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自分たち以外のグループは似た者同士に思える 「外集団同質性バイアス」

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あなたの会社はいろんな人がいますか?

Q. あなたの所属している(経営している)会社は、他の企業と比べて多様性が高いと思いますか? 他社のほうが多様性が高いと思いますか?

どうでしょうか? 自分が所属する集団に関しての知識は豊富です。しかし他の集団についてはそれほど知りません。その結果、自分の所属する組織は多様性が高く、他の組織は多様性が比較的に低いと考える傾向があるようです。。これを「外集団同質性バイアス」といいます。


外集団同質性バイアス

外集団同質性バイアス(Outgroup homogeneity bias)とは

自分の所属する集団の多様性が他集団よりも高いとみなす傾向

です。外集団同質性効果とも呼ばれています。人は、自分の所属していない集団をひとまとめにして見てしまいます。その方が、理解しやすく記憶しやすいためです。これは、政治、民族、性別などにおいても発生します。「女ってやつは…」や「アメリカ人は…」、「だからおじさんって…」なども、この外集団同質性バイアスの影響を受けた考え方、感じ方です。

このバイアスに関連したものにエスノセントリズム(ethnocentrism)というものがあります。これは、自民族中心主義であり、「自分の育ってきた民族集団、人種の文化を基準として、他の文化を否定的に判断したり、低く評価したりする態度や思想」です。エスノセントリズムは、内集団バイアスが発展したもの。内集団バイアスとは、「自分が属している集団には好意的な態度をとり、外の集団には差別的な態度をとるバイアス」というもの。

外集団同質性バイアスは、おもに認知資源の節約に役立っています。外の集団をひとまとまりにとらえることで、判断のスピードがはやくなります。が、この合理化は、先に紹介した内集団バイアスエスノセントリズムに繋がります。内集団バイアスは元来、民族間や部落間の闘争の可能性を前提としており、味方を贔屓目にみることで生存可能性を高める効果を持ったものです。こうした生得的な傾向が、気がつけば差別や虐殺に繋がりかねません。差別や虐殺は人間が元来持っている傾向(バイアス)の行き過ぎた(?)反応です。

どれだけ内集団と外集団のそれぞれのメンバーを知っているかは無関係

外集団同質性バイアスには、内と外の組織について、それぞれのメンバーについてよく知っているかどうかは関係ありませんでした。関係があるのは、自分が所属しているか否か。

一方で団結を目指す動機が、内集団を均質性を強調して意識することがある

内集団の多様性を相対的に高く見積もるのが外集団同質性バイアスですが、たとえばマイノリティな集団が自分たちの権利や立場を主張するとき、所属している集団を同質なものとして捉えることがあります。このように文脈によって変化する場合があります。たとえば、人種運動など。


対策

人を一括にするとき、このバイアスがあることを思い出す

問題は、外集団同質性バイアスの影響を受けているとき、「よそのグループ」という認識がないことです。つまり差別している、根拠なく一絡げにして他の集団を捉えているとき、わたしたちにその自覚はありません。「ドイツ人って」、「関西のひとは」など、何かしらのテーマや属性で他者をひとまめにするとき、そこにこのバイアスがあることを思い出しましょう。ひとまめにしないことには、話がうまく進めらません。そのため、このバイアスを避けるのは難しい。なので、意思決定に大きく関わるようなとき、グループを扱うときには、このバイアスがあることを思い出し、是正を試みるのが良いでしょう。さもなくば、無自覚な差別意識が育ちます。

応用

自分たちの集団の多様性を謳う

他社に比べて、自社は多様性が高い!と謳うと、社員たちは、ただでさい外集団同質性バイアスによって、他社より自分たちに多様性が高いと思い込んでいるので、それを強化するのは容易い。多様性を促進しているということを唄えば、それが与える印象はより強くなることでしょう。

関連した認知バイアス

内集団バイアス (Ingroup bias)

自分が属している集団には好意的な態度をとり、外の集団には差別的な態度をとるバイアス。


参照

※1:Out-group homogeneity

※2:外集団同質性バイアス

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