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シーツが上手く付けられなくても【「みーんな、宇宙人。」を観たよ】

「あなたも宇宙人だね!一緒だね!」と私の存在を認めて貰える作品だったと感じました。


きっかけは、「NYLON」
「NYLON」は個性的なファッション、キラキラワクワクできるコンセプトが魅力の雑誌。
私にとっては、ぱらりとページを開く度に「私の近くに無いな」「私にできないな」が沢山ある、遠くの世界を見せてくれる、素敵で輝いた世界を少しだけ覗き見してもいいよと言ってくれる、そばに置いておきたい、だいすきな雑誌。

そして「NYLON」さんが20周年を迎えたということで制作されたのが「みーんな、宇宙人。」という映画です。 

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「みーんな、宇宙人。」はオムニバス形式の映画。人間を駆除するために地球に降り立った「moja」という生物たちと「moja」に関わる人間の対話が中心のお話。
主要人物6人それぞれと1moja(mojaは単位では無いが、ここではmojaを使わせていただきます、、)の関わりが描かれており、mojaは対話を重ねていくうちに人間に対する考え方が変化していく。
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ここからは、私(しがないただの大学生)が本当に、勝手に、つらつらと、感想を、いや、「すっごく最高でとっても良かったんだよ!!!」を伝えたいので、もっともっと解像度(自分の中にある良かった!!の気持ちの解像度)を上げたいので拙い文章で恐縮ですが、書かせていただきます、、、。
(これでも一応文学部の学生です)

主要人物6人と1mojaとの関わり、そしてアキの場面についてのお話をつらつらとしてゆきます、、。ちょっとかなり回りくどいかもしれません(私の悪い癖)その辺は暖かい目で読んでくださると嬉しいです、、。

ミント🌿‬×セイヤ
短編映画からのミントとセイヤ。私は短編映画を拝見できていないのですが、やはりこの1人と1mojaの関わりが軸になっているのだなと感じました。
ミントというキャラクターは、人間に対して「敬語」を使っていることが印象的で、人間を駆除するために地球に降りてきているはずなのに、人間を理解しようとしています。
私は、駆除しに来るのなら、人間を理解しなくても、駆除だけすればいいのに、と思ってしまうのですが、ミントは最初から「理解しよう」としてくれるのです。
監督が舞台挨拶で「話を聞いてくれる存在がミント」というニュアンスのことをお話されていて、たしかに、セイヤはマシンガントークと言っても過言ではないほど、一方的に大好きな大好きな恋人(のちの配偶者)についてずーーっと話しています。
ミントは話を聞いて、恋人が素敵すぎてこんな僕が、、と、自信がなくなりネガティブになってしまったときのセイヤも否定することなく、かならず肯定して、受け止めてくれるのです。
「オレオレありがとう」についても、素敵だと肯定し、さらにはセイヤが吸っていた煙草も吸ってみようとする。
ミントは、違う星である地球に存在する未知の人間という生物と対話して分かり合おうとしている姿勢を私たちに見せてくれています。
ミントは今の地球に少し足りない、分かり合おうとする姿勢を運んできてくれた存在として描かれたのでは無いかと、思いました。

そして私はセイヤがとっても羨ましかったです。

舞台挨拶ダイジェストを見た時に、セイヤ役の兵頭さんがセイヤの愛が「狂気」で「純愛」だと、そんなセイヤを愛くるしく見せられたら、というお話をなさっていました。(ニュアンスですが、、)

たしかに、狂気的に感じることもあるかもしれませんが、あんなにも真っ直ぐに誰か1人を愛すことが出来るセイヤはやっぱりキラキラ輝いていました。そして、恋人のことを胸を張って「とても素敵で大好きだ」と言えることも、バーで飲んでいて恋人から電話が来て、すぐに帰るところも全部、とても愛おしくて、純愛で、羨ましく思いました。

バーのシーンでセイヤが好きすぎて不安になるという話をしていた際、
「めちゃくちゃ束縛するか、めちゃくちゃ期待しないかのどちらか」
という発言をしていて、これは、恋というか愛というか真っ直ぐな思いを持つセイヤならではのもので、これが人間の良さなのかなと思います。
誰かのことを自分のことより考えられるのが、人間の良さ、なのかも?しれません。

オレンジ🍊×ミサト
オレンジは、未知のmojaの中でもかなり未知。
発言よりもお腹がなる音と何かを食べる咀嚼音の方が多く、食べ物だけでなく人間なども全部食べてしまうのです。(ミサイルを食べた時には流石に驚きました、お腹壊しそう)
本当にずっと何かしらを食べることしか考えていないように見えます。そして、なんでもとても美味しそうに食べてくれます。

逆にミサトは、痩せるために、もっと可愛くなるために、ご飯を食べません。
もっと可愛くならなきゃ!痩せたい!と思うミサトに、オレンジと一緒にいたミントが「十分もう可愛い」と投げかけます。しかしやはりミサトは「ありがとう、でもみんなの方が、、」と、細くて可愛らしい誰かと自分を比べています。

