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リスクをゼロにすることに執着すると大切なものを見落とす 「ゼロリスク・バイアス」 とは

「認知バイアス大全」マガジン

このマガジンでは、236ある認知バイアスを事例や対策、応用を交えて紹介しています。


ゼロリスク・バイアス

ゼロリスク・バイアス(Zero-risk bias)

問題の小さなリスクをゼロにすることに注目するが、それ以上に重大なリスクには注意を払わない傾向

健康、安全、環境に関する問題を扱う場合によく現れます。ゼロリスク・バイアスは、リスクが減ることより、なくなってくれたほうが気持ちが良いために発生します。政策は、このゼロリスク・バイアスの影響を受けていることが多々あります。このバイアスにより、全体的なリスクを減らすことよりも、部分のリスクをゼロにすることを優先しがちになります。「もし何かあったらどうするのか?」ということにフォーカスして議論するとき、このゼロリスクバイアスが大きく関与しています。リスクをゼロにすることに苦心するが、リスクをゼロにするというのは、元来ほぼ不可能であることに加え、リスクをゼロにしようとすることで犠牲になるものにはは注意を払いません。例えば公園の遊具。「子どもが怪我をしたらどうする?」という懸念で撤去されるものが多いようです。しかし遊具で子どもが遊び、ときに怪我をすることで得ている経験や知恵など、言語化しづらくも大切なものを考慮することは有りません。人間は本質的に損をすることをとても嫌いため、このような傾向が生まれす。この「損が嫌い」という傾向は、プロスペクト理論や損失嫌悪(Loss aversion)などにも関連してきます。


対策

リスクを取らないリスクも計算に入れる

ゼロリスク・バイアスは、ワクチンを打った死亡例が、人々にワクチンへの警戒心を高めさせ、ワクチンを打たない場合の死亡率を無視させる「何もしないバイアス」への対策にも似ているのですが、具体的な比較が対策になります。

応用

「損をするかも」という刺激は、人間を不合理な行動に促す


関連した認知バイアス

プロスペクト理論(Prospect theory)

不確実な状況における意思決定モデルであり、(1)得することより損をしないことを選ぶ傾向、(2)損も得も量が増えるとインパクトが弱まっていく傾向


損失嫌悪(Loss aversion)

同等の利益を得るよりも損失を回避することを好む傾向


フレーミング効果(Framing effect)

情報の提示の仕方で、同じ情報から異なる結論を引き出す効果。


何もしないバイアス(Omission bias )

悪事を実際に行うほうが、何もしない結果、同じくらい悪い結果になることよりも罪深いと考える傾向



参照


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