X2Oバドカマー・トロフェー2020-2021第2戦 コルトレイク(アーバンクロス)

シクロクロス3大シリーズ戦の1つ「X2Oバドカマー・トロフェー」の第2戦アーバンクロスが、11/28(土)にベルギー・ウェストフランデレン州の街コルトレイクを舞台に開催された。

アーバンクロスの名の通り市街地を利用したコースとなっており、橋の上にスタート/ゴールが設定され、登りスプリントでのフィニッシュが特徴。サンドセクション、キャンバー区間、シケインなどがバランスよく配置されている。

↓今シーズンのシクロクロスのここまでの展開については下記を参照↓


天気は快晴。この日は元世界王者ワウト・ファンアールトチーム・ユンボ・ヴィズマ)が今期初参戦ということで注目を集めた。

とはいえ、スタート順は2列目で、前日の夜は「フランドリアン・トロフェー(ベルギー国内の最も活躍したロードレース選手に贈られる賞)」授賞式に出席していたこともあり、まずは様子見といったところで終わるのではないかとも予想されていた。

(タイム差で総合順位を決めるX2Oバドカマー・トロフェーでは、第1戦を不出場のファンアールトは5分のペナルティタイムを与えられているため、総合争いに参加するのはまず不可能と見られていることもその理由である)


今回の周回数は9周

2周目の前半ではU23カテゴリ所属のライアン・カンプパウェルス・サウゼン・ビンゴール)が抜け出して先頭を走る場面などもあったが、コース中盤の橋の上から180度向きを変え非常に狭いキャンバー区間に入るポイントで、前から2番目を走っていたトルマンス・シクロクロスチームの選手がもたついて足を止めてしまった瞬間に、先頭を走っていたマイケル・ファントーレンハウト(パウェルス・サウゼン・ビンゴール)が独走を開始。

しばらくはコルネ・ファンケッセル(トルマンス・シクロクロスチーム)がファントーレンハウトを単独で追走していたものの、やがて後方からラース・ファンデルハールテレネット・バロワーズ・ライオンズ)、エリ・イゼールビット(パウェルス・サウゼン・ビンゴール)、そしてファンアールトが追いついてきて4名の2番手集団を形成。

3周目終了時点で先頭ファントーレンハウトとこの4名の2番手集団とのタイム差は20秒。これが5周目終了時点では30秒にまで開くなど、ファントーレンハウトがかなりの絶好調。

先週のメルクスプラスで3大シリーズ戦初勝利を果たしたばかりのファントーレンハウトが、今週もこのまま勝ってしまうのか?と思わせる勢いであった。


だが、レースも後半戦に入った6周目。

先頭を快走していたファントーレンハウトが、まさかの後輪パンクのトラブルに見舞われる。

しかもバイク交換のできるピットエリアからは離れた場所でのパンクに見舞われたのか。30秒のタイム差は一瞬にして0となり、体力もかなり失う結果となってしまった。


そうして、6周目にて先頭に躍り出ることとなったファンアールト、イゼールビット、ファンデルハール(ファンケッセルは途中脱落)。

しかも、ファンアールトが積極的に先頭を牽引し続け、ペースアップ。とくにキャンバー区間でのテクニックは圧倒的で、一時イゼールビットやファンデルハールを突き放す瞬間すら見せた。

まさかのファンアールト、復帰初戦でいきなりの勝利か? そんな風に予感させる展開だった。


とはいえ、前回のコッペンベルフクロスを含め今期すでに5勝しているエリ・イゼールビットも、ヨーロッパ王者としての意地がある。

最後から2周目となる8周目の中盤でイゼールビットが一気にペースアップを仕掛け、ファンアールトらとのギャップを開きにかかる。

そして例の橋の上から180度向きを変えてからの狭いキャンバー区間で、ファンアールトがミスして足を止め、ファンデルハールもその煽りを受ける。

これが決め手となってイゼールビットの独走が決定的に。

そのまま、X2Oバドカマー・トロフェー2連勝。2位は最後にバイク交換をしたファンアールトを突き放してファンデルハールが7秒差でフィニッシュした。

X2Oトロフェー第2戦コルトレイク リザルト


これにて総合順位でもイゼールビットが2位ファンデルハールに1分20秒差をつけて独走中。総合3位の元ベルギー王者トーン・アールツは最後にメカトラブルにも見舞われたようで、さらに大きくタイムを失って2分33秒差。

今年のX2Oトロフェーは早くもイゼールビット優位の状況が作られつつある。

X2Oトロフェー第2戦終了時点での総合順位

だが、初戦不参加による5分のタイムペナルティを受けているはずのファンアールトがすでにTOP10に顔を覗かせているあたりちょっと不気味である。

2年前も初戦コッペンベルフクロスで4分以上のタイムビハインドを抱えたマチュー・ファンデルポールが、その後一気にタイムを挽回し最終的に逆転総合優勝している前例があるだけに、「まさか」がないとは限らない。

まあ、さすがに、今日の走りを見る限りは、さすがに、そんなことはないとは思うが・・・さすがに。


また、今日こそ最終的には失速し、「様子見」感もやはりあったファンアールトだが、逆に明日のUCIワールドカップ初戦「ターボル」に向けて最後はあえて流す形にしたとも見て取れる。

ワールドカップの方ではもちろん総合優勝の可能性が十分すぎるほどあるだけに、おそらくここでは本気で勝ちに行くに違いない。


明日のターボルも非常に楽しみ。GCN Passでは日本語解説付きで放送されるということなので、楽しみに待っていよう。




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