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破産手続中のLordstown(EV)に対してSECがとどめの罰金請求へ

昨年に破産申請したEV専業Lordstown Motorsが破産手続中ながらSECから罰金の請求が為されました。
同社はEV予約件数の水増しを空売り調査会社から指摘され、続いてSEC調査が行われ、様々な生き残り策を模索しつつ破産に至りました。
今回の罰金は破産手続の妨害であるとして対抗姿勢を見せていますが、EV狂乱バブルの終わりを象徴するイベントになりそうです。

1;SECがLordstown Motors(LM社)を調査

 SECは1/4にLM社のChap11手続きに絡んで4500万ドルの賠償請求をしたが、LM社は和解交渉中とのことで支払猶予を求めていると報じられる。
 本件はLM社の電動PUT予約注文数に係る投資家への虚偽報告に基づくもので、連邦証券法違反に問われている。2021年に空売り調査会社であるHindenburg Research社がLM社の不正疑惑レポートを発行してからSECも調査を実施していた
 LM社は独自に内部調査も実施し、最終的に[特定の幹部が誤解を招く主張を行った]との結論も出していた。そこから、当時のCEOで創業者のSteve Berns氏が辞任。
 ただ、SECは調査途中で経営陣の召喚状を発行して、独自調査を継続

2;LM社のこれまでの対応と今後

 SEC調査が進む中で当然ながらLM社の経営状態は悪化、下記施策を取って現金確保に急いだものの、最終的にはChap11の申請へ
 1)Foxconnへの製造拠点売却(GMから買収した拠点)
 2)Foxconnと連携したPUT製造(自社での製造能力が無くなったため)
 Chap11申請後もSEC調査は継続、証券法違反での罰金科料に向けて24年入り以降は急速に動きが進んだ
 (23/06) 破産手続の申請後のタイミングでSECと秘密裏に和解交渉を実施
 (~23/末) 破産手続の期限が迫る中、SECと賠償請求の支払い遅延について要求して許諾を獲得
 (24/01) SECは1/4に請求を提出して[連邦証券法違反に対する金銭的救済]を求めた

3;その他

 SECはここ数年、EV新興企業や他のモビリティ関連企業に対する調査を強化しており、23年には多くの調査が終了。下記がその事例だがかなりの調査が実施された
 (Hyzon;水素トラック) 21年に87台の販売実績を喧伝したが実際には0台であったと発覚し、SECは2,500万ドルの罰金を徴求
 (Spruce Power;パワートレイン) 合併手続中に10億ドルを超える売上予測を示したが根拠薄弱で誤解を招くとして、SECは1100万ドルの罰金を科した
 (Canoo;EV) 販売台数の虚偽報告及びガバナンス不備に関して当局との和解の一環として150万ドルの違約金を支払い、幹部2人は別途起訴
 (Lucid;EV) 販売台数に関する虚偽開示の調査を実施したが打ち切り
 (Workhorse;EV)  販売台数に関する虚偽開示の調査を実施したが打ち切り

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