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米当局が飲酒検知に係る規制/指針を検討中

米連邦政府が飲酒運転の軽減/撲滅に向けて車載機における飲酒検知機能搭載義務付けに向けて提案を広く求めています。
ただ、要件は非常に厳しく[運転手が受動的に行う][高精度の確保]など、悪魔の証明的なお題目になっており米国の関連団体も若干引き気味であります。
一方で本件背景にはインフラ法/大統領令もあることで当局の規制は何らかの形で出てくる可能性が高く、早めに関与するのがOEMにとっては吉かもしれません。

https://www.washingtonpost.com/transportation/2023/12/12/nhtsa-drunk-driving-technology-mandate/

1;連邦当局による飲酒運転規制ルール

 12/12にNHTSAは車載機器の機能に係る[ルール策定案の事前通知]の中で、ドライバーの飲酒を認識できる車載技術を義務付ける規制を企画。現在、飲酒認識に係る技術の組込みに向けた提案を求めており、そのための事前通知。NHTSAの認識としては既存の上市済み機器では対応不可とあり、公報掲載後2か月のパブコメ期間を設けている
 NHTSAは、331台の監視システムを評価、結果として飲酒状態の特定/適切な処理できる機器は見つからなかった。報告書では、飲酒状態を検知する(と主張する)DMSが3つあると指摘したが、まだ研究開発段階と結論付け
 制定の背景には21年のインフラ法に基づいて大統領からドライバーの状態把握を確実にする施策を実施するよう命令を出されたことがある。現状でNHTSAは[ドライバーの受動監視を通じて障害(主に飲酒/ドラッグ運転)を判断できる連邦安全基準を開発することを課されている。血中アルコール濃度の測定が短期的/実現可能なオプションだが、問題は精度…
 現在全米で複数の州が、再犯者/高リスク犯罪者に対して飲酒検知器ベースのインターロックを義務付けているが、これはドライバーの能動関与が必要で、法律ではあくまで[受動的な関与]を要件とされる
 身動き取れない中だが、最終的な規制は2024年11月の施行を目標としている

2;飲酒検知に向けた取組

 NHTSAは08年以降、ACTS(自動車交通安全連合)と協力して、DADSS(ドライバーアルコール検知システム)というプログラムを執行。プログラムの一環で飲酒検知を[呼吸ベース][接触ベース]で行う二つの方法を開発
 今回の要件に照らすと、呼吸ベースは能動的な関与が必要でNG、一方で接触ベースはドライバーが触れる必要はあるが埋込設計されるため受動的足り得るとのこと
 ACTS代表は受動的という制約を勘案すると[接触ベース]の機能は現時点において最適解であると考えると述べている
 -[パブコメを見ないと何とも判断できないが、接触ベースの検知器がドライバーに受け入れられるかが課題である]
 -[私たちはドライバーと車の関係を新たに提案/定義/提唱する必要があるのかもしれない]

3;パブコメの課題

 NHTSAが本件で適する質問数が膨大であり、上記のスケジュール達成が困難が予想される
 (全体) 運転手監視や"受動的"の定義
 (接触型) スタート/ストップボタンにセンサーが取付けられている場合、ドライバーが押すことの確認方法
 (飲酒判断) 酩酊状態にあると判断した際に車のスタートを阻止できるか
 (緊急判断) 山火事から逃げようとしていたらどうする…
 ACTSの代表も[非常に複雑なルール作りで、あまりのも細かすぎるので正確な把握だけで時間が経過する]と述べている…

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