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CES2024で水素燃料モビリティに再注目

CES2024では水素燃料に関しても注目を浴びており、水素燃料トラックを手掛けるNikoraだけでなくHyundai/Boschといった企業も相次いでリリース/展示を行いました。
米国での水素製造/インフラ支援はEVと同様にインフラ法/IRAの対象となることからEV熱が一巡した今、議論が再燃しています。

1;CES2024での展示

1-1;Nokola

 水素トラックの製造/NW構築を行っており、まずはEVトラックということで2021年に出荷を開始している。自社のトラック予約件数の水増しIRで創業者がSECから提訴されて以降事業をピボット(水素→EV)
 CES2024で初の米国製水素トラックをお披露目(すでに顧客デリバリ開始済み)し、本来のミッションに戻ってきたと評される

1-2;Croft Motors

 頑丈/堅牢な水素燃料自動車の開発を行っており、CESではコンセプトカーなどを提示。航続可能距離1,000マイル/3列シート/SUVといった特徴を持つ自動車
 創業者のHallman氏は[最近のEV普及加速のおかげで、水素の可能性を議論する適切な時期になった]とする。同社は冷蔵庫サイズの電気分解装置の開発も行っており、分散型装置により水素自動車の普及を加速させる狙い

1-3;Hyundai

 2050年までにグループでカーボンニュートラルとなるべく水素燃料自動車の研究に取り組み、CES2024ではHD-Hyundaiが最大のディスプレイを展示。HD社はグループ内で建機/製油所/海運などを担う複合企業で、建機の動力源として[電動<<<水素燃料]といった認識で研究を進める(建機の大きさや燃費観点から)
 社長は[我々の目標は、海から陸地まで地球全体に水素エネルギーのエコシステム全体を構築すること]と述べ造船から建設機械まで製造品全てに水素エネルギーを組み込み、生産/貯蔵ソリューションも構築する方針
 Hyundaiの水素事業MDは[クリーン水素の商業化するという短期ロードマップの具現化]であり[Hyundaiは下水汚泥/その他有機廃棄物をクリーンな水素に変える取り組みを進める]としている

1-4;Bosch

 Boschは既に水素燃料電池を製造するが、水素燃焼型エンジンを通じた[エネルギーの電気変換/蓄電]プロセスをバイパスしてのエネルギー利用が可能となるとプレゼン。水素燃料電池は既にNikora社の水素トラックに搭載されている

1-5;PACCAR

 トラックを行うPACCARはCES2024に[Kenworth][Peterbilt]のブランドで2台の最新の水素燃料トラックをリリース。CES開催期間中だけで当該水素トラックについて[150台以上の予約金]を受け取ったと発表、2025年の出荷を目指すとする

1-6;SK-Group

 韓国の製造/エネルギー大手SKはテーマパーク的な展示で水素&AIビジネスを宣伝。水素エネルギーで動く小型列車やAI占い師をお披露目した

2;水素エネルギーへの注目

 米国の2022年インフラ法及びIRAによる後押しがEVのみならずICE以外の車両の可能性を広げている。背景には政治的意志/予算(グリーン水素製造/燃料補給インフラの整備)があり、水素燃料モビリティを後押ししている。

2-1;インフラ法

 米全土に水素製造ハブを構築するための[クリーン水素イニシアチブ]に95億ドルの予算を計上/執行されている。水素ハブの一部では再生可能エネルギーと電気分解によってグリーン水素を生成することを期待されている

2-2;IRA

 輸送/モビリティに関してはEV販売促進と同様に、販売/普及促進に向けた施策が実施されている。水素生産クレジットを通じ、クリーン水素の生産コストを一定に抑制すべく生産者に最大3ドル/Kgの補助金が提供される
 ちなみに連邦道路局はCES期間中に、新しい充電/燃料インフラの整備に向けて新たに数億ドルを投入する方針を発表、大部分が水素に使用される予定とのこと

2-3;既存業界からの関心

 化石燃料業界は[化石燃料x炭素回収]でクリーンな水素エコシステムの形成が可能で、主導しうるとみてロビー活動を活発化している。23/3Qで水素関連ロビーには数千万ドルが投じられた(Alliance for Future/Clean Hydrogenというグループ名称)
 国連によると[メタンの慢性的な漏洩が発生しており、メタンはCO2の80倍の温暖化作用がある]点は問題とするが…

3;水素自動車の普及を阻害するモノ

 企業/政府ともに関心を強めるがインフラの欠如が普及を阻害して、水素自動車(モビリティ)は依然としてレアな状況にあり、具体的には下記が課題
(1;整備されたエネルギー網)
 ICE時代のガソスタが既に存在しており、その多くはEV充電機能を設置。水素エネルギーの供給網として機能するには厳しい
(2;エネルギー効率)
 水素燃料モビリティはBEVに比べると燃料効率が低い点。電気分解でのエネルギー消費に加えて、[燃料電池を介した水素の輸送/圧縮/電気変換]のプロセスで燃料損失が発生
 結局のところ、再エネ電力が限定的ならばBEVにした方が脱炭素には効果的である…

4;商用/長距離移動でのメリット

 HyundaiやNokoraといった企業は[BEVメリットはトラック輸送/中型車両/航空旅行などではそれほど顕著ではない]と主張。EVバッテリーは燃料電池より何倍も重く、完全充電に数時間かかる点を強調
 水素自動車への燃料補給は、従来ICEと同様の時間で済む
 一方の問題は価格であり、化石燃料依存を長引かせず水素燃料を手頃価格/入手しやすくすることが重要

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