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鈴掛真の短歌

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#note書き初め

短歌 新作8首 『橋が無い』

心の中は複雑で、幾重にも連なった壁で覆われている。 守ったり、攻め入ったり。 断片的なひとつずつを掻き集めて近づいてゆく。 そんな気分を、8つの短歌で書いてみました。 第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。 もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。 あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。 橋が無い 鈴掛真 唇をこじ開け探るFRISKで上書きされた君の

短歌 新作7首 『人として』

子どもの頃、大人になればなんでもできると思っていた。 まだわからない社会の仕組みや、納得のいかない理不尽なルールが、大人になればぜんぶ理解できるようになると思っていた。 けれど、大人になったって、できないことや知らないことはちっとも減っていかないし、むしろ大人だからこそ、守らなきゃいけないたくさんの制約に縛られてしまう。 大人として? 男として? いや、混沌としたこんな世の中を、僕はただのひとりの人として生きていたい。 そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。

年賀状は印刷に頼らない男。'20

新年の挨拶は今や、「今年もよろしく!」とSNSに一言だけ投稿すれば済んでしまうから、わざわざ手間とお金をかけて年賀状を用意する人は少なくなってきました。 仲が良くても住所は知らない友達っているし、年賀状を送りたいがために住所を聞くってのも、学生の頃はクラスメートを相手によくやったけど、大人同士になると気味悪がられそうだし。 それでも僕は、仕事で関わりのある人を中心に、毎年数十枚の年賀状を用意して送っています。 それも、表面の宛名と差出人も、裏面のデザインとメッセージも、1