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2曲目『太陽』(平成16年 2004)佐野元春 and The HOBO KING BAND

 2曲目は、2000年代の曲ですが、1980年デビューの佐野元春の通算13枚目のアルバムからの曲です。
 1曲目に取り上げた甲斐よしひろがパーソナリティを務めていたNHK-FM「サウンドストリート」で「これ、かっこいい曲だと思う」というレビューと共に流れた曲がデビュー曲の『アンジェリーナ』でした。以来、通算五枚目のアルバムまで好きで追っかけていましたが、これまた、彼のソングライティング(しかも、ヒット曲、名曲と呼ばれている曲)が英米のミュージシャンの曲とかなり酷似しているのを知って離れました。
 その酷似している対象の一人が、ブルース・スプリングスティーンですが、ある日、やはり、佐野元春のファンである友達の「いいんじゃない?パクリでも。日本で一番、ブルース・スプリングスティーンをうまく歌うアーティストだと思えば」という一言で、また、曲を聴くようになり、1996年のツアーから現在に至るまでライブツアーに参戦するようになりました(笑)

 彼のライブステージは、同じ曲でもツアーによってアレンジを大胆に変えてオーディエンスを楽しませてくれるのですが、実際は、“その場の化学反応”というよりも、事前に綿密に計画・計算して、その通りに遂行する、タイプだと思います。だいぶ前に、サザンの桑田佳祐とあるライブでコラボレーションしたときに、佐野元春が、(事前の打ち合わせと全く違う)自由な動きをする桑田佳祐とは二度とコラボできない、と言ったとか言わなかったとか(笑)

 ヒット曲は数多くありますし、この場面ではこの曲でしょ!みたいなツボる曲もたくさんありますが、私の琴線に触れるライブパフォーマンスは、今回、取り上げるアルバム「THE SUN」に収録されている『太陽』です。
 このアルバムのジャケットになっている煉瓦で高く積まれた壁がツアーライブのセットとしても採用されていましたが、セットリストの最後の曲である『太陽』の最後に壁が左右に分かれて、そこから眩しい光、太陽が昇っていくシーンが登場します。曲の歌詞と相まって、涙が溢れてきました。元春の合図で音が終わってステージが暗転。そして、再び、照明が点って目前に現れたスクリーンに映し出された映像を見て、また、涙、涙でした。

 この頃の佐野元春の喉の調子は絶不調で、曲の半分以上をストゥールに座ったまま歌っていました。
「大丈夫かな、大丈夫かな…」というやきもきした心配も相まったのかもしれませんが、この『太陽』と共に昇華されていったことを今でもよく覚えています。

♪『太陽』佐野元春 and The HOBO KING BAND(NHKホールのライブ 2005年より)
 作詞・作曲:佐野元春
https://www.youtube.com/watch?v=enS4hrzsBFo