愛とか信頼とか分からないけれど


出会いは4月か5月の初め。
晴れて少し汗ばむ日だった気がする。
私の好きなカフェでランチして、彼のおすすめのコーヒースタンドのコーヒー片手に散歩した。
初回にしてはかなりの時間を過ごした。
彼は早口で喋りまくる。
とにかくネタを提供して楽しませようとしてくれたのかもしれない。
反応に困るわ笑い疲れるわで「もういいよ…」と内心思いながら聞いていた。
彼と連絡するのをやめた。
ハイスぺだからもったいない気もするけど疲れたしな。
就活が上手くいかず毎日もやもやが溜まって
恋愛相手を探すのも新しい人間関係を築くのも面倒になった。
アプリもやめた。

10月の終わり。
再開したアプリであの時の彼を見つけた。
見つけた瞬間わくわくした。胸が躍った。
気疲れしたのになんでだろう。
とにかくもう一度会いたいと思い、私からメッセージを送った。

こんな始まりに自分でもびっくりしている。
アプリで同じ人見つけてまた会えるなんて、離れてもまた引き寄せられる運命の相手なんじゃない?
と思う瞬間もあったけど、分からないね。
再会してからたったの半月でいろいろなことを考えさせられたから。
主に孤独について。
物質的な孤独、精神的な孤独。



メッセージを送った時は、友達になりたかった。
春に会って楽しかったから、また彼の話を聞きたい(気疲れ覚悟で)。
疲れたけど、素の自分をさらけ出せて楽しかったんだ。
食、服、本、漫画、いろんな趣味が合う。
私は漫画をほとんど読まないけど、10代の頃唯一読んでいた好きな漫画を彼も知っていてびっくりした。
私のコンプレックスはさらっと受け入れてくれた、いや、簡単に飲み込んでくれた、流してくれたような感覚だった。
元々学生時代の研究でてんかんについて学ぶ機会があったらしいけど、それでもだ。
なんて自然なんだろう。
過剰に心配されず不安にさせず、気軽に会える友達にぴったり。
一方的に切られたような女からまたアプリで連絡が来るなんて不快に思われるかもしれないし、そもそも存在を忘れられてるかもしれないという不安もあったけど。
とにかくまた会いたい。

再会した瞬間の安心感が半端なかった。
待ち合わせ場所では、(あ、スーツ姿こんなんなんだね、かっこいいやん)(相変わらず早口だな、また焦らせんといて…)と内心もじもじしたけど。
本当に半年会ってなかったっけ?半年前嫌になったんじゃなかったん?
安心感に包まれた自分が不思議。
もう二度と関係を切りたくない。
どんな関係性でもいいから、この人とずっと繋がっていたい、また話したい、会いたい。
こんな強い思い、記憶の中では女友達にも元彼にも芽生えたことない。
居酒屋で飲んでスタバで少し話して、帰りのバスを待っているときの横顔を見て決心した。
愛とか信頼って何だろうと考えながら。

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