『キングオブコント2023』感想

◆ファーストステージ◆

カゲヤマ【料亭】…469点(ファーストステージ2位)
トップバッターがこのコントで始まったKOC2023本当にエグいな…!というのがまず第一の感想。上品な琴の音から始まって、ゆっくり明転するスタート本当にわくわくする。しかもセットも準決勝からかなり豪華になってて、しっかりふすまの先にも畳が敷いてあったりしてさらにわくわくした。まず益田さんの大声おもしろすぎるし、ふすま開けて裸だったら面白いに決まってるもんな…。あとふすま開けて先輩が裸で謝ってた場合の驚きの第一声として、「お尻!?」が正しいのか…?ってのもあってめちゃくちゃ面白い。「どっち…?」のところもバカバカしくて良いなぁ。あと「許してもらったぞー」のトーン好き。そんな中で、バカ一直線だけじゃなく「松屋は味噌汁ついてます!!」みたいな時間差のくだりもしっかりあるの良いなぁと思った。かと思えば益田さんが裸で立ち上がりかけて「あぶねー!」ってくだりとか最高にバカだった。あのくだり準決勝でもエグいぐらいウケてたけど決勝でも爆発してたから嬉しかったな。その後から、もう大前提の謝罪からもかけ離れていって、宴会芸やったりまゆゆの写真集みたいにやってるの意味分からなさすぎて最高だった。まゆゆに関しては本当に謝ってないし。この辺に関しては意見割れるかもだけど、個人的には先輩の意図があまりにも分からなすぎて面白いくだりだなと思う。宴会芸のくだり、瓶に「影之山」っていうラベルが貼ってあって美術さんの愛を感じた。あと、なんか二人とも準決勝と比べるとスーツ姿が異常に着膨れしてて笑ったな…w

ニッポンの社長【空港へ行け】…468点(ファーストステージ3位)
1つ目のボケが「ナイフで刺される」っていうトップスピード。日本一のコントを決める大会で、裸→暴力という香盤エグすぎる。このコントのケツさんの役って本当にケツさんにしかできないというか、冷静に考えて人が滅多刺しにされるシーンがウケるのおかしい。拳vsナイフで、辻さんがずっとちょっとだけ劣勢な状態なの面白い。素手と凶器所持で戦ってトントンになる世界観。だから辻さんの「きたねぇぞ!」とかケツさんの「お前も卑怯な手使ってでも勝ちに来いよ!」とかのセリフも本人達にとっての常というか。効果音とか抜きにして、ト書きだけ読んだらボケ一個も無いの凄い。準決勝配信だと流れてるBGMも音声オフになっていたので、その時とは全体的にまた違った印象で見れた。このコント、去年ぐらいにマンゲキの配信で見た時があってその時はオチでケツさんがタバコを吸い始めるシーンがあってそれも面白かったな…。

や団【演劇の稽古】…465点(ファーストステージ5位)
や団の中で一番好きなコント。これ本当に凄いよなぁ。ロングサイズ伊藤さんの演出家の演じ方、登場シーンの雰囲気とかとても好きだ。中嶋さんの抜けてる感じも特に合ってるコントだと思うし。何と言ってもこのコントは灰皿が要なんだけど、「灰皿の回り方」という不確定要素をコントに取り込んでいて、なおかつそれを決勝の舞台で披露しているのがかなりアツかった。あのガラスの灰皿がゴロゴロ転がる音やっぱり面白すぎるし、それを本間さんとロングさんの二人が見つめるだけの時間も面白すぎるし、マジで長ければ長いほど面白い時間。そして灰皿が止まりかけていくにつれて、ぐわんぐわんとした音の間隔が狭くなっていって「ゴロゴロゴロゴロ…!」って音になってくの最高。灰皿が止まった瞬間の「他に灰皿なかった!?」ってセリフも気持ちよすぎる。そこからの展開のし方としても、子役だろうが大御所だろうが灰皿投げてきた演出家の「これを投げてしまうかもしれない」という葛藤が見えて良い。自分を制御できないかもしれない恐怖というか。その葛藤から解き放された瞬間の「これでこそ伊藤さんだー!!」が最高。そんで2回目の灰皿回しの時に、ロングさんのメガネが落ちちゃったの笑ったな。ただあれで回転が弱まったと思うと残念ではあるけど。中嶋さん的にも1回目の灰皿回しあんまり納得いってなかったっぽいし、100%の状態のものが決勝で披露されて欲しかった気持ちもあるけど、この不確定さこそがこのコントの醍醐味だなとは思う。

