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X2Oバドカマー・トロフェー2020-2021 第6戦「ハンメ(フランドリアンクロス)」

シクロクロス3大シリーズ戦の1つ「X2Oバドカマー・トロフェー」の第6戦「フランドリアンクロス」が、1/23(土)にベルギー・オースト=フランデレン州の街ハンメを舞台に開催された。

長い激坂もテクニカルな区間も多くなく、路面状況も男子では雨が降り始めたとはいえそこまでドロドロではなく、ただコースが狭く追い抜きがしづらい中で、割合とスタンダードな展開が繰り広げられた。


女子レース

全部で5周

序盤から有力選手がそれぞれ1回ずつは単独落車に見舞われるようなある意味で荒れた展開になったが、その中で2周目の途中から世界王者のセイリン・アルバラードアルペシン・フェニックス)が独走を開始。

現在X2Oトロフェーの総合首位に立つルシンダ・ブラントバロワーズ・トレック・ライオンズ)にとって、すでに5分以上遅れているアルバラードの独走はそこまで気にならないものの、問題は58秒差で総合2位につけているデニーセ・ベツェマパウェルズ・サウゼンビンゴール)の存在。

2周目終了時点ですでに11秒差をつけられていたベツェマはブラントが遅れていることに気が付くとさらなるペースアップ。

ブラントも序盤の遅れから段々とペースを取り戻しつつあったが、それでも最終的には25秒差もつけられてのフィニッシュとなった。

1周目の途中に存在するボーナスタイムポイントではブラントが1位通過し、ベツェマが2位通過となったため、それぞれ15秒・10秒のボーナスタイムを獲得。

ここで5秒稼いでいたおかげでこの日失ったタイム差は20秒に抑えることができたものの、それでも総合タイム差は38秒にまで縮まってしまった。

X2Oバドカマー・トロフェーは残り2戦。今日が始まるまではなんだかんだでブラントの3大シリーズ戦制覇は固い、と思っていたが、今日この日の走りを見る限りでは、それもどうなるかわからない微妙な状況になってきたように思える。

【X2Oトロフェー女子 第6戦までの総合リザルト】

X2Oトロフェー女子 第6戦までの総合リザルト


そして余裕の独走逃げ切り勝利となったセイリン・アルバラードは前節GPスヴェン・ネイス(バール)に続くX2Oトロフェー2連勝。

1週間後に迫った世界選手権でのタイトル防衛に向け、11月~12月頃と比べるとかなり自信を持てる状態になってきたと言える。

【X2Oトロフェー第6戦ハンメ(フランドリアンクロス) 女子リザルト】

X2Oトロフェー第6戦女子リザルト


また、序盤からアルバラードに次ぐ2位集団に残り続けた3位マノン・バッケル(クレディショップ・フリスタッズ)は、まだU23カテゴリに所属する若きオランダの才能である。

3大シリーズ戦では初の表彰台。女子シクロクロス界を席巻しているオランダ勢ではあるが、「次代」についてもぬかりなく層を厚くしつつあることが伺える。今回5位に入ったフェム・ファンエンペル(パウェルズ・サウゼンビンゴール)も、そんな厚い「層」の1人だ。


男子レース

全部で8周

序盤、マイケル・ファントーレンハウト(パウェルズ・サウゼンビンゴール)マチュー・ファンデルポール(アルペシン・フェニックス)が2人で抜け出す場面もあったが、3周目の途中からファンデルポールがいつもの独走態勢に。

ここでワウト・ファンアールト(チーム・ユンボ・ヴィズマ)が最初の2周でなぜか後方に遅れていたのが痛かった。ファンデルポールが加速したのと同じタイミングでファンアールトもペースを上げていき、軽々とファントーレンハウトを抜いて単独2番手につけるも、4周目終了時点ではファンデルポールとのタイム差が19秒にまで広がっていた。

ここから段々と、ファンアールトがファンデルポールとのタイム差を詰めていく。6周目終了時点では15秒。7周目終了時点で11秒。

着実にファンデルポール以上のラップタイムでギャップを埋めていくファンアールトだったが、序盤の遅れがあまりにも痛かった。最後は7秒差でのフィニッシュ。

【X2Oトロフェー第6戦ハンメ(フランドリアンクロス) 男子リザルト】

X2Oトロフェー第6戦「ハンメ」男子リザルト


敗北したが、世界選手権に向けて、決して絶望的な敗北ではない。

むしろ後半では着実に追い上げていたことは、ワウト・ファンアールトの3年ぶりの世界王者奪還に向けて、決して悪い材料ではない。

あとは、序盤の遅れの原因を突き止め、その対策を練られるか、ということ。機材だったりコンディションマネジメントだったり、彼がユンボ・ヴィズマからほぼ単独で出場しているという状態に起因するものであれば、ベルギーチームとして世界最高峰のアシストを受けられるはずの世界選手権においては、その問題が解消されている可能性はある。


また、総合争いにおいては、総合首位エリ・イゼルビット(パウェルズ・サウゼンビンゴール)と、これを3分27秒差で追いかけるマイケル・ファントーレンハウトとのタイム差に注目が集まるところであった。

実際、今日はまだまだ年末の怪我の影響が抜けきれていないのか、イゼルビットが序盤と比べて後半のペースががくっと落ちていてずるずると遅れていた。

しかし、このチャンスを生かすべきファントーレンハウトもまた、序盤はファンデルポールと共に先頭に躍り出ていたはずなのに、終盤はそのイゼルビットの背後で一緒にフィニッシュしてしまうような結果に。

むしろ総合2位の座をトーン・アールツバロワーズ・トレック・ライオンズ)に奪われる形となり、チームとしては最悪に近い結果となってしまった。

【X2Oトロフェー男子 第6戦までの総合リザルト】

X2Oトロフェー男子 第6戦までの総合リザルト


ただ、さすがにこのタイム差を残り2戦でひっくり返される、ということはないだろう。

むしろ、今日もまた2分近くタイム差を削ったマチュー・ファンデルポールが、じわじわと近づいてきている方が恐ろしくはある。まあでも、さすがに、残り2戦を3分ずつ縮める、なんてことは、ない、よね・・・?


X2Oトロフェーの次戦は2/7(日)の第7戦「リール(クラヴァーテンクロス)」。

そして明日はこちらも総合争いがどうなるか予想のつかないUCIワールドカップ最終戦オーベレルエイセ」である。

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