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ひとはなぜ、どうでも良いことを長々と議論するのか? 「パーキンソンの凡俗法則」

「認知バイアス大全」マガジン


パーキンソンの凡俗法則

パーキンソンの凡俗法則(Parkinson's Law of Triviality)とは

組織が些細な物事に対して、不釣り合いなほど重点を置く傾向

イギリスの海軍歴史家、シリル・ノースコート・パーキンソン(Cyril Northcote Parkinson)が1957年に発表した『パーキンソンの法則』のなかで紹介されたもの。原子力発電所と自転車置き場の建設について審議する様子を喩えとして使っています。そのため「自転車置き場の色効果(bicycle-shed effect)」という言い回しで表現されることもあります。

イギリスの海軍歴史家、シリル・ノースコート・パーキンソン(Cyril Northcote Parkinson)
By Rossem, Wim van / Anefo - [1] Dutch National Archives, The Hague, Fotocollectie Algemeen Nederlands Persbureau (ANeFo), 1945-1989, Nummer toegang 2.24.01.05 Bestanddeelnummer 912-9247, CC BY-SA 3.0 nl, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27600024

原子力発電所の建設は、莫大な費用がかかり、構造が複雑なため一般人には理解できません。このため、一般人は審議について口を挟もうとしません。そのため審議は「粛々と」進んでいきます。一方、自転車置き場について話し合うときは、屋根の素材や色など些細なこと(Triviality:どうでも良いこと)が議論が中心となり、そもそも自転車置き場を作ること自体が必要なのかという本質的な議論は起こらない。こうして理解できることに関しては、議論に参加する人々は、自分のアイデアを加えることによって自分の存在を誇示しようとし、どうでも良い議論を繰り広げてしまいます。

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則は、パーキンソンが著書『パーキンソンの法則(Parkinson’s law)』で紹介したものでつぎの2つから構成されています。

第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

けっこう思い当たることが多いのではないでしょうか。このパーキンソンの法則を乗り越えるのは少々厄介です。全力を出すのはシンプルなのですが、「手を抜く」のは工夫や加減、言い換えると「ルールを作ること」が必要だからです。シンプルなやり方は、ある時間やお金を全部投入するのではなく、少なく割り当てること。これ繰り返してなれることと次の予定を入れてしまうこと。そうして少しずつパーキンソンの法則から抜け出せるようになります。本田直之という方は、誰かとの夕食の予定を毎日入れて、夜矯正的に仕事を終らせるようしているそうです。こういう行動の設計を「行動アーキテクチャ」と言います。賢い。

対策

議論するものの重要性に10点満点で点をつけて、それに相当する時間しか設けない。

人間は斯様に不合理な行動や判断をするので(後述のセイラーの法則も参照)、法則で動き、感情の重要性を低くしたほうが良い。

関連した原則

セイラーの法則

セイラーの法則(Sayre's law)はより一般的な原則で、

いかなる論争においても、感情の強さは問題となっている問題の価値に反比例する
In any dispute, the intensity of feeling is inversely proportional to the value of the issues at stake

というもので、この原則の多くは学問に焦点を当てたもの。チャールズ・フィリップ・イサウィが引用した法則。アメリカ合衆国の政治学者でコロンビア大学教授のウォレス・スタンリー・セイヤー(Wallace Stanley Sayre, 1905-1972)にちなんで命名された。


関連書籍

C.N.パーキンソン(著)『パーキンソンの法則』


本田直之(著)『レバレッジ・シンキング』



参照


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