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GartnerによるBEVの今後の普及予測と保有コスト

米国の調査会社Gartnerは2027年までに次世代EVが現行のICE車と同等のコストとなり普及促進する可能性があると調査結果をリリースしました。
一方で、EV特有の修理や部材の高さなどを勘案すると、維持コストが高まって生産コスト低減の効果を喪失する可能性があるとも。
生産コストは当然ながら、修理/維持コストにも目を向けるよう示唆を出しています。

https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2024-03-07-gartner-outlines-a-new-phase-for-electric-vehicles

1;調査サマリ

 Gartnerは2024年も自動車OEMはソフトウェア/電動化による変化に取り組む必要があり、今回のEV関連調査の注目ポイントは3つ
 (1)27年までに、次世代BEVは同等のICEよりも生産コストが安くなる
 (2)27年までにEV本体/バッテリーの重大事故修理に係る平均費用は30%増加
 (3);2027年までに、過去10年以内に設立されたEV企業の15%が買収または破産
 調査担当副社長;Pedro Pacheco氏は下記のようにコメント
 -[EVセクターの崩壊を意味するのでなく、最高の製品/サービスを持つ企業が残りの企業に勝つという新たな段階に入っているだけ]
 -[新興メーカーは自動車業界の再定義を狙っており、一元化された車両PFyギガキャスティングで生産コストの大幅削減に成功。既存OEMは追いつけないところまで行ってしまった]
 -[BEVが当初の予想よりもはるかに早くICEコスト同等に達するが、一方でBEVの一部の修理費用がかなり高くなる]

2;EVスタートアップの統廃合

 Gartnerは2027年までに、過去10年間に設立されたEV新興企業の15%が買収/破産すると予測
 早期事業化(マネタイズ)を狙って車両/充電器/充電サービスと様々な新興企業が群がったが殆どは外部資金に大きく依存して脆弱な状況。EV関連補助金が段階的に廃止される中、市場の競争環境はさらに悪化/激化している
 EV出荷台数は[2024年=1840万台/2025年=2060万台]を予測するが市場は[適者生存状態]に移行。EV分野での成功は初期のEVユーザの対応能力によって大きく左右される
 ここ最近でも上場して巨額資金を集めた18社(車両/バッテリー)が資金繰りに苦戦し、LordstownやProterraは破綻した

3;生産コストと修理コストの相克

 生産コストの急削減は長期的には消費者の反発を招く可能性があり、修理費増を犠牲にして行うべきではない
 BEV生産への新しい方法は、修理コストを低く抑えるためのプロセスとともに導入する必要がある
(製造コスト)
 2027年までに、次世代BEVは同等のICE車よりも製造費用は安くなる
 特に生産コストは車両PFやギガキャスティングの導入でバッテリーコストよりも早く低下する想定
(修理コスト)
 一方で修理費用は2027年までにEV本体/LiBの重大事故修理にかかる平均費用は30%増加、より高額になる予測を出している
 衝突/損傷した車は[修理費用>>残存価値]となり、完全に償却される可能性が高い。修理費用が高額になると、[保険料の高額化][保険会社による保証拒否]の可能性が出てくる

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