三匹が行くコロンビアの旅(14)帰国

<20XX年2月18日>
 朝6時半、起床。シャワーを浴びて、室内の様子を少し撮影。ルピタは具合が悪い様子で、ホテルを出るぎりぎりまで寝ており、結局、シャワーは無しで、おむつ交換と着替えだけで出発することになった。

 8時半、TWAホテルのあるターミナル5からターミナル8へエアトレインで移動。エアトレインというのは、いわゆる高架鉄道である。空港内のターミナル間を徒歩で移動できるのが理想だが、でかい空港だとそうはいかず、バスやトレイン系の移動手段を必要とする場合も多い。しかしこれがくせ者で、旅慣れない旅行者やその空港は初めてという旅行者にとって、たいていわかりづらくできている。そのため、乗り換えの時間が短いと次のフライトを逃したりする。
 さて、ターミナル8からどうやらターミナル1へ移動しなければならないようだが、エアトレインではなくバスかもしれない。徒歩でも行けるのかもしれない。よくわからないので近くの人に聞いてみると(もちろん英語)、やはりエアトレインらしい。教えてもらった通りエアトレインでターミナル1まで移動し、JALのカウンターを見つけたが、なぜか閉鎖中。掲示板を見てもやはりここのはずなのだが、開いていない理由は不明。とりあえず近くの空港スタッフに声をかけてみると、急遽ターミナル8に変更になったという。わおっ、たった今そのターミナル8から来たんだよ!と言ったら、そいつはToo badだ!とその人も同情してくれた。

 さて、再びターミナル8に戻り、ようやくそれらしきJALカウンターを見つけると、長蛇の列。預けたいスーツケースがあるわけではなく、次の便のボーディングパスが欲しいだけだというのに、ホントにここで並ばないといけないのか…。列の最後尾付近にいたJALスタッフらしき人に聞いてみると(聞いてみたというか、パスをもらいたいだけだから早く済ませられないか少しゴネた…)、並んで待てという。
 結局50分くらい並び、ボーディングパスを無事受け取る。しかし、ボーディングパスと言っても、紙で普通に印刷したものをカウンタースタッフが目の前で定規を使ってビリッと破り、ハイ!と渡してきたものである。ほんとにこんなんで大丈夫なのか?と聞くと、当初予定していたターミナル1で停電が発生し、急遽ターミナルを8に変更したのだが、相変わらずシステムに問題があり、こんなものしか渡せないという。なかなかヘビーだ。

 とはいえ、搭乗開始は予定通り11時に開始され、私たちは家族連れ優先という善意の配慮に助けられて早めに搭乗。そして12時半、ニューヨークのJFK国際空港をようやく離陸。

 見たことのある映画を3本、名前はなんとなく聞いたことがあったけど一度も見たことがなかった映画を1本、計4本の映画を見て、14時間30分後の2月19日午後4時半、成田空港に無事着陸した。
 ルピタは相変わらず元気のない様子だが、今夜は懐かしの我が家でぐっすりできるぞと励ましつつ、入国審査を終えてスーツケースをピックアップしに行くが、われわれのスーツケースは出てこない。これは怪しいと思っていると案の定JALのスタッフに名前を呼ばれ、話を聞くと、スーツケースはまだニューヨークだという。同じ便に乗せられなかったらしい。
 スーツケースが成田に届き次第、自宅へ送ってもらうための手続き開始。スーツケースのタイプや色、鍵の形式、ジッパーの有無など、スーツケースを特定するための可能な限り詳細な情報を書類に記入し、配送を依頼する。
 一連の手続きを終え、車を預けてある長期駐車場に連絡して迎えに来てもらい、迎えの車に乗り込んで空港を後にすると、早くも午後6時を過ぎていた。

 駐車場へ向かう車内で、母・綾子から電話がかかってきた。迎えに来たのにどこにいるのかと言う。スーツケースの件がひとまず片付いてやれやれと思っていたところに、今度はいったい何だと思う。迎えに来るなどとは言っていなかったはずだ。あとは自分の車を拾って帰宅するだけだというのに、いまさら母と合流しようとするのはみなの疲れを倍増させるだけである。誰よりも、ルピタが疲れている。適当に断って、放っておくことにする。

 午後8時、帰宅。約2週間ぶりの我が家である。ルピタが少し元気になり、笑顔を見せてくれた。

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