蛙亭【寿司ボーイ】…463点(ファーストステージ8位)
中野さんの登場史上一番面白い。フラれて泣いてるイワクラさんがいる中で、中野さんが登場してない状態で「スシ食いねェ~♩」だけ聴こえてくるの、わくわくが止まらない。そしてキックボードでコケてお腹でお寿司潰しちゃうアクション上手すぎる。ちょっとだけお腹で滑っちゃってる時間があって最高だった。Tシャツのぱつぱつ具合とかも全部良い。なんで慣れない交通手段取っちゃったんだ。「お寿司が潰れるよりはマシですよ」の後の顔とか相当面白い。本人の中のランキングでお寿司がめちゃくちゃ上位なんだなってのもめちゃくちゃ分かるし、だからこそ飛び出す「フラれただけですよね?潰れてないですよね?」っていう言葉とても良い。「知らないよう」の言い方もめちゃくちゃ好きだった。昔のマンガのフキダシに書いてそうなセリフ。「バカでもしないよそんなこと!」の時の腕の振り被り方とかもめちゃくちゃ良かったなー。個人的には、最後のケーキ潰しちゃうところは準決勝の方がベストコンディションだったかなと思った。「タマゴだ…!」はめちゃくちゃ好きなオチ。

ジグザグジギー【新市長】…464点(ファーストステージ6位タイ)
凄いネタ!!2年前からずっと話題になってて、幻のネタになりつつあったこのコントがようやく決勝で披露されて、何よりも松っちゃんの前で披露されて本当に嬉しい。セットも豪華になってて、本当の市長会見さながらになってて良かった。画角的には本当に宮澤さんが市長として喋ってるかのように見えて、だからこそさらに面白かったな。そもそも宮澤さんは市長顔すぎるし、池田さんは広報顔すぎる。結局プレーンな二人が一番面白いタイプのコンビ。元お笑い芸人の市長が、マニフェストのフリップを大喜利みたいに出しちゃうっていう発想がまず最高だし、フリップの見せ方もだけど下唇を尖らせて顎から行くあの喋り方の感じが最高すぎる。あれバカリズムさんっぽいんだよな。「残り2,3文字で出さないでください」ってツッコミ大好きだ。出してるマニフェストの言葉自体は普通なのに、「待機児童ゼロ」がセンスありそうに感じる構図。その後の、「あ これ僕好きですね~」のイントネーションだけで一発で人物と番組のモデルが分かるのも凄いな。「切実だなー」と「オナシャスーってのが面白いですよね」の言い方好き。あれを「チェアマン感」と表現するのもかなり良いし、その後の松っちゃん笑いに対して、笑い方に対してではなく市民の意見に対する「そんなものはありません!」という訂正も良い。「記者からの質問に答えよう」の時の宮澤さんの顔と肩のいからせ方もとても面白すぎ。その後、記者がIPPONのナレーション風に再質問するくだり、たぶんこの辺から審査員的には減点になるんだろうな…と思いつつも、やっぱりめちゃくちゃ面白いよな…!だってIPPONのナレーション風の記者が新市長就任会見に来てたら面白いもんな。宮澤さんが「五十嵐香織議員と2回ほど…」の回答を出したあとの池田さんの止め方も最高。あと最後の笑点風の大喜利に対する「市長/視聴をしているからです」という回答普通に好き。

