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VWがEV製造拠点(4カ所目@東欧)の計画を棚上げへ

VWが最近の業績不振を背景として事業再構築/見直しを進めています。
先般のCariadの人員削減に続いて今回は、EV製造拠点計画の見直しで東欧に計画していたギガファクトリー建設計画を取り下げました。
最近の事業緊縮の動きが将来布石への可能性を排除しているようにも見受けられます…

https://europe.autonews.com/automakers/vw-has-no-plans-add-gigafactories-present

1;VWのギガファクトリー

 VWは20年代末までに6つのギガファクトリーの開設計画を発表、現時点までに3カ所を選定/開設準備を進めている。
 原罪の箇所としては、[1;Salzgitter(独)][2;Valencia(西)][3;St. Thomas(加)]の3拠点でカナダはIRAのインセンティブ利用で選択、3工場で年間最大200GWhの生産能力があるとされる
 VWにおいて欧州は最大市場であり全体の60%以上を占めるが、同社中国市場での不振と同様に市場シェア急減の危機にある。CFOによるとVW全体の欧州でのEV受注は昨年の30万台から15万台にまで半減したとのこと
 中国に関してもXPengを搭載した新モデル発売まで市場シェアを失う可能性があると危機感をあらわに。

2;4カ所目のギガファクトリー

 ギガファクトリー4カ所目選定について東欧で1年以上探索を続けているが当面延期する計画を明らかに。これまで、チェコ/ハンガリー/ポーランド/スロバキアを検討してきたがでの拠点を検討してきた。
 チェコ政府は工場設立を働きかけているが、当局者らはこれ以上待つことができず、敷地を他国に提供すると表明。
 VWサイドの担当は[当面、さらなる拠点を決定するビジネス上の根拠はない]と説明。VWのCEOは[今回の決定は欧州BEV市場の立上り鈍化などの市場状況に基づく]とした

3;その他

 VWは他社におけるEV投資抑制の流れや市場動向を勘案して今回の延期決定をしたとしている。
 -Ford;計画していた約120億USDの製造投資を延期、60万台のEV稼働率目標を1年先送り
 -GM;EVラインナップの生産延期を公表するとともに、LiB工場の遅れも明らかに…
 -Toyota;23年度EV販売予測を40%程度く下方修正すると発表(主に中国での価格競争の激化に基づく)
 EV普及は今後も増加し続ける予想で、現在投資できるOEMは恩恵を受けることになる。
EVをリードするTesla/BYDの市場シェア拡大は逆に既存OEMには逆風になっている。特にTeslaが顧客ドリブンな開発を通じたEV提供でシェアを伸ばす一方で、VW等は顧客が魅力を感じる価値の創出にてこずっている…

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