。まったくもってその通りだと思うのですが、これは言うのは簡単でも、実際に行うことはじつはなかなか難しいことです。

そこで、この講座では、植物を自由に楽しむための前提としての知識と心構えをお伝えすることを目的としています。

「植物に詳しくなること」ではなくて、「ひとりでも、植物を自由に楽しめるようになること」。これが目標です。

イメージしにくいと思うので、具体的なステップを3つ用意することにしました。

▷ステップ1:草を50種、木を50種おぼえる(できればそれ以上)
▷ステップ2:自分で植物を調べられるようになる
▷ステップ3:植物の疑問を自分なりに設定・推測できるようになること

順番に解説してきます。

ステップ1:草を50種、木を50種おぼえる

これは、私自身の経験に基づくものです。
私の母校である東京農業大学の造園科では、樹木の名前を180種おぼえる「はっぱテスト」という試験がありました。

1年生の前期の授業で、キャンパス内を先生たちと歩き回り、樹木の特徴を教えてもらって名前を覚えていくのですが、授業が行われる度に、名前のわかる樹木が身近で増えていくという体験をわたしたち生徒はします。

わたしにとっては、これがものすごい衝撃で、また快感でした。

18年間知らなかったけど、最寄り駅のロータリーに生えてるこの木、クスノキだったのね! とか、うちの垣根ってレッドロビンだったのか…。と、知っていたはずの景色が塗り替えられていく面白さを、まずは皆さんにも味わっていただきたいです。

街で見られる樹木は、街路樹や庭木、公園樹がメインになりますが、都内ならどこでも似たようなものが植えられているので、50種程度覚えれば、街で見かける樹木がかなり分かるようになります。それにプラスして草も50種程度覚えれば、もうそれだけで街や園庭、校庭の見え方が変わってくるはずです。これが出来たら、ステップ2に続きます。

ステップ2:自分で植物を調べられるようになる

草を50種類、木を50種類おぼえる際には、漠然と取り組むのではなく、必ず形に注目していきます。

見るポイントをおさえれば、植物の名前を知ることは意外と難しくありません。葉っぱの縁のギザギザや、葉脈の通り方、葉の付き方などをしっかり観察することで、それぞれの植物には「個性」があることが自然と分かってきます。その時点で「植物の見方」をある程度つかめるようになっているはずです。

そこで次に進みたいのが、植物のグループ分けです。バラバラでちがうものに感じる植物も、名前が分かるものが増えていくと、なんだか似たような特徴を持つ植物があることに気が付いてきます。

たとえば、スミレの仲間には花のうしろに距(きょ)とよばれる突起があることや、キクの花は小さな花が集合して出来ていること、アブラナの仲間は花びらが十字になって出てくること、などです。

それがある程度わかってくると、図鑑を自分でひけるようになります。図鑑は植物を漫然と並べているわけではなく、植物をグループ毎に並べて整理しているものだからです。

植物を知りたいと思って図鑑をひいても全然分からなかった…。という経験をお持ちの方は多くいらっしゃると思いますが、そのほとんどは図鑑の作りを知らないということが原因だと思います。

ステップ1で植物名を覚え、ステップ2で自分で図鑑をひけるようになるとっかかりを作る。そんなイメージで進んでいきたいです。

ただ、ここで本音を話しておくと、本当に自分で図鑑をひけるようになるまでには、3年ほど植物観察を続けてやっと出来るかなというようなものなので、この1年間で出来るようになるとは言えないのですが(人と努力次第でもありますが…。)、それでもそのとっかかりはご提供できると思っています。
「はじめの一歩」をどのように踏んだかということはとても重要だと思っていますので、質のいい一歩をご提供したいです。

ステップ3:植物の疑問を自分なりに設定・推測できるようになること

そして最後の段階で、いよいよ植物を自由に楽しんでいきます。

ここで前もってお伝えしておきたいのは、植物の楽しみ方というのは、誰かから教わるものではなく、個人の自由であるというのが大原則であるということです。
目の前にある花を名前も知らずに楽しむのもいいですし、家に植物を飾ったり、時には食べてみたりといったように、個人によって様々な楽しみ方があるはずです。

なので、今回はあくまでもわたしなりの植物の楽しみ方ということになります。この楽しみ方が正解というわけでは決してありません。

では、わたしがなにを楽しんでいるのか。それは植物の「生態」です。「植物の生き方」と言い換えてもいいかもしれません。

名前を知るだけではなく、その植物がどのように生きているのかに注目すると、植物観察の楽しみはぐんと増えます。ここで必要なのは、植物に対して「どこに疑問を持てばいいのか」ということです。闇雲に観察していても、じつはその生き方はあまり見えてきません。