ゼンモンキー【縁結び神社】…456点(ファーストステージ10位)
緊迫感が荻野さんの登場ですべて和らぐ、トリオだからこその緊張と緩和が楽しめる良いネタ。「僕がシャイなので向こうから告白して欲しいです」というセリフ、少し舌足らずなあの感じと言葉の自分勝手な内容もあいまってかなり良い。その後の「恋は盲目とは、ほんとだぜ」というセリフもめちゃくちゃ好き。個人的には驚きながら言う感じより、準決勝の時の少し笑いながら言う感じの方が物凄く好みではあったんだけど。一つ一つのセリフ回しも相当良いし、荻野さんがヤザキさんに抱きかかえられて足バタバタしながら出てくるシーンみたいな視覚的な面白い部分もあって見てて楽しい。﨑山さんが、「荻野が自分であの台本を書いてるのはキツい」って言ってたのは笑ったけどw かわいらしいキャラだけどちゃんと強かな部分も見えるキャラなのが好きで、「二人が死にますように」ってお祈りするの最悪すぎて笑っちゃう。荻野さんの「祈り勝ちだ!」からヤザキさんとむらまつさんが驚きながら崩れ落ちるオチ、準決勝で見た時に一番決勝で披露されてる画が浮かぶオチだったな。ただ個人的にはこのコント準決勝のバージョンがめちゃくちゃ好きだったというか、前述の表情の話もそうだけど、最初の部分も「これで完璧だぜ」より「これでOKだぜ」の方が好きだったなとか思ったり。足バタバタのところも、「あやかさん?あやかさん?」みたいなまるで持ち上げられてる事に気付いてないかのような感じの言い方だったのが好きだったんだよな。

隣人【猿落語】…460点(ファーストステージ9位)
めちゃくちゃ変なネタでかなり好き。ネタ自体の雰囲気がまず好きなのと、根幹のボケ方も今まであんまり見た事ないタイプのボケ方で凄い。ここもチンパンジーがかなりリアルになってたり、橋本さんの落語家衣装が豪華になってたりしてて良かった。チンパンジーに落語を教えるっていう前段もまず変だし、暗転せずに「稽古4日目でございます(カカッ)」っていうナレーションで進行する見せ方とかも独特で見ててわくわくする。「これぞまさに〇〇!」って言いながらハケる感じとかも、橋本さんの落語家の演じ方がかなり良くて関西弁の雰囲気とかも聞いてて心地いい。落語家がチンパンジー語で落語やり始めるくだりとかは、かなりタメた分そういう展開か!っていう気持ちよさもありながら。さっきの関西弁が心地いい話で言うと、チンパンジー語が伝わって喜ぶ部分とか「バナナに変えとる!」とかのドスの効かせ方もめちゃくちゃ良くて、関西弁って良いなぁと羨ましくなる。落語家とチンパンジーが師匠と弟子としての関係を築いていく描写が「チンパンジーがお辞儀する」なのもほっこりする。その後、感動っぽい部分でGReeeeNの「キセキ」を流すみたいな展開はありがちだけど、ボーカルがチンパンジーという見たことないタイプのボケ方で笑った。準決勝配信では音声切られてて見れなかった部分なので特に。音程の妙な外し方も面白かった。そして「逃げたー!」の言い方とドスの効かせ方!そしてそこからのオチ、今年の準決勝の全ネタの中で一番好きだ。「しかし僕は止めませんよ~、チンパンジーだけに、去る者追わず~」本当に綺麗な終わり方。いやぁ2本目見たかったなぁ。

