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育児と仕事と自分の人生と その優先順位のことなど

こどもが出来たら多くの方が悩むであろう育児と仕事のバランスのこと。もう何兆回も語られているテーマなので、特別に新鮮なことを書けるわけではないのだけど、いま自分が考えていることなどを書いておこうと思う。考えていることって、時が経つと忘れてしまうので。将来の自分のために書く。

34歳。年齢的にも経験的にも仕事盛り。やりたいことは山盛りだし、それに手を伸ばせるだけの実力だって得つつある。さらにスキルアップをしてもっともっと活躍したい。自己実現に向けてまっしぐら。

往々にして、そんな人生のタイミングで、こどもは生まれる。

僕にはいくつか夢があり、そのうちのひとつが自分の本を出版することだった。じつはその執筆を行っている期間が、娘の0歳2か月~6か月の時で、出版という夢にしっかり向き合いたい気持ちと、娘の乳児期を大事に出来ないことへのもどかしさ、そしてパートナーへの申し訳なさなどで、なかなか気持ちの落としどころが見つからない日々を過ごしていた。

それでも自分にとって幸いだったのは、出版社さんや関係していただいた方のご尽力のおかげで、本の出来がとても良いものだったこと。多くの方に読んでいただくことができ、仕事は増え、取材も増え、自分のいる環境が大きく変化した。そこで、ひととおり自分の気持ちが落ち着いた。

娘が9ヵ月になる頃まではすでに入っていた仕事をひたすらこなす日々だったが、その先はしっかり娘とパートナーと一緒に過ごす時間を確保しようと思うことが出来た。ひとつ自分の夢を叶えることが出来たこと。これはすごく大きかったと思う。それを見守ってくれたパートナーには本当に感謝しかない。

そんなわけで、すこし出遅れてしまったものの、娘の0歳10ヵ月~いまの1歳7ヵ月にかけては自分の生活も大きく変わることとなった。

家事の分担(といってもそれでも6対4でパートナーの方が多いけど、いや、7対3か…? 6.5対3.5くらいにはなっていると思いたいが…)、保育園の送り迎えなどからすると、平日に落ち着いて仕事が出来る時間は10時~17時くらいの間。その後は、やれお風呂だ食事だ絵本タイムだ。と怒涛のように時間が過ぎてヘトヘトになるので、夜もほとんど仕事にはならない。

こうなると、1日の仕事時間は7~8時間といったところ。保育園に行ってもらってる分、土日はちゃんと3人で遊ぶようにしているので、1週間で働けるのは5日間。

朝起きてから寝るまでずっと仕事をしていられて、かつ土日も関係なかった時と比べると、仕事をする時間はおおげさでなく半分程度になっている。

当然、自分が受けられる仕事の量は減る。せっかくお仕事をたくさんいただけるようになって、そこにはきっと自分の可能性や成長のチャンスなどがあるはずなのだけど、たまにお断りをいれることもある。

それを残念と思うか…というと、意外とそうでもなかった。

その理由のひとつは、前述の通り昨年のうちに大きな夢をひとつ叶えさせてもらえたことがあるのだけど、それだけではなかった。

じつは、30代も半ばになると、自分の成長がゆっくりになることに気が付いていた。目の前にふりかかってくる人生のハードルを夢中で飛び越えていれば自然とスキルアップできた20代は過ぎ、いまは低いハードルを飛んでも仕事になるし、たまに高いハードルが来ても正面から飛び越えずに回り込んだりするズルさだって身についている。

考えていることも堂々めぐりで、自分の感性は24歳頃をピークにどんどん下降し、鈍くなってきていることも感じていた。世界の感動をフレッシュに味わうことがもうしづらくなっていて、なんとなく予想出来る毎日を生きている。

娘が生まれたのは、そんなタイミングだった。

はじめて出合う世界を発見し、受け入れていく娘のその感動を瞳のなかに見る時、僕のなかにも大きな喜びが生じた。手をグーパー出来ることの不思議さ。足を大きく動かせることの驚き。雨粒の面白さ。メロディの発見。手を使って絵を描くことの楽しさ。手首を動かせることの便利さ。言葉を使える幸せ。

そのどれもが、僕が忘れていた生きる喜びそのもので、そのひとつひとつを体験し、習得し、さらに次の発見に繋げていく娘の姿は輝きでしかなかった。最近の言葉の習得のスピードは凄いものがあり、1週間で10単語くらいは軽く覚えている。気付けば走れるようになっているし、自分でコップを運べれば、脱いだ靴を並べてそろえたりだってする。

いまははっきりとこう思う。

娘の成長をちゃんと見ること、それこそがいまの自分に必要なことなのだと。

娘の成長を通して、僕自身も世界を再発見している。そして自分自身を生き直している。20代のころに味わっていた感性とはまた違った自分の感性が育まれていることを感じるし、堂々めぐりだった自分の考え、ある意味こりかたまり始めていた感覚が今またほぐされつつあることも分かる。とにもかくにも、こんな発見の日々は本当に久しぶりなのだ。

仕事盛りと、子育てが同じタイミングでやってくること。

これは決して悪いことでも困ったことでもない。娘を通して出合うことが出来る新しい自分の発見は、きっとまた知らなかった世界に自分を連れていってくれる。そしてそこにはさらにやりがいのある仕事があるだろうとも思う。すくなくとも娘が3歳になるころまでは今のペースで仕事をしていこうと考えている。なにも焦ることはない。継続していればその先に成長が待っていることは、娘が毎日のように証明してくれているのだから。

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