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自分のために、育児をしているような (娘による水の研究を通して)

ガラスのコップを床に投げつけて、割る。娘が生まれてからこれでいくつめだろうか。

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割ろうとしているわけじゃないのは分かる。楽しくて投げてみたら割れてしまったのだ。ボールは投げつけても割れないけれど、コップやお椀は割れる。そんなことを繰り返し確かめていくのが娘の大事な仕事。

水道が目に入れば、手を出して水に触りたがる。「あわ、あわ」と言って石鹸を指さす。石鹸を渡すと、ちょんちょん触って、両手でゴシゴシ。水道から流れる水に手をやってまたゴシゴシ。それからまた石鹸をちょんちょん、手をゴシゴシ。とにかく繰り返す。

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思い返すと、1歳の時に公園の水道を触りたがった時は、ただたんに水に触るのが楽しい。という雰囲気だった。指先でそっとさわったり、蛇口に指をつっこんでぶしゅーっと水を飛ばして自分の顔に直撃したり。

要求としては「水道から出る水に触りたい」という同じものでも、「触ってみたいから触る(1歳0ヵ月)」という目的から「手を石鹸で洗いたいから触る(1歳7ヵ月)」という目的に変化している。これって随分と凄い成長だと思う。

まずは水というものがどんなものなのか、ひたすら触って確かめる。洋服が濡れても顔にかかってもお構いなし。親としては大変でも、娘にとってはその全てが大事な学びだったみたい。

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雨の日に、水たまりを楽しそうに触っていたこともよく覚えている(1歳1か月)。このとき、娘はこの雨の水と、水道から出る水を同じに理解したのだろうか。あるいはまったく違うものとして触れていたのだろうか。

いろいろな水に触れることで、娘なりの水理解が進む。すると、今度はそれを親がどのように扱っているのかに関心が向かう。僕はいま娘をよく観察するようにしているが、娘だって僕やパートナーのことをよく観察している。

大人はどうも手を洗っているようだ。と娘はどこかで気付く。それに気付いたら自分でもやってみたくなる。そんな順序でいま娘は手洗いの練習に余念がない。おもしろい。次はどんなステップに進むのだろうか。

いま、娘が分かる「水(液体)」を書き出すと、下記の通りになる。

・湯舟にたまった水(お湯)
・シャワーから出る水(お湯)
・桶にたまる水
・空から降る雨
・水たまりの水
・自転車のレインカバーにつく雨粒
・蛇口から出る水
・シンクを流れていく水
・お椀に入ったスープや味噌汁
・コップに入った飲み物
・それらがこぼれたもの
・おしっこ

いま気になっているのは、娘はこれら全体を「液体」として捉えているのか、あるいは「コップに入った液体」と「机にこぼれた液体」というように全く別のものとして捉えているのか、ということ。

味噌汁を机にこぼし、「おぉ」と言ってバシバシ叩く様子を見ていると、おそらく後者であろうと思う。

すると、娘はいつ「液体」という概念を習得するのだろうか、ということが気になってくるのと同時に、そもそも「液体」という言葉でそれらをまとめることが果たして世界理解として正しいことなのだろうかという疑問も生じてくる。「おしっこ」と「味噌汁」を同じものとして扱うのは無理がある。「液体」というグループ分けはとても便利なことではある一方、とても乱暴なことでもあるのだと気付かされる。

寝起きの良い娘は、起きる時に「ふはっ」という声にならない声を出してすっと起き上がる。そして、その目は起きた瞬間から好機に満ちている。寝た場所と起きた場所は同じ寝室で、特別なにかが変わったわけではない。けれど、娘はさも「今日も新しい世界にやってきたぞ!」 という表情をする。

どうして僕は昨日と今日が同じものだと思っているのだろうか。毎日は必ず変化していて、世界も自分も本当は変わっている。そうであれば、娘のように毎日ハっと驚いて世界を見渡す方が正しい世界の捉え方なのではないだろうか。という風に思う。

娘を通して世界を発見していくと、自分自身の常識が大きく揺さぶられる。これがいま、すごく楽しい。なんというか、自分のために育児をしている。そんな気持ちで最近は過ごしている。

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先週から記録している、娘の言葉のこと。

どうも今がまさに言語の爆発期だったようで、そのあと凄い勢いで単語が使えるようになっている。

【10/14~22までに新たに使えるようになった言葉】

▷かいて:書いてほしい時に言う。
▷かあちゃん:ついに言うようになった。
▷とおちゃん:同時期についに言うようになった。
▷かたい:堅いものがあった時にいう。
▷おしえ:おしりのこと
▷かんたい:乾杯のこと
▷なぁに?:質問が出来るようになった
▷ぱたーん:パカーんと何かを割る時の効果音
▷あくちゃん:赤ちゃんのこと。たまに赤ちゃん返りしてハイハイをする時に言う。
▷お友達の名前:ついにお友達の名前を言うようになった!


【10/14~22までにに出来るようになったこと】

身体の器用さも増す一方。いろんなことが出来るようになってきた。

▷キャップをひねる:炭酸のボトル缶の蓋をひねって閉めることが出来た。
▷ふーふー:熱い飲み物にフーフーをすることが出来るようになった。
▷娘なりに折り紙を折る:まったく綺麗には折れないが、目的意識があって手を動かしているのは分かる。


【10/14~22に描いたもの】

水彩絵の具の筆使いがお見事。

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▲10月17日の作品。

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▲10月21日の作品。

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▲10月22日の作品。

めちゃくちゃいいと思う。

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