そんな中、ミサトはオレンジに食べられ、胃の中に入ってしまいます。そこで命の危機を感じ、欲に従わなかったことを後悔するのです。

オレンジはただ、目の前の何かをとにかく食べる行為ー自分の欲のままの行為ーをしたまでですが、ミサトを飲み込んだことにより、欲を押さえ込んでいたミサトを救うことになったのは、不思議で素敵な関係だと感じました。ミサトが、遠い未来の自分のりも、今の自分を大切に生きようと思えたこと、そしてそれは、今を生きる私たちにとってもかなり重要なことなのだと思いました。

そしてやはり、「NYLON」さんらしいスタイリング、色とりどりのヘアピンとピンク色のラルフローレンのポロシャツ、、オレンジとミサトが並んだ時の鮮やかさがとっても素敵でワクワクしましたし、着こなしている菊池さんがすっごく可愛くて、、菊池さん、舞台挨拶のときのお洋服も最高に可愛かったな、、、憧れ、、。

ピーチ🍑×ショウ
ピーチは、小柄でくるりとしたまつ毛が可愛らしい女の子。幼めの口調でストレートに人間を褒める言葉を投げかけてくれるのが印象的です。
反対にショウは、ネガティブで現代的な用語で言う「自己肯定感」がかなり低いタイプ。

個人的に、ショウがピーチに対して言っていた
「どこが好きなの?」「頭も良くないし」「かっこよくも無いし」、、、
という数々のネガティブ攻撃には共感しました。
自分が自分を認めていないから、好きだと言われてもそれを受け入れることが出来ない。
しかしピーチはダダダダっと撃たれるショウのネガティブ攻撃を全部受け止めて、そしてその倍の力がある「好きだよ、すごいんだよ!」のポジティブベールを生み出して、それでショウを包んでくれる。本当にすごい。
誰かの全部をひっくるめて好きだと言いたくなるのが恋だと、当たりまえのはずのそのことをピーチは改めて教えてくれる存在で、その真っ直ぐさにショウは救われているんだなと思いました。

ショウはピーチとデートを重ねていくにつれて、表情から自信のなさが減っているように見えました。膝枕のシーンの表情変化が特に印象的です。
mojaと人間が対話を重ねるうちに、お互いがお互いの良さも悪さも肯定して認め合えていることがピーチとショウのシーンもですが、全体を通して共通していることなのかな、と感じました。

ピーチ役の冬由さんの声がとっても可愛らしくてステキですし、西垣さんの声は、純水が通っているような真っ直ぐさだったなと思いました。

オリーブ🫒×レイ
ペットと飼い主、という見方も出来るこのふたりの不思議な関係性は、なんだかとってもほっこりするものでした。
オリーブは今まで降り立った3moja(ミント、オレンジ、ピーチ)たちに人間を駆除することを急かしに地球に来たのですが、レイに犬に間違えられておうちへと迎えられ、首輪とリードをつけられ、散歩をして、ボール遊びをして、、。
オリーブは言葉を話すことが出来るのに、レイの前では、レイの認識を崩さないために【犬】を演じているのです。レイが【犬】を演じると笑ってくれることを理解した上で、オリーブは【犬】を演じ、そこにはオリーブが地球に来て出会ったレイを大切にしたい、という気持ちが見えました。

一方レイも、オリーブが犬じゃないことを理解しているように思います。オリーブにご飯を食べさせるシーンで、シューマイを食べさせているんです、、普通は犬に食べさせないですよね、、、。
これらから、どこかでレイはオリーブが犬じゃないことをちゃんと理解していて、そのうえで、飼い主とペットという演技的で不思議な関係性を続けています。
レイはホームページのstoryに「寂しがり屋な女の子」と書かれており、心にあった寂しさをたまたま出会うことが出来たオリーブをペットとして迎え、一緒に過ごすことで埋めていたのだと感じました。レイの腕からオリーブが離れていく時、オリーブがレイの思い出と共に去っていく様子がすごく切なくて、最後のシーンでレイがオリーブを思い返す素振りを見せている場面もぐっと来ました。

舞台挨拶でも出ていた話ですが、ボスに人間の駆除をやめるよう言う際に「彼女を死なせたくない」と言うオリーブがとても、切ない。(アドリブ、、)

そしてレイちゃんのお洋服や小物が可愛らしいレースのものが多くて、日傘のフワフワとしたお嬢様っぽい感じとか、ワンピースの少しロリータっぽい感じもとっても可愛くて、、、、良い、、、。

クロウ🐦‍⬛×ヒロト
やはり、いちばん印象に残ったのはこのふたりのシーンです。
「神社で宇宙人と人間がフリースタイルラップバトル」
情報量、すごい。
しかもその間でミサイルが降るなどするという生きてるうちに遭遇することが絶対にないすごいものを目撃することが出来ました、、。面白い。

