道州制を導入しても都府県は廃止すべきではない
道州制とは、現行の都府県よりも広域な行政区分として「道」と「州」を新たに設置し、中央政府の権限や財源を各道州に移譲することにより、分権型国家の構築を目指す構想です。
道州制の導入を主張する人の多くが根拠として、現行都府県の廃止を想定し公務員や地方議員の削減による費用の削減を挙げています。しかし、これは道州制の主な利点ではありません。経済学的な観点からいえば、公共サービス供給のスピルオーバー解消が最大の利点です 。
公共サービス供給のスピルオーバーとは、サービスの便益が供給を行った政府の行政区域を超えて発生することをいいます。道州制導入の議論との関連でいえば、交通機関の発達等による人々の経済活動範囲の拡大と、それに対応する広域行政の需要という観点から、現行の都府県は手狭になっていると指摘されています。例えば、コロナウイルス感染抑止対策に関しては、東京都や大阪府などの個々の都府県がバラバラに取り組むより経済圏全体で取り組む方が、効果があるのは明らかでしょう。
現行の都府県は手狭になっているという意識から道州制の導入と都道府県制度の廃止はセットとして主張されてきました。しかしながら、都府県を廃止して広大な道または州(以後、州と呼ぶことにする)と基礎的自治体の間に中間的な地方政府を設置しないというのは、かえって災害対策や学校教育など様々な面において行政対応がおろそかになる可能性があり、「広すぎる道州制」を導入することへのアレルギーを引き起こす原因の一つになっていると言えます。
詳しくは、詳細を記述したレポートをお読みいただきたいのですが、こうした道州制へのアレルギーを払拭しながら道州制の導入により、よりよい形で地方分権を進めるには、私は以下の5つの視点が必要だと考えています。
1. 道州制の区割りはスピルオーバーの解消を優先的に考え、経済的に一体化した地域はできるだけ同一の州に所属させる
2. 現行の都府県は存続させ州の下部組織にする
3. 州都は最大人口都市以外の都市にして「政経分離」を行う
4. 米独などより中央政府の権限が強い連邦制を目指す
5. 道州制導入と首都移転をセットで考える
その上で私は、北海道州、東北州、関東州、北陸州、東海州、関西州、中国州、四国州、九州州、琉球州の10州と連邦特別区(首都)からなる道州制の区割りを考え、経済規模等の試算を行いました。
仮に、連邦制的な性質を持つ道州制と首都移転が実現し、地方分権が進んだ場合には、これまで当たり前だった政府や民間の意思決定は大きく変化する可能性が高いでしょう。各地域が自分たちの創意で大きく成長し世界とつながる、そうした分権・分散的国家への転換が可能になるのではないでしょうか。
なお、分析の詳細は、私が一般社団法人進歩総合研究所で執筆した下記のレポートに記載されていますで是非お読みください。
鈴木しんじ
日本型大統領制を実現するリベラル新党、
政治団体「社会民主進歩党」代表
一般社団法人進歩総合研究所代表理事
社会民主進歩党(略称:進歩党)公式サイト
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