観察するにあたって、少し視点を具体的にする必要があります。といっても凄く簡単なことです。

たとえば、「タネは基本的に遠くにいく方法を持っている⇒それにより分布がひろがる」と心構えしておくこと。

あるいは、「花は、自分の花ではなくて、他の花と受粉をするための工夫を持つことが多い。⇒遺伝的多様性が保たれる」というようなことを意識にいれておくこと。

この感覚を自分のなかにいれておくと、タネを見た時に、「よし、このタネの散布方法を観察してみよう」と思えたり、花を見て「おしべと、めしべのつくりはどうなっているかな?」、「どんな虫が来るかな?」というように、観察のテーマを設けることができるようになります。

これだけで、かなり様々な角度から植物を見られるようになると思います。

こんなことを、私は「植物を見る感覚」と呼んでいます。これをつかむことが、この年間講座の目的です。

わたし自身が研究者ではなく、あくまで植物ガイドですので、たとえば論文を書くような態度とは異なる観察になります。個人のたのしみとして、答えのないものを自分なりに推測して楽しんで考えてみる。そんなところを目指していきます。

ここまで到達することが出来れば、あとは皆さんの持ち場で、日々の保育や授業のワンポイントとして、こどもたちと一緒に植物をたのしむことができるのではないかと期待しています。

説明の便宜上、ステップを3つに分けましたが、実際にはどのステップも分けずに、同時進行で行っていくことになります。年間コースが終わって振り返ってみたらこの3つのステップを終えていた、というような終わり方になるといいなぁと思っています。

年8回のコースで、各回の観察会は野外でみっちり3時間行います。単発もの観察会よりもぐっと授業的な雰囲気も出てきます。わたしも真剣に取り組みます。とはいえ、楽しくやっていきたいです。

日時や費用、申込み方法は下記の通りです。どうぞご検討ください◎

年間観察会の詳細について

まちの植物はともだち 年間コース 第4期(こどもと関わる方向け)

▷定 員:15名 (最少催行10名から)

▷対 象:保育者さん、教育関係の仕事をしている方、こどもと関わる仕事をしている方、自分のこどもと植物を楽しみたい方

*初心者向けです。参加者のレベルを合わせて行いたいので、これから植物をはじめたいという方にお越しいただければ幸いです。

▷日 程:今年は1コースだけ募集します。

【前期】3月23日、4月21日、5月19日、6月8日
(7月~8月は暑いのでお休み)
【後期】9月14日、10月12日、11月16日、12月14日

※4月と5月が日曜日で、ほかは全て土曜日です。

▷時 間:13時~16時 *初回(3/23)のみ12時30分~16時です

▷場 所:国分寺駅、西国分寺駅、北府中駅の周辺

*各回に応じて、ちがう場所で観察会を行うので、詳細な場所については各回の1週間前にお送りするメールに記載します。いずれにしても国分寺駅か、西国分寺駅、北府中駅の周辺になります。

*毎回ちがうコースを歩きますが、歩いてもせいぜい徒歩30分程度の距離です。街中なのでアップダウンもありませんのでご安心ください。

*解散場所の最寄り駅も、国分寺駅か西国分寺駅、北府中駅のいずれかになる予定です。

各回に応じてフォロー動画を配信します。欠席した回があればそれでフォローしていきます。また、欠席した回は、翌年度の観察会に振替することができます。

▷申込方法:
今年の会は満席となりましたので、お申込みは締め切らせていただきます。来年度も計画予定ですので、詳細は2025年2月頃にnoteで発表します。

▷年間観察会 参加特典:
① 非公開のFacebookグループページへのご招待
FBグループページにて、質問に随時お答えできる体制を設けます。年間観察会の良さは、1回1回では終わらず、すべての回が関係を持つことにあります。これを積極的に利用していただくことで、より理解が深まると思いますので、ぜひご活用ください。

第1期~第3期生も同じページにいますので、自由に情報共有などをしていただければ幸いです。(加入必須ではありませんので、ご希望の方をご招待します)
また、この1年が終わっても、翌年、翌々年と、このページはずっとお使いいただけます。それも特典と思っていただければ幸いです。

②講座のフォロー動画
各回において、フォロー動画を作成し配信します。じつはこれにかなり力を注いでいます。年間観察会参加者だけが見られる設定のYouTube動画で配信しますので、この年間観察会が修了してからもずっと視聴することが可能です。

③年間観察会参加者 限定の観察会へご案内
いま、わたしは自分主催の観察会の本数を減らしています。その代わり、この年間講座に参加していただいた方だけをご案内する観察会を増やしていきます。
これに関しては、街中ではなく、野山をフィールドに行っていきますので、この観察会への参加権も特典のひとつとなります。

補足

以上が年間観察会の概要になります。基本的にはこのコースを修了したら、あとは自分で独自に植物を学んでいける(たのしめる)基礎をつくる。というイメージです。

お読みいただくのはここまででもう十分ですが、さらにイメージしやすいように前期の3月~6月分だけ各回のイメージを作りました。後期の9月以降も大体このようなイメージで考えていますが、前期の進捗の様子を見て、内容を決定します。あくまで目安として見ていただければ幸いです。