ファイヤーサンダー【日本代表メンバー発表】…466点(ファーストステージ4位)
このコント、今年のツギクル芸人グランプリで披露されたネタで、初めて見たその時にあまりにもバラシが凄すぎて「おもしろ…!」って感動してしまって、これ絶対行くだろって思ったら1票しか入らなくてマジ納得できなかったので決勝ネタに化けてくれたの本当に嬉しすぎる。こういうバラシ系のネタの中でも一番予測不能というか、この発想だけでも相当凄いんだけど、バラシ方も綺麗の極みだった。﨑山さんの「小西田…」で受け手に「ん?」と思わせてから、「西田選手のモノマネ一本で頑張ってきたのにー!」というバラシ方で一気に爆発させるあの感じ。そこに至るまでに、﨑山さんが「西田…!」ってずっと祈り続けてるのもバラシへの印象付けだし、途中一回だけ言わないところあるのリアルな緊張感あって好き。発想もバラシ方も完璧だし、「スポーツの日本代表はモノマネ芸人も背負ってる」というモノマネ芸人のリアルをコントに昇華したの凄いなぁ。「俺は前回より仕上がってんのに!」とか、「なんで日本代表より層厚いねん!」とか、モノマネ芸人にとってリアルに起こりえる悲痛な叫びという感じ。中でも特に好きなセリフが「俺らがゼロから何かを生み出せるわけないやろ!」という部分で、モノマネ芸人をこの角度でイジる感じの毒がとても良い。小西田がテレビに釘付けになって「なんかフレーズ残せ!」と祈るけど、栗林監督が「総合的判断」というキャッチーなフレーズを生み出してしまいそっくり林監督が得しちゃうシーンもとても良い。ていうかそっくり林監督て!なんでか本物の監督ばりに小西田に対してやたら親身なのも変だし。その後の「決めろ西田ー!」なんて、傍から見たらただのサッカー観戦なの面白い。オチの「うぇ~い」のあの感じも終わり方として凄いほっこりするなぁ。

サルゴリラ【ルール】…482点(ファーストステージ1位)
凄いなぁ!準決勝も面白かったんだけど、決勝で厚みがかなり増してて準決勝配信で見た時とだいぶ印象が変わった。「まずー…こちらの小箱にー…」みたいなマジシャン特有のあの喋り方でずっと妙な事言ってるとこんなに面白いんだ。「中箱B」みたいなワードが児玉さんらしくて好きだし、ナッツの行方を追う赤羽さんの顔も面白すぎたな。「簡単なテーブルマジックになりますよね」の「よね」が腹立つ。打ち合わせでのマジック披露で、雰囲気的な音を鳴らすこだわりあるのも後からじわじわ腹立ってくる。そして中でもこのコントを拡大させたと思っているのが「午前中に区役所行って…」のくだり。ここは準決勝にはなかった部分で、逆に言うとここ以外はそんなに準決勝から変わってないんだけど、このセリフひとつでコント全体の厚みが相当変わったと思ってる。その後のパソコンケースってのも絶妙に気持ち悪いアイテムだし、「クッション性の…のやつです」って部分も腹立つなーおもろいなー!ってなる。冬の筑波山→夏の筑波山→春の尾瀬に対して、パソコンケース→パソコンケースB→中箱Bという最悪の統一感のなさが素晴らしい。なんでパソコンケース2つしか持って来なかったんだ。その後の座布団がパソコンケースに変わってるマジックのための計3つしか持ってきてなかったからなのか…色々自分だけのこだわり持ってる割に、中箱Bには入んないので折って入れる雑さ。秋のメキシコも全然意味分かんない。メキシコに秋とかあるのか?メキシコに秋だからこその景色とかあるのか?あとカードマジックでカードがお醤油に変わるってマジで何なんだ。そういう細かい気持ち悪い要素が大量に蓄積されていくから「家庭に居場所がないんだ!」にも説得力が増すし、その一つの要因としてさっきの「午前中に区役所行って…」がかなり大きいとも。そんで散々怒られて、「まずこちらの靴下にんじんをー…」って言えるルールさんの精神力相当凄いな。イカ箱とかペンチピーチとかマジで何のつもりなんだろう。もう「変われー!」って言っちゃってるのも面白い。そこからルールについてダラダラ喋る時間面白すぎる。児玉さんの、まるでその場で考えて喋ってるかのようにダラダラ喋れる能力凄い。「そういうなんかルールを作る…部署みたいのがあって…」の部分が好きすぎる。このマジックで満足できるルールさんおかしすぎるし、靴下にんじんとペンチピーチは番組側で用意してもらおうとしてるの意味分からない。イカ箱は持参するんだ。靴下にんじんとペンチピーチはナマモノ使ってるから当日は番組側で用意してほしかったのかな。そんで微笑んで暗転、っていう感じが良い意味で旧KOCって感じだった。なんかジューシーズとして歩んできた歴史も感じるというか。あの余韻の感じ、最近あまり見ないタイプのオチだなー。

