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破綻したVanMoofはMcLaren傘下へ

 電動自転車の中でもデザイン性/機能性/顧客ロイヤリティで注目を集めたVanmoofが破産申請して1ヶ月近く経ち、事業買収の報道が出てきました。McLarenの電動モビリティ部門が買収し、頓挫していた改良モデルの継承や販売戦略再考を通じて事業再構築を狙いつつ自社取り込みを狙うようです。

1;VanMoof破綻と買収

Vanmoofは23/07に破産申請/承認が為されたが、買収話が浮上。具体的にはMcLaren AppliedのEバイク部門である[LAVOIE]が事業買収を行うことで合意したと報じられる
 LAVOIEは都市型電動マイクロモビリティを開発/製造、McLarenのデザイン/機能の活用&グローバル展開を目指す。同ブランドでは、23/01にワンタッチで折り畳み可能なEバイク[Series-1]を英国などで販売済み。
 今回の買収でVanmoof事業の継承/変革(当初数千万£を投下方針)を通じて自社事業の強化を図る方針であり、下記の動きが。
 -販売;直販モデルからサードパーティーと連携した代理店モデルへの変革
 -開発;破綻のキッカケとなったモデルの改良/改修を行ったモデルの市場再投下による業績改善(改良モデルは今春初めに発表されていたが、業績悪化で日の目を見ず)
 -人員;旧社のマネジャー陣の引き留めに動いている

2;Vanmoofの概要

 優れたデザインと革新性を売りとするEバイクで知られるスタートアップで、界隈では[最も資金を集めたEバイクメーカー]とも評価された。
 同社は09年設立、直近21/09のラウンドでは1.3億USDの調達を実施。破綻までの調達総額は2.3億USDに上った。自社での開発/製造/保守を特徴としており、自社完結モデルを貫いてきたがゆえに順風時には非常に強いエコシステムを形成していた。
 直近の純利益は[FY21;-0.86億USD][FY22;-0.90億USD]で直近はメザニン融資/通常融資で乗り越えようとしてきたが、万策尽きた。
 これまで、COVID-19蔓延下で業績を伸ばしてきたが、下記問題とサービス体制不備で顧客満足度は急低下し業績悪化に拍車。
 -製品問題;[S3][X3]での多くのトラブル(配送事故/故障など)への対応する必要が発生
 -保証問題;[Peace of Mind保証]という3年間無料メンテ/盗難時の代替車手配などの悪用の多発
 -金利問題;金利上昇に伴うDebt調達対応コスト時の上昇

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