見出し画像

雪国育ちの南国フルーツ『越後バナーナ』を育てる、シモダファームさんのこだわり

こんにちは。The SUZUTIMES編集部の これえだ です。

早速ですが・・・トップの写真が何か、みなさま分かりますでしょうか?
よ〜く見ると連想できるかもしれませんが、実はこれ、バナナなんです。そしてこのバナナ、日本で、さらには雪国・新潟県で撮ったものなのです。

この記事では、越後バナーナを栽培されているシモダファームさんを訪ねた際に伺った越後バナーナのこだわりと、栽培の裏側をまとめます。


こだわり①そもそも品種が世界的に希少!

現在日本で流通しているバナナは『キャンべディッシュ』と呼ばれている品種がほとんどですが、越後バナーナはかつてバナナが高級品だった時代の主要品種『グロスミッチェル』という品種です。

グロスミッチェル種は、1950年代に起きた「パナマ病」の流行によって生産量が激減し、世界的に希少な品種となってしまった品種。
口当たりがもっちりとしていて甘みが強いのが特徴で、“幻のバナナ”や“黄金の香り”などと言われることもあるそうです。
越後バナーナは、そんな貴重な苗を買い付けることで栽培が始まりました。

そもそも。バナナの主な生産地であるフィリピンは、日本の機構と大きく異なり、はっきりとした四季はなく年間の平均気温は26~27°C。
それに反している日本・・・しかも冬場の気温は現地に比べると30度も低くなるような雪国・新潟県でバナナを育てるなんて!と思いませんか?
その理由が次のこだわりです。

こだわり②バナナ愛

シモダファームさんの母体となる会社【シモダ産業】は、柏崎市内で廃棄物処理事業を行っている会社で、社長を務めるのはシモダファームの社長さんのお父様。
そのお父様がフィリピンへ旅行に行った際に食べたバナナが、衝撃的な美味しさだったそうです。
(帰国してから日本在住のフィリピン人と話したら「日本のバナナは美味しくない!」と言われたそうな!)

その後、シモダ産業で発生する排熱で何かできないかと考え、ビニールハウスで作物を育てようという話になり・・・そこで社長が真っ先に『絶対バナナだ!』と思いついたそうです。
本場のバナナの味が忘れられなかったようで、栽培するならバナナ一択!だったそう。

そして、せっかく作るなら“普通のバナナ”ではなく、日本で本場(フィリピン)を超えるバナナを作りたい!!という一心でバナナ栽培が始まりました。

こだわり③循環

南国フルーツの代表であるバナナを育てるのに欠かせないのは「熱」です。
特に寒さの厳しい新潟では、冬場の熱源を確保することがとても重要でした。

シモダファームでは、シモダ産業の廃棄物処理事業で廃棄物を焼却する際に出る『排熱』を利用して水を温め、ビニールハウスに供給。温度管理に活用することで、真冬でも24℃前後を保つことができているそうです。

また、季節問わず安定した熱エネルギーを確保できることで、年間を通してバナナを生産・出荷することを可能にしています。

この管の中を温水が通ることで、ハウス内の温度を保っています。

こだわりとしてあげた【循環】は、シモダ産業さんが掲げる企業理念の一つ。
サーマルリサイクルによって、まさに地域・地球に良い循環を作っていらっしゃいます。

こだわり④熟成期間と品質管理

現在、日本のスーパーに並ぶバナナの多くはフィリピン産です。
輸入品の場合、現地で栽培されたバナナは、実が青く皮が厚いうちに収穫され、輸送中に追熟させることで黄色いバナナ(=完熟)の状態にします。

輸入品は一番左のような状態で収穫し、追熟することでよく見るバナナの状態にしていきます。

一方で越後バナーナは輸送にかかる期間が不要なため、ギリギリまで樹上で育て、完熟に近い状態で収穫・出荷されます。
フィリピンでは半年程度で樹上から収穫されるのに対し、越後バナーナはなんと1年~1年半という時間をかけて樹上で育てているそう。

そうすることで皮が薄くなり、より濃厚な香りとまろやかな甘味をもった、もっちりとしたバナナになるそうです!

長い期間育てるということは、それだけ手間もかかるということ。
それに加え、越後バナーナは農薬や化学肥料を使わない有機栽培でバナナを育てています。

何度見ても新潟とは思えない、ザ・南国!なビジュアルです・・・

バナナの葉や実の健康状態をこまめにチェックし、その日の天候や気温、日照時間などを確認してハウス内の温度調整をするなど、徹底的な品質管理をしていらっしゃいます。

人の目で一つ一つ丁寧に見ていくことで、見た目も美しい高品質なバナナに仕上がるとのこと。
1本の木にはおよそ150本~200本のバナナが実るそうで、それを1本1本見ていくんですって!!!なんと地道で大変な作業・・・!!!

そんな作業の積み重ねにより、あのおいしさと皮まで食べられる「安心・安全」なバナナが作られているのです。

こだわり⑤越後バナーナを“地域のもの”に

あまり見る機会のない、バナナの幹。とっても不思議な形です。

バナナの収穫が終わり、役目を終えた株は伐採されます。
その株を原料として使い、市内の和紙職人が和紙を作成しているそうです。さらに地元企業との開発や、教育現場での情報共有・地域と連携した動きにより越後バナーナを柏崎という地域のものとして盛り上げようとしていらっしゃいます。

繊維が残る和紙は、風合いがあってとても素敵でした。

最後に

バナナはもちろん、これらの動きを全てゼロから作られたシモダファームさん。お話を伺い、ますます魅力的な農家さんであることを感じました。

今回感じた魅力やシモダファームさんの取り組みが、これからもっと注目されて広がっていくことを確信すると同時に、こんな真逆の環境と発想の形で、新潟の新しい魅力が生まれることがあるのだと、気付かされたような気持ちにもなりました。

新潟には、ご紹介したい食材や農家さんがまだまだたくさんあります!
次回の更新もどうぞお楽しみに!
これえだ

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!