ラブレターズ【義母と隣人の間に】…464点(ファーストステージ6位タイ)
良質なコント。迫力も凄いし、それでいて繊細な部分もあって綺麗なネタ。溜口さんの登場の「ごめんなさいねー」のトーンがまず良い。アパートでシベリアンハスキー放し飼いのバラシとして、「どうかしてると思った?」というしっとりとした第一声とても良い。「やっぱり大型犬って大きくなるのね〜」の義母感、笑っちゃうな。その後の壁ドンで一気にネタの表情が変わるんだけど、その時の塚本さんの「あっ え!?」というリアクションもめちゃくちゃ面白い。人の好さそうなお母さんが「私が鳴いたんだバカ!」って言ってる光景すごい。あと準決勝と決勝のウケの乖離の話で言うと、溜口さんがペルちゃんに対して「ベロベロベロ!!」ってやるくだり、準決勝でめちゃくちゃ笑った部分だったので決勝であんましだったのびっくりしちゃったな…。ただ準決勝では1回だったのに対して決勝だと2回だったので走ってる感はあったかなっていう。準決勝だとやった後の妙な余韻がめちゃくちゃ面白かったので。それでも決勝で見る「大福ドーン!」と「ペルちゃんいけー!」の時の溜口さんの迫力凄かったなぁ。あと「隣の間取りの方が広そうじゃない?」というセリフ、物凄く機微というか味わいがあって良いセリフだなと思う。準決勝では隣人がYouTuber設定だったのに決勝でVTuberになったのは、義母が配信始まったことを確認した際に間取りに気付かないためかなと思った。多分VTuberって馴染みないワードだから想像しづらくてあんまりハマってなかったかもしれないけど。そして最後の塚本さんの「娘さんを僕にくださーい!!」という叫び…!それに対する義母の反応が「絶対に今じゃない!」なのも凄くて。あくまで義母は異常者ではなくて、隣人トラブルに対してだけ異常になってしまうだけでお父さんや娘の前では普通の優しいお母さんなんだろうなっていう。だからこそあの最後だけ形勢逆転する展開なのかなと。ただやっぱ少し思っちゃったのは、効果音大きすぎたな…と。あのバカでかい効果音のカオス感はそれはそれでいいけど、やっぱり塚本さんのワードとかもっと鮮明に聞きたかったな。M-1のロコディのマラソンの漫才が現地では意外と足音気になってなかったらしいっていう話もあったから、現地でどんな風に聞こえてたかは分からないけど。


◆ファイナルステージ◆

ニッポンの社長【手術】…466点(ファイナルステージ3位)・合計得点…934点(全体3位)
心電図の音から始まる緊迫感、あの静寂の空気感本当に凄い。コント前にトラブルあったから尚のこと緊迫感あった。静かな中で摘出されていく内臓の絶妙な生々しさがたまらない。そしてあの静寂を打ち破る辻さんの「ちょ、出しすぎちゃう?」っていう言葉凄すぎる。タイミングとか声量とかイントネーションとか全部。全身麻酔したのに内臓出しすぎてて起きちゃうの面白すぎる。体スカスカになったり、内臓をしゃーっと入れ直しても普通に喋ってる世界観。そして、バカ長い臓器が掃除機の紐みたいになってるという、この発想の飛躍のさせ方がニッ社らしすぎてたまらない。今年のオチも気持ち悪くて最高だったんだけど、個人的には去年の準決勝でのオチが好きすぎて少し恋しくなったな。普通に2,3個前に心臓出されちゃってて、「それ心臓やんけ。あ ピーなってるわ…」ってオチ。オチとしては絶対今年のが派手で気持ち悪くて良いんだけど、去年のオチの方がそれまでの流れに則った気持ち悪さだった。

