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EVの普及キャズムは5%が閾値??

 BloombergがBEVの普及に関して5%の法則を調査結果から導き出しました。従来型のキャズムでは16%の壁を超えると普及加速とされますがBEVでは5%であると。
 補助金/税額控除などの影響があるので一概に言えないですが一つの見方として。ただ、CA州の動きが一つのベンチマークとなっているのは確かですね…

1;普及率5%がキャズム

 Bloombergでは世界各国のBEV普及拡大カーブを分析、BEVの拡大傾向を見るにはCA州の動きを見れば予測がつくと結論付け。米国実績を過去5年でみると、新車販売台数に占めるBEV割合は2%から22%に上昇、とくにCA州では新車販売台数に占めるEVの割合が5%を超えると普及ペースが大幅に加速することが明らかに。
 CA州を国と仮定すると、EV販売台数では中国/米国/ドイツに次ぐ販売台数を記録。直近のFY23/2Qの販売台数はQoQで70%増だった
 米国全体では、CA州から3年遅れで同じ道をたどっている状況。この傾向が続くと26年には米国の新車販売台数の1/4がBEVになる

2;EV普及拡大期

 過去にも携帯電話やテレビでアーリーアダプタ段階を突き抜けると普及速度は急速に加速して拡大。これは優れた技術でも古い技術に固執すると致命になる好例
 EVの大量普及段階への移行見極めは非常に困難だが業界の存続に関わる課題だが、EV移行には数千億ドル規模の設備投資が必要で何年もの期間を耐える必要が。タイミングの判断が重要で、早すぎると資産を浪費する可能性があり、遅すぎるとTeslaのようなアーリームーバーに市場を奪われるリスクがある…
 ちなみに従来キャズム理論ではアーリーアダプターを越えると普及が拡大する想定
 -イノベーター(革新者;市場全体の2.5%)
 -アーリーアダプター(初期採用者;市場全体の13.5%)
 -アーリーマジョリティ(前期追随者;市場全体の34%)
 -レイトマジョリティ(後期追随者;市場全体の34%)
 -ラガード(遅滞者;市場全体の16%)

3;米国の状況

 現在米国市場のEV販売のうち60%はTeslaが占めており、Teslaは世界で初めてEVの大量生産に成功し、業界トップクラスの利益率を維持しつつ普及に向けた値下げを実施…王者の戦略を取りつつある。また、Model3/Yの販売台数に匹敵する規模のEVは、中国系以外では達成できていない
 米国の従来ディーラー網ではEV在庫が増加していると報じられるが[競争激化≠需要減少]であり、調査会社によると、米国消費者の半数以上がEVを[将来的に購入したい]と回答。楽観論に逃げるのでなく需要にどうこたえるか考えないと…

4;市場シェア5%の壁

 IRAによる投資加速で米国市場はTesla依存(特にModel3)という脆弱性を克服、EV/LiB製造に米国では100拠点/約2000億USDが投資され、米国自動車産業史上最大の産業集積になる可能性が。
 世界的に見ても世界で最安なEVを生産するインドでもLiB搭載モデルが普及しつつあり、BEVでの利益計上を見いだせないOEMは置いてけぼりをくらう

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