下記は、気になる方だけご覧ください。

①3月 葉っぱの見方の基本1
芽吹きがはじまる頃なので、常緑樹と落葉樹のちがいが理解しやすい季節です。まずは樹木の基本からスタートし、樹木を見分けるために大事なポイントとなる「葉っぱの見方」の感覚を掴んでいきます。
早春の草花が次々に出てくるので、草については見たそばから随時ご紹介します。ほかに先駆けて出てくる春の植物の生き方を観察してみましょう。

・常緑樹と落葉樹のちがい
・植物を見分ける際に最低限必要な植物用語の理解①(鋸歯、葉脈、対生・互生など)
・形や色に大きく個性がある常緑樹と、この季節に花を咲かせている落葉樹の名前を覚える(ヤツデ、カクレミノ、アカマツ、コノテガシワ、カイズカイブキ、ビワ、タイサンボク、ナンテン、ヒイラギナンテン、ハクモクレン、コブシ、ユキヤナギなど)
・早春に花が咲いている草を覚える(オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、キュウリグサ、オランダミミナグサ、カラスノエンドウ、ナズナ、ハコベの仲間、ツメクサの仲間など)

②4月 葉っぱの見方の基本2
新緑まっさかりの季節です。葉っぱの観察がさらにしやすくなりますので、3月に話しきれなかった「葉っぱの見方」をさらに詳しく見ていきます。
冬から春にかけて樹木にはどのような変化があるのかをよく観察することができる季節なので、芽吹きの仕組みを通して樹木の基本ルールを覚えましょう。
また樹も草も多くの花が咲いている頃です。花の受粉の仕方に注目して、具体的な生態の観察をはじめます。

・新緑の仕組みの観察
・植物を見分ける際に必要な植物用語の理解②(単葉、複葉、蜜腺、花のつくりのルールなど)
・この季節に花が咲いている樹木と、まちでよく見る常緑樹を覚える(ハナミズキ、ヤマブキ、ドウダンツツジ、イロハモミジ、シャクナゲ、ツツジの仲間、アオキ、トベラ、ヒイラギモクセイ、マサキ、ヒサカキ、マテバシイ、ムベ、クスノキ、サンゴジュ、キョウチクトウ、シラカシなど)
・4月に咲く草花を覚える(ハルジオン、カタバミ各種、ハハコグサ、ハナニラ、ノボロギク、ミチタネツケバナ、ショカツサイ、シャガ、スミレ各種、ノゲシ、オニノゲシなど)

③5月 花の見方の基本1
春から初夏に季節が変わります。春に咲いていた花が実をつけるなどして、3月に観察した景色が大きく変化していることが分かる季節です。花と実の観察を通して、植物の生態観察も多く行いましょう。

また、この回から草の花の観察を通して、花の基本をおさえ、科や属といったグループ分けを学び始めます。

・花の受粉の仕組み(作戦)の観察①
・タネの散布方法の観察①
・落葉樹を中心に、まちでよく見る樹木を覚える(ケヤキ、ムクノキ、イチョウ、コナラ、クヌギ、アカメガシワ、ソメイヨシノ、カキノキ、クワの仲間、ビヨウヤナギ、エゴノキなど)
・5月に咲く草花を覚える(チチコグサの仲間、ブタナ、ヒメジオン、ニワゼキショウの仲間、ユウゲショウ、ノミノツヅリ、シロツメクサ、ツルニチニチソウ、ナガミヒナゲシ、マツバウンラン、ドクダミ、ヤエムグラ、アメリカフウロ、キキョウソウなど)

④6月 花の見方の基本2
梅雨時にはいります。雨が降ると植物観察をしにくくなりますが(観察会は荒天にならない限りは基本的に雨天決行です)、それでも梅雨の合間に観察できるものが多くあります。もうすでにここまでである程度の植物を覚えているので、前期の復習をしながら初回の3月に歩いた道を歩いてみます。おそらく街の見え方が大きく変わっているはずです。
この時期に花が咲いている草木を覚え、花と実を中心にした生態観察を続けます。

・花の受粉の仕組み(作戦)の観察②
・種の散布方法の観察②
・梅雨時に花が咲いている草木を覚える(アジサイ各種、タチアオイ、クチナシ、ツユクサ、ネジバナ、カラスビシャク、クリ、タイサンボク、ネジバナ、コマツヨイグサ、メマツヨイグサ、ギシギシ、タケニグサ、)


大体このようなイメージです。夏(7月~8月)は暑いのでお休みにして、9月以降また同様に観察を続けていきます。

1年間一緒に植物を見ると、自然と仲も深まってくるはずです。保育や教育に関する相談(おもに自然体験について)をしあえる仲間づくりになる可能性もあるかなと思っています。

どんな方とお会いできるか、わたしもたのしみです。どうぞご検討ください!

▷鈴木純プロフィールはこちらから

https://beyond-ecophobia.com/profile/

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