カゲヤマ【会社の未来】…476点(ファイナルステージ2位)・合計得点…945点(全体2位)
1本目のバカネタと打って変わって、予測不能な会話劇で凄い。今年のファイナリストで一番2本の幅があったタイプだと思うので2本目披露されて良かった。あのタイミングで、絶対に「僕はどうなるんですか…」って言葉予想できないもんな。とにかくずっと「思ってた言葉と違ったよ」と「何が起きた?」が続くネタ。タバやんさんの動揺の感じが1本目の派手な感じとはまた違って良い。後任の役名が準決勝では後輩の田中だったんだけど、決勝では後輩の小林になってて、1本目との繋がりが見えるようになってて良かった。「最初の部屋に取り残されてる」っていう表現とかとても奥行きあるなと思う。「部長の娘さんとお付き合いさせていただいてます…」「その鍵じゃない!」のくだりとかも。そして大声量の「お父さん娘さんを僕にください!!」から、普通に電話に出るというボケ、見た事ないジャンルすぎて凄かった。「5分でまとめるつもりか!?」っていう反応も含め。最後は電話の着信音をバックに、徐々暗転…という、本当に1本目とは全く違う妙な余韻を残す終わり方。としては下品なのに何故かコントとしての品格を感じるネタ。

サルゴリラ【青春】…482点(ファイナルステージ1位)・合計得点…964点(全体1位)
まず準決勝の時から思ってたけど、赤羽さんの高校球児姿、流石におじいさんすぎて面白い。痩せた事で逆に高校球児に全く見えない。そしてその後の監督役の児玉さんの「なんだ、またいたのか」のトーンだけでめちゃくちゃわくわくする。あの妙に粘り気のあるおじいちゃん監督の喋り方とても良いな。そしてこのコントの根幹、「魚」というワード。「青春という魚」という、めちゃくちゃ変でもないけど妙に気持ち悪い表現。受け手的にも、1回目に感じた違和感が2回目で確信に変わる感覚があって、ウケもまさにそんな感じだったので見てて気持ちよかった。その後の「これからもみんなで水槽で大事に育ててけよな…」の部分甘噛みしてて、あれがわざとなのか本当に噛んでたのか分からないけどめちゃくちゃ面白かったな。準決勝では普通に言ってたからどうなんだろう?どちらにせよ甘噛みしても面白い作り(むしろ甘噛みした方が味が出るぐらいの)になってる時点で勝利なんだけど。赤羽さんの眉間の皺の寄せ方とか気持ち悪がり方も見ててちょうどよくて、それが爆発した瞬間の「魚やめろ!」最高だった。タイミングと声の高さ面白すぎ。「いいから聞けー!」→BGM流れる→「魚は…」の部分、マジで最高の三段オチ。コントの構成としては1本目と2本目は結構近くて、BGM流れながら児玉さんがダラダラ気持ち悪い事を喋るくだりが三段階あるって感じなんだけど。1本目での靴下にんじんっていう飛躍の笑わせ方と違って2本目は「魚は…」っていうストレートな笑わせ方というか、何なら前段よりシンプルにする引き算の笑わせ方で凄いなと思った。ちゃんと「ご家族のお魚」って敬って言ってる細かさもいいなぁ。その後の赤羽さんのビンタからの「魚じゃねぇんだよ!!」っていうめちゃくちゃ一歩目のツッコミを改めて言う感じ、そりゃ笑っちゃうよな。めちゃくちゃ細かい部分で言うと、最後の児玉さんの足のねちっこい曲げ方がとても好き。サルゴリラのコント、なんか全体的にギャグマンガ日和みたいな面白さがあって好きだ。

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