クロウは、人間は愚かだ、滅ぼすべきだ、宇宙にとって害悪だ、と、駆除することに対してかなり強い意志を持っており、それが簡単に揺らぐことがありません。
ラップバトルでもクロウは、人間が犯した過去から今にかけての罪について、どれだけ人間が害悪かについて、投げかけます。
3回行われるラップバトルの中で、クロウとヒロトの発言に似た部分・共通する所もあります。しかし、ヒロトとクロウの違いとして、ヒロトはクロウの言葉を受容した上で、人間の愚かさを認めた上で、クロウたち宇宙人と分かり合おうと、分かり合えると言葉を紡いでいます。

ラップバトルにて宇宙上での人間の愚かさや弱さやずるさが言葉になりますが、重いその言葉たちが音に乗ることで聴く側にすっと入り込んでくる効果があり、ラップバトルの良さを感じました。

クロウは、人間に対して良い印象を持ち合わせていないため、口調も生意気な小学生のようで尖った印象を受けました。しかし、最初の登場でヒロトに抱えられていたのはなんだか可愛らしかったです。
(嫌いな人間に大事に抱えられている感じが愛おしい)

そして審査員のmojaたちでミントがずっとヒロト側を支持していることにミントらしさを感じました。
この時点で既にミントは、人間が愚かで弱いこと、それでも愚かなりに行動していることをかなり理解しているのだなと、と。

クロウ役の佐々木さんもヒロト役の草川さんもラップにすごく力強さがあって、言葉が直接とどく感覚と音と声に、素敵だ、最高だと思いました。

グレープ🍇×リュウ
1回目の鑑賞のとき、このシーンは本当に謎だな〜と思いました。グレープの頭が開いたこと、手がグイグイ伸びたこと、サードアイが出てきたこと、そして何故かタイムリープしていること、というかリュウ何者?、と謎だらけ。

グレープはとっても丁寧な言葉遣いで、人間を理解しようと、愛そうとしてくれています。
そんなグレープがリュウに対して、
「過去には戻ることが出来ない、過去は変えられない。それでも貴方はこれから生きていくのか」(ニュアンスで申し訳ないです)
という言葉を投げかけた時、謎が多かったそのシーンが腑に落ち、そしてはたと過去を嘆く私がずっと心の隅にいることを思い出しました。
誰にでも失敗だったり、過去に戻ってやり直せたらいいななんてことだったりはたくさんあります。やり直せ無いことなど分かっていて、分かっているけど、みんな「あの時こうしていれば」と嘆くのです。
クロウとヒロトのラップの中でもあったように、過去の過ちをどうにかすることなんてできません。
だけれど、グレープがそんな愚かな人間にあえて過去を繰り返し見せて、何度繰り返しても「過ち」自体が変わることがないと示してくれたことで私は少し救われました。
「あの時こうしていたら」と思ってしまった瞬間、「あの時」が良い方向に傾くこともあったのではないか、と感じてしまうため、「あの時こうしていたら」を考えるのです。でも、その「あの時」を何度繰り返しても同じ方向にしか傾かない、結局変わることがないのだ、とグレープとリュウのシーンを観て感じ、励まされました。

YUさんの演技とても自然でミステリアスな雰囲気が漂っていて素敵でした。オレンジは相変わらず何かをずっと食べています、可愛い。

ミント🌿×アキ
アキさんのシーンは、いちばんうんうん、わかるわかると頷いて観ていました。
なーんか上手くいかないなと思うこと、みんなは上手くやってるのに、なんで私だけ上手くいかないんだろう、と思うことたくさんあるよな、シーツ上手く付けられないよな、電球間違ったの買ってきちゃうよな、と共感だらけ。
わたしも、スーパーのレジ列1番待ち時間が長いところいつも選んでしまうし、ご飯屋さんで店員さんのこと呼ぶタイミング上手くいかないし。
それでも、明日は来る。
上手くやれなくてもとりあえず、明日も頑張れるよ、大丈夫だよ、と思えるシーンだったなと思います。

さいごに
冒頭にも書いたように、私たちもmojaもみんな同じ宇宙人で、おんなじ生き物だということ。そして、この世には上手くいかないことがたくさんあって、過去の過ちも愚かさも弱さも色んな苦しみもたくさんあって、それも、全部ひっくるめて愛おしいのが、みんなで私たちで人間で宇宙人なんだなと。
みーーーんな宇宙人だよ!同じだから、大丈夫だよ!と認めて貰える、そんな作品でした。


6mojaたち、おうちにいて欲しいな〜お話聞いて欲しいな〜〜なんて。おもったり。


長い割に言葉は足りなくて回りくどくて文学部なのに文章力もないですが、映画、とってもとっても良いので、もし観にいかれてない方がこの文章を読んだ人の中にいらっしゃったら是非、、。(でも、かなりネタバレですよね、、)
やっぱり映画館で見て欲しい!!!(舞台挨拶で監督も仰っていました)
映画館は、とっても不思議でいつも生きている世界とは全く別の空気と時間が流れています。たまには、都会の喧騒やブルーライトを放つ板から離れる時を過ごすのも良いのでは〜〜

ここまで読んでくれた方ほんとうにありがとうございます🌿‬🍊🍑🫒🐦‍⬛🍇





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