育児日記 第5回 出産する病院を決める

 「決める」というタイトルは、少々違うかも知れない。ウチの場合、出産する病院については、ワイフが妊娠する前から目星はつけていた、というより、もう少し正確に言うなら、最初からその病院以外の選択肢を考えていなかったのである。

 かつて少年時代の一時期を過ごした地域に四半世紀ぶりに戻ってきてみると、これからアレクサが妊娠してベイビーを生むために入院すると考えたとき、真っ先に思い浮かんだのは海に近いあの病院なのである。

 妊娠する少し前から、実需用の不動産を買おうとして手ごろな中古マンションの物件探しをしていた(要するに自宅用マンションを探していたということ)。そうこうしているうちにめぼしい物件を見つけ、最終的に購入したのが、一つ隣りの駅からすぐそばであり、かつその病院へも徒歩で行けてしまうという偶然にしてはできすぎていないかと思えるような立地の良さを備えた中古マンションであった。

 その病院で産科の初診受付をする際、紹介状が無いと別途費用がかかるということであったが、通院していた婦人科病院から紹介状を出してもらうときに結局同じくらいの費用がかかるということだったので(たしか)、妙なシステムだなぁと二人で首をかしげながら、紹介状無しの費用を支払ったと記憶している。

 徒歩でも行けるし、クルマで乗りつけるのも便利、ということだけでもこれ以上の選択肢は無いと言えた。

 そして、アレクサが産後の1週間程度を過ごすことになる病室のあるフロアからの眺めは、最高であった。海に面した側の待合室の窓は横に長く、オーシャンビューの広々とした眺望に、思わず「ほうっ!」とうなりたくなる。この病院でよかった、とアレクサがしみじみと言う。

 実際、出産までの定期的な通院と診断、出産当日、そして産後の入院。総じてその病院の印象は良かった。ドクターもスタッフもアレクサに気持ち良く接してくれたので、出産後はベイビーと共にもう少し長く入院していたかったと本人が語っていたくらいである。

 とこのように、もともと出産病院として考えていた病院に近いところへ引っ越すことになって通院が便利になり、病院スタッフの対応も良く、眺めも良い、という申し分のない結果となったわけであるが、つい数年前まで住んでいた某市の総合病院だったら、こんなにうまくいったかなぁと考えてしまう今日この頃。

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