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投資やギャンブルで、「きてる!」、「もってる!」と思ったら要注意 「ホットハンドの誤謬」

「認知バイアス大全」マガジン

認知バイアスとは、人間が進化の過程で獲得した生き抜く工夫……のバグ部分。不合理な判断、行動を起こさせます。そんな認知バイアスを集めたマガジンが「認知バイアス大全」マガジンです。


コインをトスして3回連続して表が出ると……

勝ちが続くと「来てる!」、「持ってる!」という感覚が生まれます。

コインを3回表ができると人は、次も表が出る気がしてきます。こうして確率に対しての認知に歪みが生じます。これをホットハンドと呼びます。ギャンブルで負けが続くと次もまた負ける気がしてきますが、これを逆に「コールドハンド(Cold hand)と呼びます。

ホットハンドの誤謬

ホットハンドの誤謬 (Hot-hand fallacy)とは

賭博など、ランダムなイベントでうまく行くと、次もうまく行くと考えてやめられなくなる傾向

認知バイアスの一つです。バスケットボールなどで続けざまなシュートが成功すると次もまた入るだろうと思えてきます。これを「ホットハンド現象(hot hand phenomenon)」、または単に「ホットハンド(hot hand)」と呼びます。統計的にはホットハンド現象は、勘違いであり、誤謬(間違い)となりますが、最近の研究(※ 3)スポーツにおいてはホットハンドは存在すると考えられ始めてもいます。

スポーツにおいてなら、あながち間違いでもないかもしれないホットハンド

この誤謬は、エイモス・トベルスキー(Amos Tversky)、トーマス・ギロビッチ(Thomas Gilovich)、ロバート・ヴァローネ(Robert Vallone)による1985年の論文(※4)で最初に登場しました。論文のタイトルは、『バスケットボールにおけるホットハンド』というもので、バスケットボール選手が「ホットハンド」を持っているという考えに疑問を呈する内容でした。確率に対して、わたしたちは、連続した成功(や失敗)から次の手に対しての予想に影響を受けてしまうというのが、このホットハンドの誤謬の主旨ですが、スポーツにおいては場合によってはホットハンドは存在するようです。


スポーツ以外では勘違いになる「ホットハンド」

人間は元来、確率にとても弱い生き物です。というか生き物には確率というものにさほど実直に対応できないものです。3回やったら、3回とも上手くいくなら、次もうまくいく、と学習するのが動物です。生得的な反応とも言えます。行動経済学では、このホットハンドの誤謬は、代表性ヒューリスティッ(Representativeness heuristic)に由来すると考えられています。

代表性ヒューリスティック(Representativeness heuristic)
あるものの代表的な特徴と合致しているならば、それに近いだろうと直感的に判断すること。


対策

(1)確率を計算して行動する
(2)ルールを作る

「投資やギャンブルなど、確率に偏りがないはずのものに連続が現れても、それはサンプル数の問題であること」を思い出しましょう。クラスター錯覚というものがあり、ランダムにも関わらず、部分にフォーカスすると塊やラインが見えてきます。サンプルが少なくなれば、連続が発生しやすくなります。例で言えば、3回コイントスをして表が連続して出る可能性は、8回コイントスをして、連続して表が出る可能性より高いということ。ゆえに確率に偏りが無いはずのものには、「来てる!」と思わないことが大切。それは錯覚だから。

クラスター錯覚

ランダムな現象に一定の法則があるように錯覚する傾向。


オススメの本

どうしてこういう勘違いをわたしたちはしてしまうのか解説しているのが、ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』です。ファストもスローも脳の機能を表現したもの。



参照

※1:Hot Hand

※2:ホットハンドの誤謬

※3:Surprised by the Hot Hand Fallacy? A Truth in the Law of Small Numbers

 ※4:The Hot Hand in Basketball: On the Misperception of Random Sequences
#認知バイアス #認知バイアス大全 #ホットハンド #ホットハンドの誤謬


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