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【ムスメ日記⑥】今日、イタリアへ

2023年3月31日。
朝ドラ「舞いあがれ」最終回だった今日は、大学生のムスメがイタリア留学へ旅立つ日。1年のお別れ。成田へ見送りに行こうか迷っていたが、結局、会議があるので、家で見送ることにした。その代わり、ムスメあての手紙を書いた。
LINEもできるわけだし、普通の手紙、書いてもなと思って「辛い時に読む手紙」と表に書いて、辛い時に励ます、勇気づける手紙を書いた。僕が好きな作曲家・松本隆の励まされる名言「スランプに陥ったら……」を引用したりして、すごく元気になれる手紙を書いた。

しかし途中で、やめた。なんか、辛いことがある前提の手紙ってのもな。飛行機で、手紙の中身が気になるだろな。辛い時なんて、本来ないほうがいいわけで、と。「イタリアへ旅立つココロへ」と気を衒うことなく普通に書き直した。僕がムスメの留学を知ってから今日の日まで、色々あって喧嘩もしたけど、逆に、家族の絆が強まった的な、普通の手紙。

最後の父の仕事は、車のトランクに大きなスーツケースを2つ積んで、(あ、その前に、乗っていた精米前の米をおろして)お見送りのスタンバイをすることぐらいだった。

最後に4人で記念写真を撮って、手紙を渡し、そして、僕なりの演出、「舞いあがれ」で毎朝かかっていた、backnumberの「アイラブユー」をかけてお見送りした。するとムスメから「なんだそれ、お葬式の出棺じゃないんだから(笑)」とツッコまれ、家族でちょっとだけ笑いが起きたのが、なんだか平和だった。

僕は涙は出なかったけど、ムスメが笑いながら、涙ぐんでいたのを忘れない。鬼の運転で、弟も付き添って3人を乗せた車に手を振った。

そして、「はなげ」と家族から呼ばれている父親は1人、静かな家の中に入り、昨日まで散らかっていたが今はすっきり綺麗に片付いたムスメの部屋をのぞいてみた。すると、机に、家族にあてた手紙が。
お、ムスメも手紙か、俺と同じこと考えてる、なんて思いながら、読んでみた。
いつも僕が「俺は一家の大黒柱だぞ」とキレると息子が「大根柱だろ」と返してた弟のギャグも入れてあったw
そんな3月最後の日、快晴。外で散り始めた桜とともに、こうしてムスメはイタリアのフィレンツェへ向かい、新たなスタートを踏み出したようだ



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